埼玉県勢6大会ぶりの8強進出 正智深谷に現れたシンデレラボーイ・海老塚宝良

1月4日(水)13時7分 サッカーキング

2アシストを記録し、勝利に貢献した海老塚宝良(24番) [写真]=瀬藤直美

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取材・文=河合拓(提供:ストライカーデラックス編集部)

 立ち上がりから試合の主導権を握った正智深谷だったが、序盤はチャンスを生かせない。それでも前半19分に相手のミスを逃さずに鈴木涼太のゴールで先制すると、前半のアディショナルタイムにもカウンターから小山開喜が追加点を挙げて2−0で前半を折り返した。後半に入ると創造学園が攻め込み、正智深谷もカウンターからチャンスをつくる。アディショナルタイムには途中出場した梶谷政仁が追加点を決め、正智深谷が3−0で勝利した。

 3回戦の創造学園戦、正智深谷の窮地を救ったのは、2回戦の関東第一戦(〇2−1)でベンチ入りメンバーからも外れていた2年生の海老塚宝良だった。選手権の県予選でもチームの初戦となった2回戦で短時間出場したのみ。しかし、関東第一戦でボランチの谷口瑛也が退場となり、チャンスが巡ってきた。

「初戦でベンチ外になって、表面上は笑顔で、頼んだぞみたいな感じだったのですが、心の中では『悔しいな』と思う気持ちもありました」と、前日の複雑だった胸中を明かす。だからこそ、3回戦での出場もないかなと思っていたが、試合後に小島時和監督から「明日、あるぞ」といわれて、初の選手権に集中した。

 そして海老沢は、与えられたチャンスを生かす。前半19分、坂戸ディプロマッツでもともにプレーし、「高校でも、また一緒にプレーしたい」と、自身が正智深谷に入学するきっかけとなった1学年上の鈴木涼太のゴールをアシストした。さらに前半アディショナルタイムにも、倒れ込みながら右サイドから左にパスを通して、チームの2点目も演出した。

「1点目のアシストができて、乗ることができました。あの場面は、相手が目の前にいたのですが、右サイドに涼太くんが走っていたので、涼太くんがフリーな状態で打てるように、1回ためて出しましたね。2点目は、新井晴樹くんがよく走ってくれて、そこに自分は出すだけって感じでした」と、海老塚は2つのアシストを振り返った。

 小島監督も、「海老沢はテクニックがあるので、田島帆貴と絡めると面白いと思っていました。初めて起用しましたが、慌てずに、まったく雰囲気に動じずによくやってくれました」と、そのプレーを称賛した。

 全国の舞台で、しっかりと力を示した海老沢は、試合後にはスタンドで試合を見ていた谷口から「ありがとう」と感謝されたという。ただ、この試合のプレーを考えれば、谷口の穴を埋めた海老沢が、次の試合で再び起用されても不思議ではないだろう。海老沢自身も「今日は『テル(谷口瑛也)のぶんも』という感じだったのですが、次も自分が出ることができたら、チームのために戦って勝利に貢献できるようにしたいです」と、次の戦いを見据える。

 準決勝の会場は埼玉スタジアム2002。準々決勝に勝利すれば、再び埼玉で試合ができるのだ。第89回大会の西武台以来、埼玉県勢6大会ぶりの8強進出を果たした正智深谷を「また、埼玉に戻ってきたいです」と話す2年生のシンデレラボーイが活性化する。

(試合後コメント)

正智深谷
小島時和監督
みんな役割を責任もってやってくれて、うちらしいサッカーができたなと思います。後半に決めるところをしっかり決めて、もっと早く楽な展開にしてくれればよかったのですが、やっぱりチャンスを外すとピンチになっていました。本当にギリギリの線で相手がシュートを外してくれたので、相手に助けられた部分もありますが、3点目が入って『決まったな』と確証したゲームでした。前半アディショナルタイムのゴールも大きかったです。ただ、2−0というスコアは逆転される可能性もあるゲームですし、過去に痛い経験もしていたので、後半の立ち上がりに点を取ることよりも、まず取られないことを意識させました。終始、立ち上がりはうちのペースで試合を進めていたので、よかったなと思います。ベスト8は目標のラインだったので、そこに到達できてうれしいですし、ホッとしています。聖和学院も、青森山田もいいチームなので、(どちらが対戦相手でも)厳しい戦いになると思いますが、やる以上は埼玉スタジアムに戻ってこられるように、一致団結して戦えるようにしっかり準備したいなと思います。

