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アーセナル、ヴェンゲル監督の“ラストイヤー”へ。戦力拡充も後半戦に向け2つの懸念【欧州主要クラブ中間査定】

フットボールチャンネル1月14日(土)7時21分
画像:アーセナル、ヴェンゲル監督の“ラストイヤー”へ。戦力拡充も後半戦に向け2つの懸念【欧州主要クラブ中間査定】
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倹約家ヴェンゲルも積極投資。ジャカ、ムスタフィらを獲得

 2016/17シーズンの欧州サッカーも前半戦を終えた。タイトル獲得や昨季からの巻き返しなど様々な思惑を抱えていた各クラブだが、その戦いぶりはどのようなものだったのだろうか。今回はアーセナルを振り返る。

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 プレミア随一の倹約家として知られるアーセン・ヴェンゲルが、珍しく移籍市場に多額の資金を投入した。これだけでも今季にかける本気度が伝わってくる。

 グラニト・ジャカ獲得のためにボルシアMGに支払った移籍金は3800万ポンド(約54億円)で、シュコドラン・ムスタフィに3500万ポンド(約49億円)、ルーカス・ペレスに1700万ポンド(約24億円)を投じた。

 しかし、彼らはいずれも必要に迫られた補強であった。ジャカはミケル・アルテタが抜けたセントラルMFの次なる柱として、L・ペレスは新たな1トップ候補、ムスタフィは心許ない守備陣の強化といったように、チーム力底上げのために明確な役割があっての獲得だった。

 その一方で、もはやヴェンゲルのライフワークとなっている若い才能の発掘にも余念がなかった。ボルトンから獲得したDFロブ・ホールディングは将来のレギュラー候補と期待され、日本からは浅野拓磨を見出してドイツの地へ武者修行に送り出した。

 ヴェンゲル監督は今季が契約最終年で、アーセナルでのキャリアを続けられるかの岐路に立たされている。ロンドンで21年目の夏を迎えるためには、2004年以来のプレミアリーグ制覇という結果を出すことが重要になる。

 近年は常に上位争いに絡みながら優勝とは無縁だったが、今季はチャンピオンズリーグ出場権を獲れればいいなどとは言っていられない。将来への投資も惜しまなかったことから、ヴェンゲル監督は来季以降もエミレーツ・スタジアムのベンチ前に立つことを夢想しているはず。だからこそ、これまで以上に本気でリーグタイトル獲得を狙っている。

サンチェスが序盤を支えるも…前半戦は5位に後退

 シーズン序盤の好スタートを支えたのはストライカーとして覚醒したアレクシス・サンチェスの活躍だった。EURO決勝を戦ったオリビエ・ジルーの合流が遅れたことで1トップに入ったチリ人アタッカーは驚異的なペースでゴールを量産。10月の終わりから12月初めまでの5試合ではハットトリックを含む7得点と大爆発した。

 現在は19試合を終えて13ゴールと少し落ち着きつつあるが、それでもこれまでのサンチェスとは明らかに違うパフォーマンスでアーセナルの攻撃をけん引している。得点力が向上した右サイドのテオ・ウォルコットや独特のリズムを刻むドリブルで定位置を掴みつつある左サイドのアレックス・イウォビらとともに構成するオフェンスの破壊力は抜群だ。

 長年泣きどころだったセンターバックにムスタフィを補強した守備陣の奮闘も見逃せない。ペトル・チェフはさすがの安定感でゴールマウスに鍵をかけ、頼れる相棒を手にいれたロラン・コシエルニーもキャリア最高とも言える出来で評価を高めている。

 とりわけ中央の守りは強固で、ペア・メルテザッカーにないスピードを備えたムスタフィの登場が安定感をもたらしている。瞬く間にプレミアに馴染んだドイツ代表DFとコシエルニーは、ともにヘディングの強さや機動力を備えており、互いがパートナーを生かしながらプレーできる強みを持っている。

