コロナで何もできなくて「ガクチカが話せない」と悩んでいる学生さんへ
今年もそろそろ終わりですが、就職活動はシーズンに突入しています。そんな中、さまざまな学生から「ガクチカ」、つまり「学生時代にチカラを入れたこと」を面接で話せないのでどうしたらよいのだろう、という悩みをよく聞きます。
クラブやサークル、ゼミやアルバイトで、2年生までは上級生のサポートをしていただけだったのに、いざ3年生になったらコロナで何もできない。イベントもすべて中止。留学を予定していた人も、せっかくいろいろ準備していたのに行けなかった。一体、何にチカラを入れたと話せばよいのかと途方に暮れています。
そんな悩みを抱えている方にぜひお伝えしたいと思って、これを書いています。まず知って欲しいのは、採用面接は学生時代の「成果」の自慢大会ではないということです。(人材研究所代表・曽和利光)
知りたいのは成果より「本人の性格や能力」もちろん学生でも、社会人顔負けの成果を出している人がたくさんいます。しかし、多くの学生の成果は社会人から見れば五十歩百歩であり、それ自体を見て何かを評価するということはあまりあ5りません。
それよりも、何かの成果を出そうとして取り組んでいった行動の中から、「この人はどんな人なのだろうか」と、皆さんの性格や能力を推し量りたいだけなのです。面接での質問は、すべて「あなたはどんな人ですか?」の変形なのです。
しかも、企業が知りたいその「性格や能力」は、習慣といえるほど根付いたものでなければなりません。なぜなら、入社してから日常となる仕事の中で、日々発揮してもらわなければならないからです。
面接担当者は「ある場面でのある成果」を評価するのではなく、どんな時でも発揮できる「再現性のある性格や能力」を知りたいと思っているのです。
そうなると、実は一番知りたいのは、派手ではあるが単発的なイベント的エピソードなどではなく、日常的に学生さんがどのように考え、行動してきたのかということなのです。そこに珍しい面白ネタのようなものなどなくても全く構いません。
日常の中で淡々とやってきたことを話して欲しい仕事は「長距離走」だといいます。六本木ヒルズを建てるのに16年かかったと聞いたことがありますが、大きなことをしようとすれば長期間継続して行動することが必要です。どんなに派手な成果の仕事であっても、日常のプロセスは地味なものです。
そういうこともあり、さまざまな企業で高業績を上げている人を調べると、ふつうの人だと「つまらない」と思うようなルーチンワークや、義務でやらなくてはならない仕事などでも、自分で意味づけしたり、セルフモチベートしたりして楽しむことができる人が多いです。
そして、応募してきた学生さんにそういう特性があるのかどうか、面接担当者は知りたがるのです。
そう考えれば、今年はコロナで派手な成果を出せたエピソードがないと悩むことなど必要ないと思いませんか。どんな状況であっても、日常生活は続きます。その中で、淡々とやってきたことについて話せばよいのです。
私がお勧めするのは、「学生」なのですから、ふつうに勉強の話をしてみてはどうでしょう。どんな理由でどんな科目を選び、そこでどんな問題意識を持って何を調べたり実験したりして、結果がどう出て何を学んだのか。一緒にチームを組んだ人とは、どんな役割分担をしたのか。そんな話を通じて、面接担当者が皆さんの人となりを知ることは十分可能です。
感度の高い採用担当者は学生が勉強しているのを知っている日本では長い間「大学はレジャーランドだ」と言われたぐらい、大学での勉強を重視してきませんでした。面接を担当するようなベテランの人たちは、自分の大学時代を踏まえて「学生に勉強のことなど聞いても仕方ない」と思っています。
なので「ガクチカ」というと、自発的にやった「課外活動」ばかり聞くことになり、学生もESや面接でそういう話をしないといけないと思いがちです。しかし、本当はそんなことはないのです。
いまの学生さんは昔とは違い、授業に出て、学業にちゃんとチカラを入れているでしょう。感度の高い採用担当者も、今の学生がきちんと学業をしていることを知っています。
大企業を中心に、採用応募時に成績表を提出してもらい、面接で学業についても聞こうとする会社が徐々に増えています。学生の履修データを登録しておけば企業に簡単に送信できるサービスを、株式会社履修データセンターが展開しているので、そこを利用する企業も多いです。
このように企業側の意識も変わってきているので、自信を持って自己PRの中に自分の学習歴、履修履歴のPRを入れてみてはどうでしょうか。
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『コミュ障のための面接戦略 』 (星海社新書)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。
■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/
「就職活動」をもっと詳しく
「就職活動」のニュース
-
【就職活動での業界・企業研究に関する実態調査】約3人に1人が業界・企業研究に「苦労している」と回答12月25日13時17分
-
26年卒採用「増える」13% 企業の意欲依然高く12月20日17時32分
-
就職活動でも活用できる! 「読み手に想像させる文章」を書く3つのコツを例文を交えて紹介12月20日17時0分
-
奈良県が1月〜3月、就活セミナー「ならジョブカフェセミナー」開催12月17日9時23分
-
就活セミナーを開催します!1月〜3月12月12日15時16分
-
<開催レポート>様々な業界の人事・採用担当者がぶっちゃけトーク!「採用コストが年々上がっていてツラい」、「『オヤカク』・『オヤブロ』が正直しんどい・・・」現役の人事・採用担当者による座談会を開催12月12日13時16分
-
「マイナビ 2026年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(11月)」を発表12月12日12時17分
-
就活のグループディスカッションで差をつける“回す力”の秘訣を解説 第1回 グループディスカッションで「評価される」3つの要素12月10日6時2分
-
明日の『おむすび』“結”橋本環奈、就職活動をスタート スポーツ栄養に関われる会社を志望12月9日8時15分
-
明日の『おむすび』あらすじ。結は専門学校2年生になり、就職活動が本格化。沙智や佳純が志望先を絞る中、森川は…<ネタバレあり>12月9日8時15分