WEC:ヨースト、ザウバーにサポート要請。グリッケンハウスがLMH参戦体制を強化

2021年1月5日(火)16時50分 AUTOSPORT web

 スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス(SCG)が、ル・マン24時間レースの優勝チームであるヨースト・レーシングとザウバーに対し、WEC世界耐久選手権のLMHル・マン・ハイパーカープログラムに参加するよう協力を求めていることが明らかになった。


 SCGの創設者であるジェームズ・グリッケンハウスは、ル・マンで通算15回もの勝利を収めたヨーストが、2台体制で取り組む2021年のキャンペーンのなかでリソースと人員を提供する予定であるとし、ザウバーがSCG 007レースカーのエアロダイナミクス開発を担当する、とSportscar365に語った。


 2021年に始まるWECの新しい最高峰カテゴリーにノンハイブリッド車で挑むSCGは、イタリアのポディウム・アドバンスド・テクノロジーズにマシン開発を依頼してきたが、プロジェクトはさらにふたつの老舗レーシングチームとのパートナーシップによって強化されることになる。


 ポルシェで4回のル・マン優勝を飾ったヨーストは、2016年に終了したアウディLMP1プログラムのエンジニアリングを担当し、計11回の総合優勝を飾った。近年は北米のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権を戦うマツダモータースポーツと提携し、2020年3月までマツダのDPiマシンを走らせてきた。


「そのようなチームと関わることは、我々にとって理にかなっていた」と語るのは、SCGを率いるグリッケンハウス。


「小さな会社であれば、一流の人々と関わりを持つことが重要だと私は信じている」


「もし誰かがすでに持っているなら、7台のトラックとあらゆる種類のピット機材を買うのは完全にクレイジーだ。また、自分で風洞を作ってエアロダイナミクスの研究を行うこともね」


「さらに、率直に言って彼らはル・マンを歩き回った経験があるが、私はそうではない。ニュルブルクリンクで物事を管理するのはとても快適だ。ル・マンでもそうなるようにするつもりだが、すべてを自分で行う必要はない。彼らにはとても助けられているよ」


 ヨースト・レーシングによるサポートの正確な規模は不明だが、グリッケンハウスはこのプログラムは「ヨーストの参入ではない」と述べ、ドイツの会社がSCGのラベルが貼られたオペレーションの中で仕事をする契約であることを強調した。


「ルカ(・チャンケッティ/WECチームプリンシパル)と私がレースを運営することになった。確かに我々のエンジニアも何人か参加することになるが、彼らは良い関係だ」とグリッケンハウス。


「ヨーストには素晴らしい歴史と能力を備えた素晴らしいチームがある。彼らは今年、DPiを走らせていないのでキャパシティが余っており、それが我々にとっても都合が良かったんだ」


■ザウバーがエアロを担当。ロールアウトは今月下旬を予定


 昨年、ザウバーは60%スケールの風洞試験と解析を行い、ツインターボV8エンジンを搭載するSCG 007の空力特性を明らかにした。


 1989年にメルセデスとともにル・マンを制したスイスの会社は、LMHホモロゲーションプロセスの一環として、まもなくこのクルマの本格的な風洞試験を実施する予定だ。


「ザウバーはSCG 007のエアロを担当した」とグリッケンハウスは述べる。


「彼らはこの分野ではトップレベルの人たちだと思っている」


「ザウバーは我々と一緒に良い仕事をしたいと考えていたと思う。彼らは私たちに適切な見積もりをしてくれた。そして、彼らがホモロゲーションを行っている風洞だからこそ、少しは助けになるだろうと考えたんだ」


「クルマを別の風洞で開発して、そこにいる間に(ザウバー側で)何かが違うということにならないようにするためだ。彼らは最初からエアロ開発に関わっている」


「100%スケールの風洞試験はまだ行っていない。クルマが完成したら実施する予定だ。しかし私たちはこのクルマが合格し、非常に競争力があると確信している」


 最初の007シャシーは現在、ポディウム・アドバンスド・テクノロジーズで組み立てられており、ロールアウトは今月下旬に行われると予想されている。


最初の007シャーシは現在、Podiumに組み込まれていますが、最初のトラックの展開は今月後半に行われる予定だ。


 グリッケンハウスはプロトタイプカーレースの経験が少ないにもかかわらず、さまざまな企業とのパートナーシップのおかげで、彼のチームがトップチーム候補として浮上できると確信している。


 ヨースト、ザウバー、ポディウムに加えて、SCGはチームの他のレース活動にも関与しているLMHタイヤの単独サプライヤーであるミシュランとも提携。さらにグリッケンハウスは、WECのエントリーを支持しようとしているいくつかの「真面目なスポンサー」から関心を集めていると付け加えた。


「ミシュランはニュルブルクリンク24時間での結果に非常に満足していた。私たちは彼らから最高のサービスを受けることができる。また、我々のすべてのロードカーにミシュランタイヤを装着するつもりだ」


「私たちが誰であるかを本当に知っていて、理解している人はSCG 004Cがニュルブルクリンク24時間で優勝することが不可能だとは言えないと思う。そして、007がル・マンで優勝できることにすぐに気付くだろう。そうなるとは言わないが、可能ではある」

1989年のル・マン24時間レースで優勝したザウバーC9

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