24番 海老塚宝良
(出場停止だった)谷口の分も、勝ててよかったです。彼の分もという気持ちは強かったので。彼に「頼んだぞ」といわれて気持ちが入って、冷静にできました。昨日の試合が終わった後に、「おまえ、あるぞ」といわれて緊張しました。守備は自分の課題なので、そこを意識して強くいけるようにしています。攻撃面では、いつも監督から『いっぱいボールを受けて、得点に絡むことをしろ』といわれているのですが、今日は自分のプレーができましたね。試合を楽しめました。試合がすごく面白くて、ボールも結構、回せましたし、3年生とプレーできることを楽しんで、1試合でも多く一緒にプレーしたいです。

8番 鈴木涼太
強い相手といわれているチームを倒すのがサッカーの楽しさだと思うので、相手が青森山田でも勝利を目指してみんなで一丸となって、一致団結してやっていきたいです。チームは自信がついてきたと思うのですが、あまり調子に乗ると、前の選手たちは調子に乗りすぎる選手ばかりなので、謙虚に、謙虚にやることが大切です。僕はそこにブレーキをかける役割だと思うので(笑)。

11番 新井晴樹
今日は試合に入る雰囲気がつかめていました。初戦は固くなってしまい、自分のいい所をまったく出せずに終わってしまいました。こういう雰囲気に慣れて、冷静に戦うことができたと思います。初戦は、足がつっただけです。たぶん、緊張で足がつったのだと思うのですが、妹が応援席で試合を見ていたら、後ろにいたおじさんたちが「11番、またつったよ」といっていたらしいので、ちょっと悔しかったです。妹に8強進出を見せることはできましたが、ゴールを取る姿を見せたいです。県大会もなかなかゴールを決められなかったのですが、決勝で決めて「晴樹は、いいところを持って行けるから」といわれていますし、焦ってはいません。次は大一番なので、自分が決められるかなと思っています(笑)。優勝して、埼玉県を沸かせたいです。全国大会は、応援団も県予選の倍くらい来てくれていて、一致団結という自分たちのテーマに沿った戦いができていると感じながら戦えています。本当に幸せですし、そういう舞台で戦う責任感も感じています。

創造学園
勝沢勝監督
変なミスから失点してしまったので、もったいない失点だったなと思います。今日は前半を0−1で折り返すことは想定内ではありませんでした。向こうは連戦で、昨日の試合は10人で戦っていたので疲労もあったので、前半に取りたかったのですが、戦い方に慣れていて試合巧者だなと感じました。ミスから前半に2点取られましたし、2点目も奪われ方がよくなくて、向こうはそういう形を狙っていました。向こうの形で点を取られて、前半が終わってしまったので。後半に攻撃的な選手を入れる予定でしたし、入れたのですが、GKがミスを恐れて、ロングボールを蹴り続けてしまいました。本来はビルドアップをきちっとするチームなのですが、そこができなかったのか、しなかったのかわかりませんが、ちょっと寂しかったですね。でも、選手たちは持っている力を出そうとやってくれたので、よく頑張ってくれたと思います。

3番 森昂大
2失点目は自分のミスからでした。失い方が悪くて……。そこはやってはいけませんでした。自分が悪かったです。自分たちの流れのときに1点取れていれば、同点まで行けていたと思うので、あそこで点を取れる力をもっとつけないといけません。選手権は初めてで、何が起こるかわかりませんでしたし、初戦では相手が格上でも勝てることがわかりましたし、自分たちが甘かったらこういう試合になってしまうことも学びました。自分たちの代でも、前の試合のように、あきらめないで最後まで戦うことを意識してやっていきたいです。僕は2年生で唯一試合に出ていたので、この悔しさを他の2年生にも伝えて、来年は自分が後ろから声を出して守りたいです。

サッカーキング

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