スポーツ紙が報じなければ全ては「闇の中」 「山川人的補償和田」スクープの意義

2024年1月21日(日)16時59分 ココカラネクスト

山川の人的補償として和田の名前が挙がったことにファンは様々な反応を示した(C)Getty Images

 球界の歴史に残るスクープと言っていいでしょう。

 1月11日に日刊スポーツが一面トップで報じた「山川 人的補償 和田」「最後の松坂世代に西武 白羽の矢」という記事です。

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 早朝からSNS上ではバズりまくり、ホークスファン、ライオンズファンを中心に野球ファンの枠を超え、様々な意見が出る大騒動になりました。

 するとその日の夕方、「西武、人的補償でソフトバンクから甲斐野を獲得」と両球団から公式発表がありました。一時はネット上で「日刊の大誤報か」との声もあふれましたが、スポーツ紙のデスクは舞台裏をこう解説します。

「日刊さんは西武やソフトバンクの記事に関しては常に精度が高い。朝からウチも含めた各紙は『やられたな』というムードでした。結果的に日刊さんがこのスクープを報じなければ、ファンは舞台裏を一切知ることなく、普通に『人的補償は甲斐野』だけを事実として報じられていたかもしれない。そういう意味でも意義深い、同業としても敬意を表したいスクープでしたね」

 確かにFA移籍の人的補償を巡るプロテクトリストは、当該2球団の編成担当者の中でも限られた人間しか関与することができず、それらの担当者も記載内容は「墓場まで持っていく」ことが義務づけられているもの。ここまで「続報」が相次ぎ、各メディアで報じられること自体、異例の事態です。

 情報の「出所」については各メディアから様々な臆測が飛び交っていますが、前述のデスクはこう言います。

「スポーツ記者にとって、ニュースソースが誰だったかは『墓場まで持っていく』ことが必須。逆に言えば、そこまでの信頼関係が築けているからこそ、ここまでの『大ネタ』を日刊スポーツは入手できた上で、精度の高い情報として世に放てたと言えます。一つだけ言えるのは、誰かが、何らかの思惑を持って日刊の記者に伝えたのでしょう。その結果、トクをしたのは誰なのか。あくまで一般論ですが、想像することはメディア論を考える上でも、有意義な営みかもしれません」

 今シーズンのプロ野球報道で、これ以上のスクープは果たして出てくるのか。スポーツ各紙の奮闘からも、目が離せません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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