ミラン強し。その理由は? イブラヒモビッチ復帰、トリノを切り裂いたレアルからの贈り物たち【分析コラム】

1月10日(日)11時36分 フットボールチャンネル

ユベントス戦の敗北を引きずらず

 セリエA第17節、ミラン対トリノが現地時間8日に行われ、2-0でホームチームが勝利している。前節のユベントス戦で今季リーグ戦初黒星を喫したミランだが、そのショックを引きずることはなかった。元レアル・マドリード戦士の活躍が、勝利を引き寄せたと言えそうだ。(文:小澤祐作)

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 セリエA第16節ユベントス戦で、ミランは今季リーグ戦初黒星を喫した。ズラタン・イブラヒモビッチを筆頭に主力に欠場者が多く、本職サイドバックのダビデ・カラブリアを中盤で使わざるを得ない状況。相手がデヤン・クルゼフスキーやフェデリコ・ベルナルデスキらを途中出場させる中、ミランは出場機会の多くないダニエル・マルディーニやロレンツォ・コロンボらが切り札と、スカッドの厚さで差をつけられてしまった。

 それまで好調だったチームが、わずか1試合落としただけで一気に失速してしまうケースは珍しくない。若い選手が多く揃うミランでも、ユベントスに1-3と敗れたことでそうした現象が起きてしまうのではないかと懸念されていた。

 しかし、どうやらいらぬ心配だったようだ。ミランは、ユベントス戦から中2日で迎えたトリノ戦を2-0で勝利し、首位をキープすることに成功している。

 元ミランのマルコ・ジャンパオロ監督率いるトリノは、GKサルバトーレ・シリグ含めた全員で丁寧にボールを繋いできた。そんな相手に対しホームチームは高い位置から素早いプレッシャーを与えボールの動きを確実に阻止。奪ってからは縦に速い攻撃を仕掛け、相手のラインを下げた。

 守備時5-3-2の陣形を取るトリノを崩すのは容易ではなかったが、ミランは25分に先制に成功。そして36分にはPKを獲得しリードを広げている。前半はアディショナルタイムにこそ少し押されたものの、トリノには2本のシュートしか許していなかった。

 後半、ジャンパオロ監督はそれまでの3-5-1-1から代名詞である4-3-1-2へとシステムを変更してきた。それにより、ミランは前半とは違ってマークが噛み合わなくなり、リズムが崩れてボールを握られ、深い位置への侵入を許すように。54分にサンドロ・トナーリが負傷退場してしまったこともかなり響いた。

「前半は特にクオリティーの面で優れていたが、後半は調子の良いトリノ相手にプレッシャーを受けることになってしまった」と、試合後にステファノ・ピオーリ監督は振り返っている。

 それでも、GKジャンルイジ・ドンナルンマの好セーブもあり何とか耐えた。ミランはこれで今季リーグ戦12勝目。勝ち点を40にまで積み上げている。ユベントス戦の敗北を引きずらずに勝ち点3を得たことは重要と言えるだろう。

個で切り裂いた“マドリー戦士”

 試合を振り返ってみると、ミランの勝因は前半にあったことがわかる。45分間で2得点を奪えたことは、トリノに大きなダメージを与えた。

 先述した通り、アウェイチームは守備時5-3-2のブロックを組んでいる。単純なパスで左右へ揺さぶるだけでは、当然大きくは崩れない。さらに最前線ラファエル・レオンと左サイドのイェンス・ペッター・ハウゲの相性も良いとは言えず。速い攻撃で相手のラインを下げても、深い位置まで侵入できないという時間帯は少なくなかった。

 そうした問題の解決策となったのは個の打開力だった。とくに躍動したのはレアル・マドリードからやって来たテオ・エルナンデスとブラヒム・ディアスだ。

 左サイドバックのT・エルナンデスは、非凡なスピードとフィジカルを武器に強引にでも突破を図り、この日も何度も脅威となった。ただ縦に行くだけではなく、内側のスペースを突くことでその後のプレー選択肢を広げるなど、ボールロスト時のリスクを背負いながらも勇敢に立ち向かい、トリノイレブンの悩みの種となっていた。

 25分の先制点の場面は、T・エルナンデスのドリブルが起点となっている。ドリブルで敵陣中央へ侵入し、相手DF3人を引き付け周りにスペースを提供。そうしてフリーになったB・ディアスからレオンとパスが繋がり、ゴールを奪っていた。

 後半はチーム全体として押し込まれたため存在感が薄くなっていたが、データサイト『Who Scored』によるドリブル突破数は3回。これはチーム2位の成績であり、全体としても2位タイの成績となっている。もちろん、DFの選手としては断トツの数字だ。

 そしてトリノの5バックを崩したもう一人の人物、B・ディアス。4-2-3-1のトップ下に入った同選手は、ライン間をうまく動きながらボールを引き取り、スペイン人らしい足下の技術を生かしながら様々なアクションをみせていた。

 36分のPK獲得はB・ディアスが個で打開したことによりもたらされた。ショートコーナーの流れから右サイドでボールを持ち、1対1を展開。一度右足でキックフェイントを入れて、その後すぐに左足でボールを前に出したことで相手の対応を難しくさせ、中へ侵入。最後はアンドレア・ベロッティのファウルを誘発している。このシーンを筆頭に、実にキレていた。

 T・エルナンデス同様後半は存在感を示せず、負傷したため60分に交代を余儀なくされているが、ドリブル成功数2回にアシスト1回を記録。これまでは批判の的となることもあったアタッカーだが、トリノ戦では試合を重ねるごとに成長している姿を見せることができたと言えるのではないだろうか。

 元マドリー戦士の活躍があり勝利したミランは、この試合でイブラヒモビッチやハカン・チャルハノールが負傷から復帰。ただ、トナーリとB・ディアスが怪我を負ってしまうなど、依然として苦しい台所事情だ。次節はカリアリ戦、その後アタランタ、ボローニャ、クロトーネ、スペツィアと下位に沈む相手との対戦が多くなっているが、そこでしっかりと勝利し、首位で第23節インテル戦に臨むことができるか注目だ。

(文:小澤祐作)

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