おいおい! 松木安太郎氏がU-23解説で多用の同語反復を検証

1月16日(木)7時0分 NEWSポストセブン

劣勢になると「同語反復」の回数が増えるという松木安太郎氏(写真:時事通信フォト)

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 サッカー男子の東京五輪予選を兼ねたU-23(23歳以下)アジア選手権で1次リーグB組の日本はサウジアラビア、シリアに連敗し、グループステージ敗退が決まった。地上波ではテレビ朝日系列で中継され、解説は松木安太郎氏と中山雅史氏が務めた。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏が、1対2で敗れたシリア戦の試合展開の中で、松木氏の解説がどう変化していったかを読み解く(※時間表記はテレ朝の中継を基準にした)。


 * * *

 初戦のサウジアラビア戦に敗退した日本にとって、2戦目のシリア戦は絶対に落とせななかった。そんな時、いつも以上にチームを鼓舞するのが松木安太郎氏である。


 この試合、松木氏は「おい!おい!」「よしよし!」などいつも以上に同じ言葉を連続で繰り出した。いわゆる『同語反復』の回数が増えたのだ。その回数を検証してみよう。


 序盤は『同語反復』も少なかった。前半2分、FW上田綺世(鹿島アントラーズ)が中盤でボールをキープした際に「強い、強い」と叫ぶ。4分、相手FWのバラカトが左サイドをドリブルで突破し、シュートを放った一連のシーンで「ここですよ、ここ!」(*注1)、「ボールへ! ボールへ!」と連呼。8分、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)でシリアのPKと判定された直後、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)に「とにかくこれは…もうね、取るしかないよ、取るしか!」(*注2)と鼓舞。8分50秒にPKで先制点を許すまでは、この4回だった。


【*注1:前半4分「ここですよ、ここ!」のように、間に助動詞(です)や終助詞(よ)が付く場合は『同語反復』を妨げる言葉ではないと判断する。前半36分「シュート打て、シュートね、シュート打てばね」は『シュートね、シュート』で連続2回と判定】


【*注2:前半8分「もうね、取るしかないよ、取るしか!」は2回目の『取るしか』の後に「ないよ」を省略していると考えられるので、『同語反復』と判断。前半41分「こぼれたところ!こぼれ…」、後半42分「1人いけ! 1人!」、後半46分「すぐいけ、すぐ」なども同じ。ただし、前半40分の「両手あげてね、いったほうがいいね。両手をね」は「いったほうがいいね」が間に挟んでいると考えられるため、カウントしない】


 以降、怒濤のような『同語反復』が始まる。9分から29分48秒にMF相馬勇紀(鹿島アントラーズ)のゴールで日本が同点に追いついた直後までの約21分間を振り返ってみよう。


9分:「こっからだ、こっから」

11分:「慌てないでいい、慌てない」「チャンスだ、チャンスだ、チャンスだ」

14分:「キーパー! キーパー!」

17分:「よしよし!」「おーよしよし!」「コーナー、コーナー、よしコーナー」(*注3)「コーナー! コーナー、コーナー」

18分:「これ! これこれ! これこれこれこれ」「ナイスカバー、ナイスカバー!」

24分:「さあ、こぼれ…こぼれたところ」「ぐるぐるぐるぐる」

25分:「そうです、そうです」

26分:「中盤だよ、中盤!」「ゴーゴーゴー!!!」「まだまだまだあぁ」「早め早め!」

27分:「でもいい、いい」「いいリズムだ、いいリズムだ」

29分:「うん、うん」「いいよ、いいよ」「周り、周り」「逆サイド! 逆サイド! 逆サイド!」「よおーーーし! よし! 相馬! よし! 相馬!」(※『よおーーーし! よし!』『よし! 相馬! よし! 相馬!』で各1カウント)


【*注3:前半17分「コーナー、コーナー、よしコーナー」 は途中に『よし』があるので、連続2回と判定】


 失点するまで4回だった『同語反復』は、先制を許した直後から同点に追いつくまでの21分で実に25回を数え、1分に1回を上回るペースを記録した。つまり、松木氏は劣勢に立つと、言葉を繰り返す傾向があるのだ。


