「いつかメジャーで優勝を」 “日本の女王”として世界へ進出する2025年への想い【竹田麗央・新春インタビュー】
2025年1月1日(水)12時0分 ALBA Net
2025年シーズンへの思いを書き初めでしたためた竹田麗央。プロゴルフ人生の第2章がまもなく始まろうとしている(撮影:福田文平)
“竹田麗央時代到来”。2024年の国内女子ゴルフ界は、この一言に象徴される年になった。初優勝からメジャー2勝含むシーズン8勝に加え、米国ツアー出場権も得て年間女王を戴冠。そんな華々しい一年を、そして今年から始まる米国ツアーへの思いなどを本人が語った。(取材、構成/間宮輝憲)
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■国内ツアーを席巻した2024年
−−2024年シーズンを振り返って
「まず、こんなに優勝できるとは思っていなかったのですごくビックリしています。海外メジャーに出場できたり、年間女王にもなることができて、すごく楽しいシーズンでした」
−−21歳での年間女王戴冠、そしてこのタイミングでの海外挑戦について
「シーズンが始まる時には、年間女王になれるなんてまったく考えてもなかったですし、今年取れるとも思ってなかった。それもすごくビックリしています。ただ、海外ツアーで戦うなら少しでも早い方がいいと思う。その点では、特に早すぎるという感覚はないですね」
−−女王になったという実感は
「いろいろなお仕事に呼んでもらえるようになったので、その辺りで実感しますね。地元(熊本県)でも『おめでとう』と言ってくださる人たちがたくさんいる。頑張ってよかったなと思います」
−−初優勝は4月に地元・熊本で行われた「KKT杯バンテリンレディス」。プロ3年目での初優勝だった
「ここまでに同学年の選手(川崎春花、神谷そら、櫻井心那ら)がかなり優勝を挙げていたので、私も続きたいと思っていたけど、できませんでした。今年は頑張ろうと思ってスタートして、熊本で初優勝を挙げてから、試合中もすごく落ち着いてプレーできるようになりました。優勝争いでも自信を持ってプレーできていたので、そういった意味でも大きな1勝だったと思います」
−−24年シーズンを迎えるにあたり、ショートゲーム強化を徹底して行ったことをこれまでも話していた。例えばリカバリー率が23年は『61.2319%』(55位)だったが、24年は『69.1517%』(7位)と大幅アップするなど、飛躍につながった
「もともとショートゲームの練習量が少なかったんです。そこで、しっかり練習時間を取ってやるようにしました。それまでは練習のメーンはショットだったんですけど、時間の使い方を逆にしました。まずはショートゲームを練習して、余った時間でショット練習をする、というように。とにかく練習量が少なかったので、まずは練習時間を多く取ることを意識して、あとは上げるアプローチの練習などをずっとやっていました」
−−ルーキーイヤーだった22年はメルセデス・ランキング58位に終わりシードも確保できなかった。その後の2年で大躍進できた要因は
「毎年、毎年いい経験ができていると思っていて、すごく勉強になることばかり。1年目も飛距離には自信があったけれど、プレーの精度や、気持ちの部分では全く自信を持つことができていませんでした。その時はシードも取れずに悔しかったですけど、2年目、そして3年目ととてもいい経験ができて、それがすごくよかったなと思っています」
−−改めて24年シーズンを自己採点すると
「99点という感じですかね。何試合か優勝争いで負けたり、最終戦のリコーカップでは最終日に崩れたので、1点マイナスしました」
■「まったく考えてなかった」今年の米国参戦
−−メジャーで2勝(ソニー日本女子プロ選手権、日本女子オープン)を挙げたことで5年間の複数年シードを獲得。これが米国進出を考えるうえで大きかった
「そうですね、複数年シードが取れたことで現実味が増しました。もともとは『日本で10勝くらいしたらアメリカに行きたい』というプランだったので、もう少し先のことだと思っていました。シーズンが始まる前は、Qシリーズ(米ツアー予選会)を受けることもまったく考えていませんでした。23歳、24歳くらいで行ければ…という感じでした」
−−そもそも米国ツアーへ憧れを抱いたきっかけは