 一方で、新たな司令塔として期待されたジャカの順応がなかなか進んでいない。プレッシャーがないところでは左足から恐ろしいほど質の高い中・長距離パスを通すが、厳しいプレスに遭うとそれを避けてプレー精度が落ち、前向きの意識が低くなってしまう。

 L・ペレスはプレー機会自体がほとんどなく、出場しても周囲との呼吸が合わない場面が散見され本領発揮に至っていない。期待された新戦力をどこまでフィットさせられるかが後半戦に向けて解決すべき課題の一つになる。

 12月初めまではリバプールとの開幕戦に敗れたのみで、一時は2位につけていたものの、その後の2連敗で失速し、年が明けた現在は5位まで後退している。例年以上に上位争いは拮抗しており、アーセナルがリーグ制覇を成し遂げるにはこれ以上の足踏みは許されないだろう。

後半戦へ。2つの懸念点

 今季ここまでは好調と言えるアーセナルだが、懸念すべき点は大きく分けて2つある。1つ目は「主力に負傷者を出さないで戦い続けられるか」、そして2つ目は「ジルーの起用法」だ。

 毎年のように話題になるアーセナルの負傷者続出。これが始まるとチームのパフォーマンス低下が止まらなくなり、悪循環に陥っていく。もはや恒例となりつつあるが、今季こそ克服しなければならない問題だ。

 幸い夏にヴェンゲル監督の財布の紐が緩んだおかげで例年になく戦力は充実しており、控えの選手層にも大きな問題はない。しかし、サンチェスやエジル、コシエルニー、ウォルコットといった主力中の主力が離脱するとなれば話は別で、そのダメージは計り知れない。

 チャンピオンズリーグやカップ戦の影響で過密日程になる後半戦は、いかに負傷者を出さないようコンディションを管理しながら起用する選手をローテーションしていくか、ヴェンゲル監督の手腕が問われることになりそうだ。

 そこで浮上するのがもうひとつの問題、「ジルーの起用法」である。EURO出場に伴うオフ延長でチームへの合流が遅れたストライカーは、自らが不在の間に覚醒したサンチェスにポジションを奪われた。

 ヴェンゲル監督も好調の間はなかなかチーム構成を変えられず、ジルーがリーグ戦で今季初めて先発出場したのは年末だった。しかし、途中出場でも要所でゴールを奪う勝負強さはさすがで、年末年始は絶好調を維持している。ヴェンゲル監督もその実力を評価し、つい先日にはこのフランス代表FWと長期の契約を延長したことが発表された。

 アーセナルらしいパス&ムーブのサッカーに加え、今季は縦に速く手数をかけずにゴールまで迫る形も増えている。サンチェスとジルーの爆発力をいかに生かすのか。どちらか1人をメンバー構成と戦術に合わせて使うのか、あるいは併用して互いを生かす道を探すのかが、後半戦の戦い方を決めるだろう。

 絶対に優勝を逃したくない今季。後半戦はひとつひとつの判断に間違いが許されず、ヴェンゲル監督にとってはこれまで以上に慎重な舵取りが求められそうだ。

診断

補強診断 B

 ムスタフィは瞬く間に主力の座を射止めたが、ジャカとL・ペレスは本領発揮に至っていない。多額の資金を投じたとはいえ、レギュラーとして期待されるのはこの3人のみで、後半戦の過密日程をくぐり抜けるには一層の奮起が求められる。

総合力診断 B

 メスト・エジルやアーロン・ラムジーは例年に比べ低調だが、選手層は確実に厚くなっており、彼らがいなくてもチームは好調を維持している。とりわけサンチェスの覚醒が結果に結びついており、ウォルコットやコシエルニーらの充実ぶりも目立つ。

 ただ、リーグ前半戦を終えて5位という順位はヴェンゲル監督の目標から程遠い結果だろう。“魔の11月”も勝ち越すことができず、格下のチームへの取りこぼしも相変わらず。首位チェルシーとは勝ち点8差を付けられており、ヴェンゲル監督の悲願に向けて厳しい戦いが続く。

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