張本智和が弱点を武器に不振→成長。打倒中国勢と五輪頂点が見えてきた

1月4日(土)6時10分 Sportiva

東京オリンピックで輝け!
最注目のヒーロー&ヒロイン
卓球 張本智和 編

 12月21日から2日間、今年最後の大会となる卓球ジャパントップ12が宮城県・仙台市で行なわれ、東京五輪の男子シングルス代表選考を満たした張本智和が2年連続の優勝を果たし、表彰台で笑顔を見せた。その肩の荷が下りたような表情からは、16歳の若き日本のエースにとって、この1年間がどれだけ「もがき苦しんだシーズンだった」のかが伺えた。

昨年のワールドカップ準決勝で、中国の馬龍を下した張本
 張本は、2018年12月のワールドツアーグランドファイナルで最年少優勝(当時15歳)を達成し、心身ともに最高の状態で代表選考が行なわれる2019シーズンに突入。グランドファイナルの優勝で世界ランキングは、5位から日本人男子の最高位を更新する3位に上がり、誰もが同1位で東京五輪を迎えることを夢見た。
 しかし、その期待とは裏腹に、2019年は苦難の連続だった。連覇を狙った1月の全日本選手権では、同じTリーグの木下マイスター東京でプレーする大島祐哉にセットカウント3−4で振り切られ、まさかの準決勝敗退。そこから気持ちを切り替えられないまま、Tリーグでも連敗を喫するなど、極度の不振から抜け出せなくなっていた。
 張本は当時を「卓球を15年間やってきて、初めて『負けても仕方がない』と思ってしまった。今思えば、プロ意識が欠けていたんだと思います」と振り返っている。
 さらに国際試合でも、以前より「苦手」と言われていたフォアハンドを徹底的に研究され、4月の世界選手権シングルス4回戦で世界ランキング157位(当時)の格下・安宰賢(アンジェヒョン/韓国)に敗退。「何も考えられなかった。信じられない気持ちだった」と、悔しさのあまり涙を流し、ベンチから立ち上がれなかった。
 五輪への焦りか、日本のエースとしての重圧か。今まではその実力と強気の姿勢で難敵を次々と退けてきた張本でも、選考レースが進むに連れてプレッシャーで押しつぶされそうになっていた。
 それでも、弱点を克服すべく前を向いた張本。本人が「今までにないくらい厳しい練習をした」と話すほどフォア打ちに時間を費やし、下半身強化に努めた。それによって球威が増したフォアハンドは、すぐさま「弱点」から「武器」へと変化する。

 6月の香港OP準々決勝、日本人対決となった水谷隼との一戦でフォアサイドを中心に攻められるも、進化した張本は回転量の多いフォアドライブで打ち返して勝利。復活の兆しを見せ、続く8月のブルガリアOPでは、中国の新鋭・趙子豪 (チョウシゴウ)を破って2019年シーズンのツアー初優勝を飾る。試合後には、「本当にメンタルが強くなった。悔しい思いをしながら練習を頑張ってきて、やっとここで今年ひとつ目の結果が出た」と手応えを口にした。
 12月1日の男子ワールドカップ準決勝では、リオ五輪金メダリストで、世界卓球3連覇中の馬龍(マロン/中国)を下して”絶対王者”超えを果たした。さらに決勝でも、当時の世界ランキング1位、樊振東(ファンジェンドン/中国)と互角の試合を繰り広げた。
 フォアハンドに球威と安定性が生まれたことによって、もともと最大の武器としていた、バックハンドが生きるようになった。台上の短いボールを手首の反動を利用して払う”チキータ”を、フォアの攻撃とバランスよく使えていることが、この快進撃につながっている。
 そしてついに、11月のオーストリアOPでの他の日本選手の結果を受け、世界ランク日本人上位2位以内が確実に。苦しみ抜いた末にたどり着いた歓喜の瞬間だった。それでも張本は「(五輪に)出るだけじゃなく結果を残すのが目標」と冷静にコメント。日本のエースが見据えるゴールは、もっと先にある。
 その後、連覇がかかる12月のグランドファイナルでは、準々決勝で12月発表の世界ランキングで1位に躍り出た許昕(キョキン/中国)にセットカウント3−4で惜しくも敗退。第6、7ゲームはいずれも先にマッチポイントを握っていただけに悔やまれるが、この試合を含めた2019年の後半の戦いぶりを見ても、中国勢の背中は決して遠くない。それだけに、五輪本番までの残り約7カ月、どのように過ごしていくかが重要だ。
 まだ若く、伸び代はある。2020年からどのような成長曲線を描き、飛躍を遂げていくのか。2019年に大きな壁を乗り越えたように、またひとつ、新たな進化を期待したい。

Sportiva

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