「もともと小さい頃からアメリカでやりたいとは思っていました。そのなかで日本の選手がどんどん活躍するようになり、そういう姿を見て自分も行きたいなという気持ちが強くなっていきました」
−−米国ツアー対策は
「まだ準備自体はそこまでできていないですし、ショートゲームについてはもっと練習したい。あと昨年はバンカーからのリカバリー率が低かった(サンドセーブ率は『42.5287%』で50位)ので、その辺りも練習できればと考えています。飛距離については、海外にはもっと飛ばす選手がいますが、その選手のなかでも自分の飛距離に自信をもっていきたいですね」
−−25年シーズンは山下美夢有選手や岩井明愛・千怜姉妹など日本ツアーから挑戦する選手も多い
「今年たくさん一緒に回った選手たちとアメリカに行けるのはすごく心強いです」
−−仲がいい小祝さくら選手に米国ツアー参戦を誘ったりしたことは
「何回も誘ってるんですけど…全然『行く』って言ってくれないですね(笑)」
−−クラブ構成の見直しは
「基本的には今年のままでいくと思います。ただ、芝質が日本とは異なるので、ウェッジはバンスが違うものを持っていこうかなと考えています」
−−米国ツアーを戦ううえで助言を受けていることや、ゴルフ面やそれ以外でも楽しみにしていることは
「炊飯器を持っていったほうがいいという話は、たくさんの方から聞きました。いろいろな場所でプレーできるのは楽しみです。あとは野球(メジャーリーグ)も見られたらうれしいですね。見たいのは、やっぱり大谷(翔平)選手です。チケットは…今、お願いしています(笑)」
■オフに取り組んでいくことは?
−−米国ツアーでの目標
「いつかは海外メジャーで優勝したい。そのためには、もっとうまくならないといけないと思っています。さらにレベルアップができたら」
−−それぞれのメジャー大会のイメージは
「シェブロンは、(優勝者恒例の)“水に飛び込むイメージ”ですね。全米女子オープンは、昨年大会は笹生(優花)選手が優勝しましたが、それを18番で見ていました。ただただ、すごいなと。一番大きい大会でもあると思うので、自分のなかで一番頑張りたいメジャーです。全米女子プロは、昨年のコースが狭くてフェード、ドローを両方打ち分けられる選手でないと上位にいけないと思ったし、難しかったですね。エビアンはアップダウンがすごくて、コースはあまり好きな感じではなかった。全英は風が強くて寒いですし…あまり好きじゃないです」
−−先ほどバンカー練習を増やしたいと言っていたが、具体的な課題は
「ピンから近い距離でのバンカーショットではパーを拾えていたけど、少し遠くなるとつっこめない、ということも多かった。そこで思い切ってつっこめるようになるための練習がしたいです。30〜40ヤードくらいの距離からの練習になると思います」
−−フィジカル面を鍛えるためのトレーニングは
「筋トレは、自重トレーニングくらいはやりますが、これまで基本的にはしませんでした。アメリカに行っても、きついですし…やりたくないですね」
−−コースの研究や憧れの選手とのプレーについては
「コースの研究は、まったくしてないです。憧れの選手も、特にはいないですが、すごく強い選手がたくさんいるので、一緒に回れたらうれしいですね。基本的に出られる試合にはすべて出る予定です」
−−改めて25年の目標を
「今はすごく楽しみな気持ちが大きいので、最後まで自分のベストを尽くして、いろいろな経験ができたらと思っています。まずは一年間いろんなところでプレーして、自分のゴルフのレベルアップをはかっていきたいです」
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竹田の米国ツアー本格デビュー戦は、過去2年間のツアー優勝者しか出られない『ヒルトン・グランド・バケーションズ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ』(1月30〜2月2日、米フロリダ州、レイクノナG&CC)になる予定だ。忙しかった12月を終えた今は、開幕まで1カ月を切っている状況でもある。“日本の女王”として海を渡る21歳が、米国ツアーを席巻する姿に期待したい。
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