今季必見の逸材たちをピックアップ！ 大学球界のドラ1有力左腕など24年ドラフト候補10選【投手編】

総合力が一番のドラ1候補は？

金丸（左）と中村（右）は揃って総合力が高く、今年の大学球界ではスケールが段違いだ。写真：西尾典文

　昨年は大学生投手たちが相次いで上位指名されたドラフト会議。2024年もプロへのステップアップを果たせるだけのポテンシャルを持った選手が揃っている。

　果たして、24年の指名候補にはどんな有力選手がいるのか。投手と野手の10人ずつを厳選して紹介したいと思う。今回は投手編だ。

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●金丸夢斗（関西大＝神港橘高出身／左投）
　2024年の投手の目玉。高校時代は目立った実績がなく、全国的には無名の存在だったが、関西大進学後は1年秋から先発の一角に定着。そこから3年秋までの5シーズンでリーグ戦通算19勝2敗という圧倒的な成績を残している。

　コンスタントに150キロを超える球速を誇る本格派左腕ながら、コントロールも抜群。昨年1位指名された大学生投手たちと比較しても総合力では上という声も多く、貴重な左腕ということもあって、人気が集中する可能性は高い。

●中村優斗（愛知工業大＝諫早農出身／右投）
　毎年好投手を輩出する愛知大学リーグでも、歴代屈指の実力を誇る本格派右腕。下級生の頃は、球速を有しながら勝てない試合が目立ったが、年々安定感が増している印象を受ける。大学日本代表候補合宿でマークした最速157キロという数字が大きく取り上げられる。

　コントロール、変化球のレベルは高い。一方で、走者を背負ったケースでのクイックがやや遅く、足を使って崩されるのは課題。ボールに関しては圧倒的なものがあるだけに、今年は全国大会で快投を見せたい。

●篠木健太郎（法政大＝木更津総合高出身／右投）
　木更津総合高時代も1年時から注目を集めていた右腕。法政大進学後は2年時に早くも大学日本代表に選ばれ、候補合宿では157キロをマークして鵜の目鷹の目のスカウト陣を驚かせた。

　3年春は最優秀防御率のタイトルも獲得したが、秋は右肩の違和感を発症。12月の大学日本代表候補合宿でも本来の出来とは程遠い投球に終わっている。躍動感は抜群だが、高校時代に比べて無駄な動きも多くなったように見える。最終学年は球速だけでなく、本来の持ち味である制球力に磨きをかけたい。

環太平洋大で“初のドラフト”の可能性を秘める本格派左腕

●徳山一翔（環太平洋大＝鳴門渦潮高出身／左投）
　地方リーグで熱視線を注がれる本格派サウスポー。完全に主力となったのは3年からだが、昨秋の明治神宮大会ではプロスカウトのスピードガンで最速153キロをマーク。ストレートで打者を圧倒するピッチングを見せた。

　速球は数字以上に打者の手元で勢いがあり、空振りを奪える球質の高さが魅力。チェンジアップなど変化球も悪くない。左腕では金丸に次ぐ存在といえ、環太平洋大から直接では初となるドラフト指名（過去に独立リーグ経由では指名あり）、さらには1位指名の期待もかかる。

●寺西成騎（日本体育大＝星稜高出身／右投）
　中学時代にU-15侍ジャパンにも選ばれた大型右腕。星稜高では期待されながら故障に苦しみ、大学でも2年まではリハビリに専念していたが、昨春にいきなり5勝0敗、防御率0.31という見事な成績を残してMVPに輝いた。

　フォームの安定感と完成度の高さはアマチュア球界全体でも屈指の存在で、140キロを超えるスプリットは大きな魅力でもある。昨秋の明治神宮大会では好投しながらも一発に泣いただけに、最終学年では全国大会でのリベンジにも期待だ。

●浅利太門（明治大＝興国高出身／右投）
　ハイレベルな投手が集う東京六大学でも、ポテンシャルの高さはナンバーワンと言われている大型右腕。ステップの幅が狭く、一見するとフォームは体重が後ろに残っているようにも見えるが、指にかかった時のストレートは楽に150キロを超える。

　昨年の大学選手権で全国デビューを果たし、1イニングの投球ながらスピードで圧倒。リーグ戦での実績はまだまだ乏しいだけに、最終学年ではポテンシャルの高さに見合うだけの成績を残してくれることを期待したい。

高校球界で頭一つ抜けている右腕とは？

●小船翼（知徳高／右投）
　静岡県内では入学当初から評判になっている超大型右腕。2メートル近い長身で体重も100キロを超え、日本人離れした体格から投げ込むストレートは早くも最速150キロを超える。

　テイクバックで右肩が下がり、重心の上下動も大きいものの、指先の感覚は良く、意外に変化球のコントロールも悪くない。ボールのスピードがあるのは、いまだ試合序盤だけだが、体力を身につけて1試合を通じて高い出力を維持できるようになれば、1位指名も見えてくるだろう。

●川勝空人（生光学園高／右投）
　現時点で最速153キロを誇る、2024年の高校生最速右腕だ。球速は“瞬間最大風速”というわけではなく、コンスタントに150キロに迫るボールを投げられる出力の高さは高校生投手の中では頭一つ抜けている印象を受ける。

　まだまだ全体的には力任せで、安定感に課題が残すが、鋭く変化するスライダーなど変化球のレベルも高い。昨年夏、秋と県大会で上位進出しながら接戦で敗れているだけに、最終学年はチームとして悲願の甲子園初出場、そして1位指名でのプロ入りを目指したい。

●洗平比呂（八戸学院光星高／左投）
　東北の高校球界を代表するサウスポー。1年夏に出場した甲子園でいきなり先発を任されると、昨夏は初戦の明桜戦で完封勝利もマーク。177センチと上背はないが、長いリーチを柔らかく鋭く使える腕の振りは一級品。

　球持ちが長く、緩急も使えるためストレートで空振りが奪えるのも魅力だ。昨年秋の東北大会でもエースとしてチームの準優勝に大きく貢献した。選抜でストレートが140キロ台後半をマークすれば、一気に上位指名も見えてくるだろう。

●今朝丸裕喜（報徳学園高／右投）
　関西の高校球界で注目を集めている大型右腕。昨春の選抜ではまだ140キロ程度だったが、順調にスケールアップし、秋の練習試合では150キロもマークしている。長身だがフォームのバランスが良く、高い位置から腕が振れ、ボールの角度があるのも魅力だ。

　上背の割に身体つきはまだ細いだけに、筋肉量が増えればまだまだスピードアップする可能性は高い。2年連続の選抜出場は微妙な状況だが、もし出場となれば屈指の注目投手となることは間違いない。

［取材・文:西尾典文］