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「パズルのようだった」元日本代表監督が語るプロ・アマ混合チームの創成期

フルカウント1月14日(土)11時7分
画像:「パズルのようだった」元日本代表監督が語るプロ・アマ混合チームの創成期
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初のプロ・アマ混合チーム率いた大田垣耕造さんが語る日本代表の“歴史”

 今年3月に開催される第4回WBCに先駆け、昨年12月にメジャーリーガー青木宣親(アストロズ)を含む19選手の侍ジャパンが先行発表された。さらに、2020年の東京五輪では野球が正式種目に採用されるなど、ここ数年、国際大会への注目度が高まっている。

 今でこそ代表チームはプロ選手で構成されることが当たり前となっているが、日本代表に初めてプロ選手が参加して、プロ・アマ混成チームで戦ったのはシドニー五輪予選を兼ねた1999年アジア野球選手権からだ。同じくプロ・アマ混成チームで戦った2000年シドニー五輪では、日本野球史上初めて五輪メダルを逃すことになった。まさかの展開となったシドニー五輪で日本代表監督として指揮を執り、現在は日本野球連盟の副会長を務める大田垣耕造さんに、当時を振り返ってもらった。

 高校時代、尾道商でエースだった大田垣さんは、1967年に春の選抜に出場。進学した青山学院大学でもエースとして活躍し、チームを東都大学リーグ2部で2度の優勝に導いた。卒業後は社会人野球の東芝で活躍。1979年に現役引退後はコーチ、助監督として指導にあたり、88年に東芝の監督に就任した。その年にいきなり都市対抗野球大会で優勝すると、続く日本選手権で初優勝。東芝の黄金時代にコーチ、監督として関わり、数多くのプロ選手を輩出した。

 社会人野球での手腕を買われ、93年に全日本代表コーチに就任し、96年アトランタ五輪で銀メダル獲得に貢献。その翌年に行われたインターコンチネンタル大会から日本代表監督に就任した。

シドニー五輪に出場したプロ選手は8人、「パズルのようだった」

 大田垣さんが代表監督2年目を迎えた1998年から、国際野球連盟は国際大会へのプロ選手の参加を認めたが、日本はアマチュア選手だけで同年のアジア競技大会に挑んだ。その結果、オールプロ選手で参加した韓国に決勝で敗れ、準優勝に終わった。

「アトランタ五輪はすべての国がアマチュア選手だけでした。1998年の世界大会からプロ選手が参加しましたが、各国ともに(マイナーリーグの)1A、2Aクラスの選手だったので、戦力がアップしたようには感じませんでした。しかし、同年12月に行われたアジア競技大会に出場した韓国は、当時ドジャースに所属していた朴賛浩をはじめとする国内外のオールプロ選手のチームでした。

 その韓国に決勝戦で1-13の7回コールド負け。まさにコテンパンにやられました。投手陣は滅多打ちにされ、打者はメジャーのローテーションピッチャーに2回以降は凡打の山でした。この試合を見ていた野球連盟幹部は、アマチュアだけでは五輪予選の突破も難しいと判断し、プロ選手参加の方向に舵を切ったのだと思います」

 1999年のシドニー五輪予選を兼ねたアジア野球選手権大会からプロ選手が代表チームに参加。予選大会同様に2000年のシドニー五輪でも、パ・リーグから各チーム1人の6人、セ・リーグからは球団プロテクト以外の中から2人の計8人のプロ選手が日本代表に選ばれた。しかし、結果はメダルなしの4位で終わった。

 国を挙げて代表チーム作りに臨んだ韓国は、大会期間中に国内リーグを中断する熱の入れよう。当時大学生だった鄭大炫(現ロッテ・ジャイアンツ)を除く23人がプロ選手だった。一方の日本は、プロ球団から代表に出せる選手の数に制限があった。その中で軸となるプロ選手の選考、そしてアマチュア選手の選考は「はめては外すパズルのようだった」と大田垣さんは話す。

絶対的エースだった黒木知宏&松坂大輔、2投手を軸に組んだローテーション

「与えられた条件の中で最強チームを編成し大会に臨みたいという気持ちを強く持っていました。(プロ野球の)シーズン中の大会であり、長期間の選手派遣が難しいのは当然です。予選大会では2回戦から、シドニー五輪では試合の3日前にプロ選手が合流するといった具合で、全員が集まって練習する時間がほとんどありませんでした。試合をやりながら選手の起用方法を模索していく状況でしたので、難しかったですね。選手全員が早く一つのチームになろう、合同練習の少なさをカバーしようと精一杯の努力をしてくれました。シーズン中で時間が取れないのは、プロの選手を出していただける時の条件だったので仕方ありません」

 シドニー五輪では、予選リーグ初戦のアメリカ戦で延長13回の末に惜敗。その後4連勝したが、6戦目の韓国と7戦目のキューバに連敗し、決勝トーナメントの準決勝でもキューバに0-3、続く3位決定戦でも韓国に1-3と敗れた。

「あの時、絶対的エースは黒木知宏(元ロッテ)と松坂大輔(現ソフトバンク)でした。この2人をうまくローテーションして、韓国、オーストラリアから確実に勝ち星を取り、決勝トーナメントに駒を進める。キューバ、アメリカは必ず上(トーナメント進出)に行くだろうと思っていました。

 しかし、初戦のアメリカ戦を逃げるわけにはいかないので、松坂を先発に持っていきました。結果、延長で交代した杉内俊哉(当時三菱重工長崎、現巨人)がサヨナラ本塁打を喫し黒星スタート。次のオランダ戦に勝ち1勝、実力拮抗のオーストラリア戦に黒木で勝ち2勝、続く格下2チームを相手にアマチュア投手が頑張り3勝、4勝として予選突破を決めました。しかし、松坂を配した韓国戦で敗れ、キューバにも敗れたため予選4位となりました。

 決勝トーナメントの準決勝は黒木をローテーション通りに先発させるもキューバに0-3で完敗。3位決定戦の韓国戦、松坂でリベンジを期待しましたが、1-3で惜敗しメダルの獲得の望みは叶いませんでした」

阿部慎之助、石川雅規…今でも気にかけている当時のメンバー

 初めてプロ・アマ混合チームで挑んだシドニー五輪。チームには「メダル獲得」という目標があったが達成ならず。大田垣さんは「最強メンバーで戦えるのが一番ですが、難しい時期でしたね」と、当時を振り返る。

「選手はチームの勝利のために一瞬たりとも手を抜くことなく一生懸命やってくれました。それを活かしきれなかったのは監督の責任です。勝敗の責任はもちろん、選手が最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作り、チャンスを与える。それが監督の役目だと思います」

 今でも当時の代表メンバーを気にかけているという。杉内をはじめ、中央大学在学中に出場した阿部慎之助(現巨人)、青山学院大学在学中に出場した石川雅規(現ヤクルト)など、シドニー五輪後にプロに進んで活躍している選手も多い。

「シドニー五輪の悔しさをきっかけに『頑張ろう』という気持ちを持っていてくれたら嬉しいですね」

 そう話しながら大田垣さんは目を細めた。今後は日本野球連盟の副会長として社会人野球に、そして球界に関わっていく。当時の経験を、今後の日本代表のために活かしていくつもりだ。

篠崎有理枝●文 text by Yurie Shinozaki

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