水素時代のワンメイク車両『パイオニア25』の全10台が製造完了。競技詳細は今後アナウンス/エクストリームH
2025年1月14日(火)17時30分 AUTOSPORT web
ワンメイク電動オフロード選手権『エクストリームE』の後継シリーズとして、2025年より開始される世界初の水素燃料モータースポーツ競技『FIAエクストリームHワールドカップ』が、この1月9日付けでワンメイク車両製造を担当するスパーク・レーシング・テクノロジー(SRT)により「10台の車両製造が完了した」ことを発表。過去4年間使用されてきたフルBEVの『オデッセイ21』に代わり、新たに水素燃料電池スタック搭載の『パイオニア25』が新時代を担う。
フランス南西部とスコットランドでの集中的なテストプログラムを経て、これまでに3シーズン分のレース距離に相当するマイレージをこなしてきた新型車両は、年明けにもパリ郊外のSRT本拠地にてフリート車両10台が完成し、ひとつの大きな節目を迎えた。
そのテストにはル・マン24時間レースの総合覇者で、同じく世界的名声を誇るPPIHCパイクスピーク(パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム)の記録保持者であるロマン・デュマや、WorldRX世界ラリークロス選手権でも活躍するティミー&ケビンのハンセン兄弟、そして前身のシリーズでレギュラーを張ったヘッダ・ホサスやケイティ・マニングスなど女性ドライバー陣も参加してきた。
改めて、FIA国際自動車連盟の厳格な安全性と性能基準を満たすこの水素燃料電池車は、デュアルモーターの4輪駆動システムを備え、最大400kW(約544PS)のパワーを発揮。従来のバッテリーに代わりステランティス傘下のシンビオが供給する75kWの水素燃料電池スタックを搭載している。
「この10台のレース用フリート車両の製造完了は、FIAエクストリームHワールドカップの開始が近づくなかで、大きな節目となる」と語ったのは、おなじみシリーズ創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグ。
「これらの車両は単に技術面で画期的なだけではない。これらは持続可能なモータースポーツの未来を象徴しており、我々は準備万端だ」
そのアガグを本社製造施設の視察に迎え入れたSRT会長ニコラス・ワータンスは、車両重量2.2トン、幅2.4メートルのレースカーを0〜100km/h加速4.5秒で“射出”するピーク出力400kwのハイドロジェン・レースカーを「シリーズに納入できることを大変光栄に思っている」と応じた。
「このプロジェクトは、先進的なエンジニアリングと持続可能なイノベーションを組み合わせ、モータースポーツにおける水素技術の限界を押し広げた。これらの車両は、水素駆動の競技に新たな基準を設定し、クリーンエネルギーソリューションの未来を刺激するものになると信じている」
このSRT製パイオニア25は標準化された部品の共通パッケージで構成されており、直近の規約変更により参戦マニュファクチャラーはロードカー用に生産される量産ユニットであれば、独自の水素燃料電池を実装できるようにする方針だという。その技術をテストする重要な機会と、日常の量産モデルの外観を再現するために、ボディワークのデザイン要素を独自にスタイリングする機会も提供される。
こうしてシリーズ開始へのカウントダウンが正式に始まったFIAエクストリームHワールドカップの競技詳細については「今後数カ月以内に発表」される見込みとなっている。
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