青森山田が自慢の「飛び道具」で圧勝。選手権連覇へ揺るぎない強さ

1月4日(土)15時40分 Sportiva

 連覇を狙うディフェンディングチャンピオンが、悠々のベスト8進出である。

 第98回全国高校サッカー選手権大会3回戦。昨年度優勝の青森山田は、今年度高校総体準優勝の富山第一と対戦し、4−1で勝利した。


リスタートから4ゴールを量産した青森山田が難なく8強入り

 シュート数は、青森山田の10本に対し、富山第一は8本。CK数にしても、同じく3本に対し、2本。数字が示すように、”流れのなか”での攻防に関しては、それほど大きな差があったわけではない。

 富山第一の大塚一朗監督も、「(青森山田が)前半もっとプレッシャーをかけてくるかと思ったが、(相手ディフェンスの)間、間にボールを入れながら、つなぐことができた。結構ボールを持っている時間は長かった」と、試合を振り返る。

 しかし、そんな展開だったにもかかわらず、終わってみれば4−1。青森山田の強さが際立った試合、と言ってもいい。

 では、なぜ青森山田は圧倒的攻勢で試合を進められたわけでもないのに、これほどゴールを量産できたのか。

 その答えは、青森山田には”飛び道具”、すなわち、セットプレーという武器があったから。4ゴールの内訳は、ロングスロー、FK、CK、CK。実に4点すべてがリスタートプレーから生まれているのである。青森山田の黒田剛監督が語る。

「(富山第一が)5バックなので、真ん中をこじ開けるのは難しい。リスタートが大事になる。どちら(のチーム)も守備に重きを置いて戦うなかで、リスタートがかなり有効だった」

 しかも、先制点は前半7分、貴重な追加点となる2点目は後半4分と、前後半それぞれの立ち上がりに得点が生まれている。

「本当にいいタイミングで点を取れたのが勝因だった」(黒田監督)

「やられちゃいけない時間帯にやられたのは痛かった」(大塚監督)

 両監督のコメントも、この点について明暗くっきり分かれる結果となった。

 富山第一にしても、「セットプレーで(得点を)入れて、逃げ切りたい」(大塚監督)というのが戦前のプランだった。実際、一矢報いた1点は、しっかりと練られたFKで奪ったもの。セットプレーは、富山第一にとっても武器だった。

 しかし、そのセットプレーから逆に4点も奪われたのでは、勝負にならなかった。大塚監督が振り返る。

「(相手FKやCKの)ボールの質もよかったのかなとは思うが、(選手それぞれの)役割を決めていたが、それがはっきりせず、(相手選手が)フリーになることが多かった。(マークに)ついていったり、競ったりすることができなかった」

 とはいえ、青森山田のセットプレーが、高校生レベルとしては飛び抜けた高水準にあったのも事実だろう。大塚監督は、「警戒していたのに、やられたのは反省している点」と口にしていたが、とくにCKから生まれた3、4点目は、わかっていても止めようがない。そんなふうにすら見えた。

 一発勝負のトーナメント方式で行なわれる選手権は、何が起こるかわからない。どんなに強いチームでも、徹底して守備を固める相手を崩せず、ついにはPK戦で敗退することもありうる。

 だからこそ、セットプレーという武器を持つことの意味は大きい。そんなことをあらためて思い知らされる試合だった。

 まずスローインでは、ペナルティーエリア内まで投げ入れることができるDF内田陽介。そしてCKやFKでは、左足のMF武田英寿、右足のMF古宿理久。青森山田はシチュエーションごとに、高精度のボールを供給できる選手を備えている。

 加えて、青森山田の選手たちは、フィールドプレイヤー10人のうち、身長178cm以上が6人と、高校生レベルとしてはかなり体格に恵まれており、ゴール前での競り合いにおいて、高さと強さの両面で圧倒的な優位性を見せる。

 こんな選手が居並ぶゴール前で、しかも、GKの手が届かない位置へ正確なボールが送られてしまえば、相手チームは手も足も出ない。

 古宿のFKに頭で合わせ、試合の行方を決定づける2点目を決めたFW田中翔太は、「セットプレーの練習にかけている時間は、ほかのチームより絶対に多い」と誇らしげに語り、こう続ける。

「練習でやってきたことを出せれば、ゴールになる自信はある。ヒデ(武田)とリク(古宿)はすごくキックの質が高いので、あとは(ゴール前の選手が)決められた場所へ入ればいい。(セットプレーからの)4得点は全部形が違うが、決められてよかった」

 田中曰く、事前に対戦相手の試合映像を見て、「どの位置が一番空いているのかを分析する」。だが、4ゴールも奪ったとはいえ、「トリック(プレー)も使ってないし、(ゴール前の選手が)決められた場所へ順番に入っているだけ」。まだまだ多くの引き出しが残されている様子をうかがわせる。

 4点取ったと言っても、流れのなかからは点が取れていないじゃないかと、意地悪な見方もできるだろう。観客目線で率直に言えば、同じくベスト8へ勝ち上がった昌平、帝京長岡、静岡学園などのテクニカルなチームに比べ、エンターテインメント性にも欠ける。

 だが、強靭なフィジカル能力を備えた選手たちが、個々にやるべきことを忠実にこなし、局面ごとに相手を封じ込める。その点において、青森山田の力は今大会で図抜けている。

 あくまでも、そのベースがあったうえで、わずかな敗戦の可能性さえもさらにゼロに近づけるためのセットプレーである。トーナメント戦において、これほど確実で、強い勝ち方はない。

 選手権は一発勝負。まして、経験の乏しい高校生のやることに”絶対はない”と知りつつも、もはや連覇は揺るぎないのではないか。そんなふうに思えてくる。

 今の青森山田は、それほどに強い。

Sportiva

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