4冠王者クリストファーソンが電動初年度に向け原点回帰。KMSからフル参戦へ/WorldRX

2022年1月17日(月)16時5分 AUTOSPORT web

 0-100km/h加速わずか1.8秒というF1をも上回るパフォーマンスの新時代エレクトリック・ラリークロス・シリーズに変貌する、2022年のWorldRX世界ラリークロス選手権。その最高峰クラス“RX1e”に向け、自身4度目のワールドチャンピオンを獲得したばかりのヨハン・クリストファーソンがタイトル防衛に挑む新体制を確定させた。


 そのWorldRX新時代のチャンピオンシップ初年度には、父トミーの率いるファミリーチームであるクリストファーソン・モータースポーツ/KMSより参戦。原点回帰とも言えるフォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウスのエントリー名で、前人未到5度目の王座を狙うことが発表された。


 2021年11月のドイツ・ニュルブルクリンクで、劇的な同点決着により4回目の世界選手権制覇を達成した33歳のクリストファーソンは、それ以前の3度の世界タイトルをフォルクスワーゲン(VW)とともに獲得してきた。


 2020年のタイトル獲得シーズンと同様に古巣復帰を決断したWorldRX4冠王者は、かつてのヨーロッパ選手権を筆頭に地元スウェーデンで幾度もの国内ラリークロス・チャンピオンを獲得した父トミーの指揮のもと、慣れ親しんだ環境に戻ってくることになる。


 2021年10月時点で、新生“RX1e”に向け「来季14台のエントリー」があることを確約したオーガナイザーの発表を受け、いち早く3台の発注を明かしていたKMSだが、投入される3台の正確なモデル名と、クリストファーソンのチームメイトは「近日発表予定」としている。


「ラリークロスの新しい電動化の時代に、初年度から参加できることは僕にとっても本当に刺激的だ。このような規模のプロジェクトをKMSとして最後に実現したのは2014年で、僕も世界選手権の最初のシーズンに向け独自モデルの開発に携わった。でもその当時は今と大きく違っていて、僕にはラリークロスの経験がほとんどなかった。だから今度は……少し変化したと言えるかもね」と、茶目っ気を混えながら意気込みを語ったクリストファーソン。


「すべてが刷新されるときには、明らかに多くの未知数が生まれる。近年の開発はすべて実証済みのコンセプトに従っているため、そのステップは比較的小規模だけど、新規定モデルにははるかに大きな可能性がある」と続けたWorldRXの絶対王者。


「電動化はモータースポーツと自動車産業の両方にとって一般的な未来であり、その発展を促進することは、僕にとってもこのスポーツのもっとも魅力的な側面のひとつだ。信じられないほどタフで競争の激しいシーズンが来ることを期待しているし、スタートする瞬間が待ち遠しい。この新しい挑戦に興奮しているよ!」

KMSはVolkswagen Dealerteam BAUHAUS(フォルクスワーゲン・ディーラーチーム・バウハウス)のエントリー名で3台体制を敷く
ペター・ソルベルグとのジョイントでファクトリー参戦した時期を経て、2020年はKMSとしてもワールドチャンピオンに


■「KMSの歴史の中で最大のプロジェクト」と代表兼チームマネージャーのトミー・クリストファーソン


 その2022年には、これまでセアト・イビーザを走らせてきたオールインクルーシブ・ミュニッヒ・モータースポーツや、2021年のEuroRX1でドライバーズタイトルを獲得したESモータースポーツ、そして以前よりプロジェクトを発表していた『ランチア・デルタ・インテグラーレ』の“GCK Exclusiv-e/レトロフィット”に基づき、新たに『ランチア・デルタ Evo-e』の投入をアナウンスしたフランスのGCKモータースポーツなど、すでに多くのコンテンダーがシリーズへのコミットを表明している。


 これらグリッドに並ぶ全車の電動コンポーネント技術を支えるのは、オーストリアのEVパイオニア企業であるクライゼル・エレクトリック社で、シリーズ主催のラリークロス・プロモーターGmbHやFIA国際自動車連盟と緊密に協力して開発・製造するKit(キット)は、ツインモーターにより総合出力500kW(約689PS)、瞬間的に880Nmもの最大トルクを発生する。


 最大容量52.65kWhのバッテリーを含むシステム重量は300Kgで、独自の安全機能を備え重量配分を考慮した特別設計とされる。車両全体の総重量は規定の1330kg。フロントアクスルとリヤアクスルで独立したモーターはカーボンラップされ、プリロードオプション付きの高性能トランスミッションとLSDを装備する。


 これら電動ラリークロス車両の開発も担うKMS代表兼チームマネージャーのトミー・クリストファーソンも、「これはKMSの歴史の中で最大のプロジェクト」だと認めている。


「小さな家族経営の会社が、新しいコンセプトに従ってフォルクスワーゲンとともに3台の新しいマシンを設計し、その開発と製造を担当する。それには明らかに大きな個人的責任が伴うが、我々は非常に熟練した個人のチームと、ドイツからの豊富な知識と経験、そして(地元スウェーデンの)アルビカにある自身のワークショップの能力に頼ることができる」と続けたトミー代表。


「このような環境で働くことは大きな特権だ。このレベルでは、学べば学ぶほど、実際に知っていることがどれだけ少ないかを理解できるようになるからね。我々KMSとしても、このエキサイティングな新しい冒険で、長年にわたって学んだすべての教訓を活用することを楽しみにしている。そしてもう一度、我々自身の力で世界選手権に挑戦することを楽しみたいと思うよ」

2021年はTeam KYB EKS JC のアウディS1 RXクワトロで自身4度目の世界タイトルを獲得した
かつての欧州選手権を筆頭に地元スウェーデンで幾度もの国内ラリークロス・チャンピオンを獲得したヨハンの父、トミー代表

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