2014年王者で最年長47歳のケビン・ハーヴィック、2023年限りでの現役引退を表明/NASCAR

2023年1月17日(火)14時50分 AUTOSPORT web

 2014年のNASCARカップシリーズ王者であり、2022年もミシガンとリッチモンドで連勝を飾っているケビン・ハーヴィック(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が、チームと共同で1月12日に声明を発表し「2023年シーズンが、4号車での最後のドライブになる」とアナウンスし、改めて今季限りでの引退を表明した。


 2022年の中盤から、自身のキャリアに関する将来的な判断を匂わせる発言を繰り返してきた現役最年長ドライバーは、2023年に向けスチュワート・ハースとの契約が結ばれている状況ながら、昨季12月の中旬にも「来季のデイトナが始まる前には、決断を下すことになるだろう」とのコメントを残していた。


「レーストラックに行くことほど楽しいことは他にないね。今シーズンを心から楽しみにしている」と語ったハーヴィック。「しかし何年もカップでのキャリアを重ね、刻が経つにつれ決断を下さなければならない日が来ることはわかっていた。『クルマから離れる良きタイミングはいつなんだ?』ってね」


「僕はいつも優秀なブレーンに囲まれていたし、彼らにも同じ質問をしたんだ。『適切な時期はいつなんだ』と尋ねたところ、彼らは『そう考えた瞬間だ』と言ったんだ。それで計画を立て始め、いつが最後のシーズンになるかを決めようと思った」


「幸運にも、このスポーツではいつだってうまく走ることができたから、その適切な瞬間がいつなのかを理解するのは、間違いなく困難な作業だったよ。でも、ふとした瞬間にレースより他のことがもっと重要に感じる瞬間が訪れた。それで『刻が来た』と感じたんだ」


 2001年のデイトナ500で、カップの英雄だったデイル・アーンハートが逝去し、その代役という困難な状況下で最高峰へのステップアップを果たしたハーヴィックは、英雄の死からわずか3週間後の自身3戦目で、後任としてアトランタでの1戦を制してカップ初勝利を獲得。その後も第一線で活躍を演じ、キャリアを通じて殿堂入り候補として充分な戦績を残した。


「デイルの死は我々のスポーツを永遠に変え、僕の人生とその方向性も確実に変えた」と続けるハーヴィック。「その日に起こったことを本当に考えられるようになるまで、長い年月がかかったよ。今振り返ってみると、カップカーに乗ることの重要性に気づき、デイルの死後すぐにアトランタで29号車に勝利をもたらすことができた」


「そのことで、レースカーをトラックに留めて最後まで走り切り、キャリアの早い段階でレースに勝つことの重要性を学び、それがスポーツにとって何を意味するのか。そして一般的に『どうすればキャリアを長く続けられるか』という真理を、その瞬間に知ることができたのは非常に重要だった」

Next-Gen規定初年度となった2022年でも、ベテランの妙味を発揮したハーヴィックは、年間2勝をマークした
しかし「何年もカップでのキャリアを重ね、刻が経つにつれ決断を下さなければならない日が来ることはわかっていた」とも語ったハーヴィック


■「ケビンの勝利への意志がチーム全体の士気を高めてくれた」とトニー・スチュワート


 そのハーヴィックはNASCARの3つの主要シリーズすべてで勝利を挙げ、エクスフィニティでは2001年と2006年、そして最高峰カップでは2014年にシリーズチャンピオンを獲得。昇格時から13年間所属したリチャード・チルドレス・レーシングでは通算23勝と、2007年にはデイトナ500制覇も成し遂げ、移籍直後にタイトルの栄冠をもたらしたスチュワート・ハース・レーシングでは通算37勝を挙げるとともに、昨季の2勝で自身通算60勝に到達。2023年はその集大成としてキャリア23年目のシーズンを迎える。


「ロドニーと僕は、レースに関する限り非常に似たようなバックボーンを持つ同世代だ」と、自身のクルーチーフであるロドニー・チルダーズについて語るハーヴィック。


「でも彼は非常に落ち着いていて、クールで静か。一方の僕はやや乱暴で、興奮に満ちているという点で、この組み合わせは正反対でもあるんだ(笑)。でもお互いをよく知るこのペアリングだからこそ、相互に尊敬の念をもたらした。僕らはよくコミュニケーションを取り、それが良いペアリングを作れる理由でもある」


「自分が間違っているとき。自分が間違っていることを理解し、それを乗り越えていく必要がある。誰かの気持ちを傷つけたり、誰かに指を刺したりしないようにすることこそが、チームを機能させた要因なんだ」


 こうして今季限りでその華々しいキャリアの幕を閉じる決断を下したハーヴィックに対し、チーム共同オーナーであり、かつてのライバルでもあったトニー・スチュワートも、すでに「このチームに不可欠な要素」となった盟友に最大限の敬意を示した。


「ケビンとは長い間、トラック上で激しい争いを繰り広げてきたが、ついに彼を我々のレースチームに迎え入れたときの興奮は今でも忘れない」と、カップで3回のチャンピオン獲得経験を持つスチュワート。


「ケビンは信じられないほど信頼性が高く、一貫性があり、つねにより良いものを目指してトラックで計算している。それこそがチームメイトに求められるものだ。彼は成功するために何が必要かを知っており、その勝利への意志がチーム全体の士気を高めてくれた」


「今季、ケビンにはすべてのラップを味わい、地獄のように競争し、そのすべての瞬間を取り入れて欲しい。スチュワート・ハース・レーシングのメンバー全員が、彼のことを信じられないほど誇りに思っており、その最後のシーズンを彼のキャリアでも最高のシーズンにしたいと思っている」

「レースカーをトラックに留めて最後まで走り切り、キャリアの早い段階でレースに勝つことの重要性を学んだ」
Next-Gen初年度は、特有の火災トラブルやパンクも経験したハーヴィック。キャリア最終年でひと花を咲かせられるか

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