SB人的補償問題 ハレーションおさまらない背景に見誤ったファン心理

2024年1月20日(土)6時30分 ココカラネクスト

山川の人的補償を巡って和田の名前があがったことで波紋は広がった(C)Getty Images

 騒動は、まだまだ収束にほど遠い状況にあります。

 西武からソフトバンクにFA移籍した、山川穂高内野手の人的補償を巡る問題です。

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 事の発端は1月11日付けの日刊スポーツによる一面スクープでした。

「山川 人的補償 和田」
「最後の松坂世代に西武 白羽の矢」

 球界が蜂の巣を叩いたような大騒ぎになったのは見ての通りです。結果的にその日の夕方、西武は人的補償として甲斐野央投手を獲得すると発表。しかし騒動は収まることなく、プロ野球選手にとって「元日」とされる2月1日のキャンプインを過ぎても、騒動は尾を引きそうです。

 なぜここまで「もつれた」のでしょうか。

 スポーツ紙のデスクはこう見解を述べます。

「ソフトバンクの編成幹部が『ファン心理』を見誤ったのが大きいでしょう。一つは山川選手のFA獲得。ファンの中で否定的な意見が強い中、獲得を強行したような印象が残りました。確かにチームは昨年、巨大補強したにもかかわらず首位オリックスとは15・5ゲーム差の3位となり、V奪回が至上命令なのは自明です。でもファンが求めているのは山川選手を獲得しての戦力アップではない。『育成のホークス』のプライドを懸けた、若き力の抜擢と覚醒であるはずです」

 そして、こう続けるのです。

「それに加えてプロテクトリストから功労者の和田投手を外してしまった。確かに『28人枠』でプロテクトできる人間は限られている。層の厚いソフトバンクなら、なおさらです。しかし、西武が数年前、巨人から内海投手を獲得して、『生きたお手本』としたケースは想定していなくてはいけなかった。西武に残る『根本陸夫イズム』を甘く見るからこういう結果になるんです。結果的に『山川を取って和田を失う』となれば、ファンの猛抗議は当然でしょう。自業自得としか言いようがありません」

 本来、プロテクトリストに記された名前は当該2球団の関係者が「墓場まで持っていく」極秘事項であるはず。それが各メディアにポロポロ出るようでは、交渉の前提となる信頼関係が崩れてしまっていると言っても過言ではないでしょう。

「報道されているように、西武が和田投手を指名後にソフトバンクサイドから再考の願いが出され、プロテクトされていた甲斐野投手が移籍した−ということになれば、制度そのものが崩壊したことになる。ファンあってのプロ野球であるべきなのに、ファンが何を信じたらいいのか疑心暗鬼になるのも致し方ないところです。NPBと選手会はしっかり調査した上で、再発防止策を講じなくては、ファンの不信感が募ったまま開幕を迎えることになるのではないでしょうか」(前述のデスク)

 もう二度と「被害者」が出ないような議論が望まれます。それでも今季の「ソフトバンク対西武」が俄然注目のカードとなったのは、間違いなさそうです。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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