NASCARトラックシリーズ参戦のHREが2022年体制を発表。4年ぶりのチャンピオンを狙う

2022年1月13日(木)6時45分 AUTOSPORT web

 米ストックカーレース最高峰NASCARのトラックシリーズにフルエントリーしている、服部茂章オーナー率いるHRE(Hattori Racing Enterprises/ハットリ・レーシング・エンタープライズ)は2022年シーズンを2台体制で臨むことになった。トラックシリーズへのシーズン2台エントリーはチームとして初めてとなる。


「2020年、2021年と(NASCARのトップ3シリーズのうち、上から2番目の)Xfinitiシリーズにもスポットで出ていましたが、新型コロナの影響でイベントフォーマットが練習走行や予選なしのほぼぶっつけ本番となり、複数台でフル参戦しているチームに比べると、データ量などで埋めるのが難しい差をつけられていました。もちろん、我々もシミュレーターを活用し、レースが中盤まで進めばクルマをかなり良くなったところまで持っていくことができていましたが、勝ちに持っていくところまでには至りませんでした。それならば、まずはトラックシリーズに集中しようと」(服部オーナー)


 トラックシリーズでのHREは、有力チームが複数台体制を敷くなかで、1台エントリーながらもセッティングの精度や作戦の確度は高いものを持ち、2018年から2021年まで4年連続でプレイオフ(タイトルコンテンダーが第1ラウンド10人→第2ラウンド8人→最終ラウンド4人と絞られていき、最終ラウンドに進出した4人のなかで先着したドライバーがチャンピオン、というシステム)に進出。2018年には、日本人のチームオーナーとしてNASCARで初めてシリーズチャンピオンとなった。


 HREは、NASCARトラックシリーズにおいてすでにトップチームとしての存在感を確立。2019年以降は毎シーズン、シリーズチャンピオンの有力候補として名前を挙げられてきた。だが、3年連続でタイトルを逃している。HREは、NASCARのトップシリーズであるカップ戦へのフルエントリーを長期的な目標のひとつとしているが、まずは選択と集中によってタイトル奪還を期すという構えだ。


 ドライバーは、2019年から3シーズン戦ったオースティン・ヒルから変更。エースカーの16号車には20歳のタイラー・アンクラム、61号車には22歳のチェイス・パーディを起用する。アンクラムは2018年からトラックシリーズへの参戦を開始。2019年に1勝を挙げた実績を持っているが、それ以降は優勝から遠ざかっている。

パーディの2021年のベストフィニッシュはゲートウェイでの6位だった。アンクラムと同じくGMSレーシングから移籍。1999年アラバマ州生まれ。


「タイラー(アンクラム)の2021年のレースを見ている限り、コースのタイプによる得手不得手なく戦えていた。彼としても少しでもいいチーム体制でやりたいということもあり、ウチに移ってくることになりました。オースティンは、2018年のタイトルを獲った我々のところに来て、2019年に4勝しました。その当時よりチーム力は上がっていますし、そのときのオースティンに比べるとタイラーのほうが経験を積んできています。新しいドライバーを迎えるとはいえ、当時よりは心配していませんし、タイトル奪還に向けて期待しています」


「チェイス(パーディ)は下のカテゴリーでも成績を残していて、いいドライバーだと思っていました。2021年もトラックシリーズで走っていましたが、リザルトは残せていません。そこは体制面の不利もあったでしょうから、まずは長い目で見ています。2台体制となることでセッティングデータ共有もできますし、クルマの戦闘力アップを図れると思います」


 2022年のトラックシリーズには、2021年シリーズチャンピオンのベン・ローズ、同ランキング4位のマット・クラフトン(ともにソースポーツ・レーシング)、昨季5勝・同ランキング3位のジョン・ハンター・ネメチェック(カイル・ブッシュ・モータースポーツ)、ランキング2位のゼーン・スミス(今季はフロント・ロウ・モータースポーツ)の2021年最終ラウンド進出者4人のほか、昨季2勝でプレイオフにも第2ラウンドまで進出したチャンドラー・スミス(カイル・ブッシュ・モータースポーツ)といった有力ドライバーも継続参戦。


 彼らが所属するチームの多くは複数台体制だ。今季のHREは彼らと同じ条件となる。これまで以上の力強い戦い方を見せてくれることは間違いなさそうだ。トラックシリーズは全23戦(レギュラーシーズン17戦、プレイオフ6戦)で、2月のデイトナで開幕する。


※この記事は本誌『auto sport』No.1568(2022年1月14日発売号)からの転載です。

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