伊名将の腹心が日本代表を徹底解剖。トルクメニスタン戦で見つかった課題とは?【敏腕分析官の眼】

1月12日(土)11時55分 フットボールチャンネル

序盤から精度を欠き…

 日本代表は昨年のロシアワールドカップを終えて以降、森保一監督の下で新たなチーム作りを進めてきた。そして迎える初めての公式戦はアジアカップ。大陸王座奪還に向けてサムライブルーの強みと弱みはどこにあるのだろうか。イタリアの名将ロベルト・ドナドーニ氏の下で映像分析のスペシャリストとして働くアルベルト・ナビウッツィ氏が9日のグループリーグ初戦・トルクメニスタン戦を詳細に分析し、日本代表を丸裸にする。(分析・文:アルベルト・ナビウッツィ【YouCoach/イタリア】)

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 森保一監督が率いる日本代表は、9日のトルクメニスタン戦の大半でボールを支配したが、決して簡単であったとは言えない試合の末に、アジアカップは勝利という形でスタートした。

 森保監督は、GKに権田修一、DFに長友佑都槙野智章吉田麻也、酒井宏樹、セントラルMFに柴崎岳と冨安健洋、2列目に原口元気、南野拓実、堂安律、そして1トップに大迫勇也を置いた[1-4-2-3-1]の布陣を敷いた(図1)。

 それに対してトルクメニスタンは、1-5-4-1という非常に守備的なフォーメーションを採用し、引いて守ることでカウンターからの得点を狙っていた。

 日本代表のパフォーマンス分析を行うために90分間を1フェーズあたり15分、全6フェーズに分ける。そのうえで試合中の問題やそれに対する解決策を挙げていきたい。

第1フェーズ(0分〜15分)

 日本代表は序盤、シュートを打つための手段を中盤で模索しながらボールとフィールドを支配した。

 この最初フェーズでの森保ジャパンの攻撃陣は、ピッチ上をよく動いていた。大迫が中盤まで下りてくる動きを見せる。南野と堂安は厚みを作るために深いところにできたスペースまで走ったり、 柴崎と原口からの配球を受けるために動いたりする場面もあった(図2)。

 一方、トルクメニスタンは、ペナルティエリア手前のスペースに選手を増やして密度を上げながら、良く組織された動きでしっかりと守ることができていた。日本代表は、ゴール付近で厚みある攻撃をするためのタイミングをなかなか見い出せず、シュート前のパスも正確と言えるものではなかった。

失点から逆転に至るまで

第2フェーズ(16分〜30分)

 日本代表は相手側フィールドの中盤でボールを支配し続けたが、トルクメニスタンのカウンターに対してディフェンスラインは相手の動きを止めるためのアグレッシブさに欠け、良い準備も出来ていなかった。

 吉田麻也や他のDFたちはゴールに向かって引いていくことで、即失点に繋がりかねないフリーの状態で、相手選手にロングシュートを打つためのスペースを与えてしまっていた(図3)。その結果、26分にカウンターからアルスラン・アマノフに先制点を決められ、トルクメニスタンに先制を許してしまう。

第3フェーズ(31分〜45分)

 日本代表は1点を追う中で同点ゴールを取ろうと試みていたが、トルクメニスタン代表DF陣の高い壁に真っ向から勝負をかける選択肢ばかりをとっていた。さらに日本代表のFW陣は、少し焦りすぎているように見え、ボールコントロール、パス、さらには簡単なシュートまでミスを犯し、正確さが欠けていた。今後は前線の狭いスペースにおける正確なボールコントロールの技術を、より向上させていく必要がある(図4)。

第4フェーズ(46分〜60分)

 後半、森保監督は選手たちに明確なアイデアを与えたように思える。サイドを広く使いはじめ、原口に1対1の状況を作らせる場面が増えた(図5)。この戦術変更が日本の同点、そして逆転につながるシチュエーションを生み出した。

 56分には左サイドの原口からパスを受けた大迫が同点ゴールを奪い、直後の60分にも大迫が追加点を挙げた。2点目は吉田からのロングパスを、左サイドに大きく開いた原口がヘディングで落とし、内側のスペースに走り込んだ長友がボールを受け取って大迫にラストパスを通した。2点ともにサイドでの役割が変化した原口が絡んでいる。

やはり最大の課題は…

第5フェーズ(61分〜75分)

 後半の半ばの時間帯は日本がほぼ試合をコントロールし、相手を困難な状況に追い込んだ。

 継続的なサイドチェンジから原口が度々フリーになり、彼の持ち味のドリブルとゴールエリア付近のゲームメイクのうまさをより活用できたことが要因だろう(図6)。そして、日本は71分に堂安が3点目を挙げて3-1とリードを広げた。この1点によって試合を簡単に終わらせることができるはずだった。

第6フェーズ(76分〜90分)

 3-1で迎えた試合終盤も、日本代表の試合運びには不安要素が残されたままだった。日本の守備の問題点が残ったままであり、トルクメニスタンはオフェンス陣へのアプローチのアグレッシブさに欠く日本DFやディフェンス陣が与えたスペースをうまく利用していた。78分には中盤でボールを失ったところからカウンターを食らい、最終ラインを破られてGK権田が相手にPKを与えてしまう。そして3-2まで追い上げられた。この失点に繋がる場面、日本がボールを保持している際に槙野はポゼッションに参加していなかった(図7)。

 最後に、日本は持ち前のオフェンス陣のテクニックを武器に、攻撃における良いソリューションをいくつも披露していた。特に注目したいのは、選手全員が、森保監督が与えたアイディアを組織的なプレーで表現できること示したこと。しかし、日本の守備陣の問題点、「アグレッシブさの欠如」を森保監督は早急に解決しなければいけない。

(分析・文:アルベルト・ナビウッツィ【YouCoach/イタリア】)

▽著者プロフィール
アルベルト・ナビウッツィ
1979年10月20日生まれ、イタリア国籍。UEFA公認B級指導者ライセンス所持(2005〜)。かつてフィオレンティーナなどを率い、高度なサッカー戦術のエキスパートとして名高いセルジオ・ブーソ氏の下で修行を積む。アマチュアからプロクラブまで様々なカテゴリーの育成年代の選手たちを指導した経験も持つ。ジョバンニ・ストロッパ氏(現クロトーネ監督)などの下でも働き、現在はロベルト・ドナドーニ氏のスタッフとして試合分析官として活動中。 指導者サポートサービス「YouCoach」の創設者の1人。

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