キャデラックF1の候補を元インディカードライバーが推察。パロウら3人には「精神的な余裕」があると主張

2025年1月18日(土)7時0分 AUTOSPORT web

 元インディカードライバーのジェームズ・ヒンチクリフは、彼の元ライバルのうち3人はF1に昇格して、新設のキャデラックF1チームで成功できるだけの才能を持っていると考えている。レースに対する深い洞察力と明るいウィットで知られるヒンチクリフは、インディカーからF1への転向がなぜこの3人にとってうまくいく可能性があるのか自身の考えを語り、4度のF1世界チャンピオンであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と肩を並べる彼らの精神的な優位性を強調した。


 しかしながら、最初にヒンチクリフは、さまざまなレース分野での成功を予測することの難しさを主張した。


「それがモータースポーツの素晴らしいところだ。ドライビングについて普遍的な才能を持つ者はいない」と、ヒンチクリフはポッドキャスト『The Red Flags』で語った。


「あるマシンでは信じられないほどの才能を発揮するドライバーたちがいるが、彼らを別のマシンに乗せると、たとえそれが似たようなマシンであっても、突然うまくできなくなる」


「F1でも、異なるチーム間ですでにこうしたことが見られている」


 代表的な例はなんだろうか? レッドブル・レーシングのユニークな力学について指摘したヒンチクリフによると、フェルスタッペンがそうだという。


「マックスのマシンの好みや(エイドリアン・)ニューウェイの設計によって、マックスのマシンをドライブできるドライバーは誰もいないということは、今やよく知られている」


「ある意味でマックスは、他の誰にもできない方法で速く走ることができる」

2024年F1第21戦サンパウロGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル)


■キャデラックのF1参入がアメリカンドリームを刺激


 キャデラックが2026年のF1デビューに向けて準備を進めるなか、アメリカ人ドライバーがステアリングを握る可能性に対する期待が高まっている。ヒンチクリフは、ゼネラルモーターズが支援する新チームが、アメリカのモータースポーツの基盤であるインディカーの人材を真剣に検討するだろうと考えている。


 ヒンチクリフは、可能性のある候補者のなかから、インディカーで3度チャンピオンに輝いたアレックス・パロウ、インディ500ウイナーのジョセフ・ニューガーデン、アンドレッティ・グローバルのコルトン・ハータといった3人の傑出したドライバーを挙げた。ヒンチクリフによれば、3人ともフェルスタッペンが示している稀有な精神的特性、つまり極度のプレッシャーの下でも精神的に鋭敏な状態を保つ能力を備えているという。


「フェルスタッペンについて話題となることのひとつは、ドライビング中の彼の精神的な余裕だ。彼は精神的な余裕が非常に大きい。トップで全開走行しながらも、タイヤマネジメントを考え、とにかくすべてをコントロールする余裕がある。それがどれほどの精神的負担になるか、経験したことのない人に説明するのは非常に難しい」


 ヒンチクリフは、ライバルを観察するなど、レースの他の面も管理しながら集中力を保つフェルスタッペンの能力に驚嘆した。


「そして彼は、『ちょっと、ランド(・ノリス)はイエローフラッグの時に十分減速しなかったと思うんだが、調べてくれないか?』と言える。信じられるだろうか?」


■“精神的余裕”を持つ3人のドライバー


 ヒンチクリフがパロウ、ニューガーデン、ハータを支持したことは、インディカー・シリーズのファンにとっては驚きではない。パロウは近年圧倒的な強さを見せており、その正確性と一貫性はF1でも通用すると多くの人々が考えている。マクラーレンも同じ見解で、両者が決裂する前には、パロウをプライベートテストプログラムに参加させていた。

アレックス・パロウ、バルセロナでのマクラーレンF1テスト(MCL35M)に参加


 ニューガーデンはインディ500とデイトナ24時間レースで優勝しており、その多才さとレース技術を強調してみせた。一方のハータは純粋なスピードと天賦の才能を持ち、長らくF1の有力候補として噂されてきた。

2023年に続く連覇を達成したジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー) 第108回インディ500マイル
2024年NTTインディカー・シリーズ第9戦ミド・オハイオ コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・W/カーブ・アガジャニアン)


 ヒンチクリフは、フェルスタッペンと同様に、3人のドライバー全員がF1の激しさに対処できる精神的な余裕を持っていると考えている。


「その精神的能力こそが、優秀なドライバーと偉大なドライバーを分けるものだ」と


 ヒンチクリフはモータースポーツには“普遍的な才能の持ち主”など存在しないと主張しているが、フェルスタッペンは例外かもしれないと認めた。


「普遍的な才能の持ち主はいないと私は言った。だがマックスはあらゆることに長けている。私は以前の分析を撤回する。マックスは何でもできる」


 そしてヒンチクリフによれば、フェルスタッペンはF1と同じようにインディカーでも成功するだろうということだ。


「マックスは、インディカーに参戦してすぐに競争力を発揮できるタイプのドライバーだ」


 キャデラックのF1参戦が近づくにつれ、フェルスタッペンのような世界的スーパースターと並んでアメリカ人ドライバーがグリッドに並ぶ姿を見ることへの期待が高まっている。ヒンチクリフがパロウ、ニューガーデン、ハータを熱烈に支持するなか、アメリカを拠点とするチームが提供する独自のチャンスにより、彼らのうちの誰かがモータースポーツの最大の舞台で輝く可能性が開かれている。


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