賛否両論を生んだ佐々木朗希のドジャース加入 “最小”の10億円契約に元GMは疑念「事前に何かあったと信じる幹部もいた」
2025年1月18日(土)11時30分 ココカラネクスト

ドジャース入りを決めた佐々木。(C)Getty Images
人々の関心を集めた大物の去就が一つの結末を迎えた。現地時間1月17日、佐々木朗希は、自身のインスタグラムでドジャースとの契約を公表した。
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今オフにポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ移籍を目指してきた佐々木。以前から米球界でも垂涎の的となっていた注目銘柄の動静を巡っては、20球団以上の球団が獲得に参戦。契約金や年俸などの総額が制限され、マイナー契約しか結べない「25歳ルール」の対象となり、球団経営の負担になるほどの高額契約とならないことから争奪戦は熾烈を極めた。
その中で最終的に佐々木を口説き落としたのは、“銀河系軍団”だった。米移籍専門サイト『MLB Trade Rumors』によれば、ドジャースとの契約金は650万ドル(約10億2700万円)だという。
当初、ドジャースの25歳以下の海外選手に使える資金「国際ボーナスプール」は514万ドル(約8億1212万円)。だが、土壇場でフィリーズとのトレードで外野手有望株のディラン・キャンベルを放出して136万ドル(約2億1216万円)に増額。それでも最終候補となったパドレスとブルージェイズの保有するボーナスプール額よりも少額であったとされている。
今回の契約に対して不満がないわけではない。かつてフィリーズなどでGMを務め、球界の補強事情を知るジム・ボウデン氏は、米YouTubeチャンネル『Foul Territory』内で「ドジャースとササキの間に事前に取り決めがあったと信じるフロントオフィスや幹部たちがいくつかいた」と指摘。いわゆる「タンパリング(事前交渉)」を疑う声があったことを明かした。
もっとも、事実であるかどうかは不透明。ボーナスプールの増やし方を見ても、あくまでドジャースは正当な形で佐々木側にアプローチを図ったという考えをするのが妥当ではある。ゆえに近年に数多の大物移籍を成立させてきた彼らの正当性を訴える声も上がった。
米専門サイト『Dodgers Nation』のノア・カムラス記者は、米メディア『Newsweek』のコラムで「ドジャースは野球界を台無しにしているわけではない。ただ他の誰よりも優れているだけだ」と断言。さらに「ササキがドジャースを選んだのは、彼らの持つ財政力に関心があるというわけではなく、その図抜けた組織が築き上げてきた素晴らしい評判があったからだ」と批判的な意見に反論を展開した。
「ドジャースは巨大なチームを築き上げた一方で、選手がチームに入りたくなるようなやり方で選手たちを扱っている。他のチームに劣らずにドラフトで優秀な選手を選出すると同時に、他で苦戦を強いられてきた選手を“再開発”させてきた。こうした綿密なスカウティングとドラフト戦略によって彼らは巨大な組織を作り上げたのだ。資金力だけではない」
賛否両論を生んでいる佐々木のドジャース加入。そのハレーションはしばらく収まりそうにない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]