 同点に追い付いた後も、松木氏の『同語反復』は止まらず、キックオフ前の30分から前半終了47分までの17分間で「拾った、拾った、拾った」「よぉお〜ぅ〜〜おお〜〜」(*注4)など17回を数えた。後半に入ると、42分50秒に勝ち越しゴールを許すまでの間には「サイド! サイド!」「ファールしない、ファールすんな、ファール…ノーファールで」(*注5)など28回。1対2とリードされた後半44分のキックオフから試合終了までの5分間では「1人いけ! 1人いけ!」「ファール!ファール!」など8回となった。


【*注4:松木氏の場合、前半46分「よぉお〜ぅ〜〜おお〜〜」のような「おお〜」「ああ〜」関連の言い方は、人によって書き起こしに誤差が生じやすいため、「よぉお〜ぅ〜〜」も「おお〜」と同義と考える。後半32分「うおぉい!おい!おい!」の「うおぉい!」と「おい!」の関係も同様】


【*注5:後半7分「ファールしない、ファールすんな、ファール…ノーファールで」の『ファールしない』、『ファールすんな』、『ノーファール』は意味的には同じだが、微妙に言葉が変わっているので、『同語反復』とは判断しない。『ファールすんな、ファール…』は『すんな』を省略していると考えられるため、ここは2回連続でカウント】


 手元の集計によれば、松木氏はシリア戦で82回の『同語反復』を行なった(*注6)。同点時は69分で49回(1分で0.71回)だったが、1点ビハインド時は26分で33回(1分に1.27回。ともに小数点第3位以下を四捨五入)とピッチが上がっている。


【*6:前半33分の「そう縦、そう、そうダイレクト!」のように1つのプレー毎に「そう」などと言っている場合、『同語反復』とは判断しない】


 シリア戦での『同語反復』の回数ランキングを挙げると、以下になる。


1位:7回 前半18分の「これ」 「これ! これこれ! これこれこれこれ」

2位:4回 前半34分の「ない」 「ないないないない!! 関係ないあんなのは」

3位タイ:3回 後半20分の「よし」 「よしよしよし」  後半26分の「そう」 「そうそうそう」 後半32分の「おい!」 「うおぉい!おい!おい!」(※注4)など13例


 前半18分、わずか2秒強で「これ! これこれ! これこれこれこれ」と7回も「これ」と叫んだ場面は日本のコーナーキックがクリアされ、そのこぼれ球を中盤でMF齊藤未月(湘南ベルマーレ)が拾ったシーンだった。松木氏は常日頃からこぼれ球への意識を口酸っぱく指摘しており、この試合でも開始早々に「こぼれ球のボールをまあ、自分たちのボールにいかにできるかですね」と話していた。そのため、劣勢の状況でこぼれ球を拾った齊藤のプレーに喜びが爆発したのだろう。


 前半34分、日本のペナルティエリア付近でシリアの選手が倒れると、わずか1秒強の間に「ないないないない!!」と4回も「ない」と連呼している。日本が相手のペナルティエリア付近で倒れると「PK!PK!」とすぐ叫び出す松木氏も、相手選手のアピールには厳しいところを見せた。


 アディショナルタイムを含めた95分間、日本を鼓舞し続けた松木氏。後半42分50秒に勝ち越しゴールを許した直後は、珍しく90秒間も沈黙が続いた。


 今回はグループリーグで敗退したものの、開催国枠での東京五輪出場が決まっているU-23日本代表。オリンピックでは、松木氏を落胆させるわけにはいかない。


◆文/岡野誠:ライター・松木安太郎研究家。著書に『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)。松木氏の研究以上に力を入れた同書では、関係者への取材、膨大な資料を元に〈ムーンウォークを日本で初めて取り入れた〉説を多角的に証明。〈突然蒸し返され始めた「ビッグ発言」〉など通説を覆し、〈三浦知良との友情〉にもページを割いている。

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