アビスパ福岡の2023シーズン予測。堅守を維持し、攻撃は新たな舞台へ?

2023年1月21日(土)18時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

明治安田生命J1リーグにて、アビスパ福岡は昇格直後の2021シーズンにクラブ史上最高となる8位を記録した。昨2022シーズンは残留争いに巻き込まれるも14位で着地。


改めてアビスパ福岡にとって、2022シーズンはどのようなシーズンだったのか。そして2023シーズンに向けた準備をどのように進めているのか。開幕まで1か月を切ったこのタイミングで予測してみたい。




アビスパ福岡 MF前寛之 写真:Getty Images

2022シーズンの振り返り


昨2022シーズンのアビスパ福岡は、リーグ戦では8位以上、カップ戦(JリーグYBCルヴァン杯、天皇杯)はベスト4位以上を目標に掲げていた。


だが、J1リーグでは開幕節から3試合連続引き分けの勝ちきれないスタートを切ると、7月末にはチーム内に新型コロナウイルスが蔓延。第24節のガンバ大阪戦が延期になり、その後もコンディションの低下が明白となる。6試合未勝利(1分5敗)と残留争いに巻き込まれ、14位での残留が決まったのは最終節だった。


一方で、天皇杯ではベスト8、ルヴァン杯ではベスト4に進出。カップ戦の目標に到達すると共に、サポーターは初タイトルという夢を垣間見れたことも確かだ。




アビスパ福岡 MF紺野和也(当時FC東京)写真:Getty Images

2023シーズンに向けた移籍市場での動き


2022シーズンのJ1リーグで14位となったアビスパ福岡だが、2023シーズンに向けてここまでの動きはあまり活発ではない。左サイドバック(SB)のレギュラーだったDF志知孝明、最終盤で3試合連続得点を挙げたFWフアンマ・デルガド、右サイドハーフ(SH)として4得点4アシストを記録したMFジョルディ・クルークスら、10人がチームを離れた。


一方、新加入は5人。FC東京から右サイドが主戦場のMF紺野和也、2022シーズンJ2東京ヴェルディで13得点を記録したFW佐藤凌我、横浜FCから2015〜2017年以来の福岡復帰となるDF亀川諒史などが加わったものの、派手さはない。


おそらく、各メディアでの評価は低いものとなるだろう。しかし筆者は「戦力維持」と「戦力ダウン」2つの捉え方があると考えている。以降2023シーズンに向けた体制を細かく




アビスパ福岡 DFドウグラス・グローリ 写真:Getty Images

2023シーズン守備に大きな変化はなし


2020シーズンから続く長谷部茂利監督下のアビスパ福岡。最大の強みは間違いなく「堅守」である。昨シーズンリーグ最少の29得点に留まりながらJ1残留できたのも、リーグ3位タイの38失点に抑えた守備があったからこそだ。


FWまでを含めた全員が高い守備意識を持ち、前線を突破されても前寛之と中村駿がコンビを組むボランチを中心としたMF陣が立ちはだかる。ディフェンシブサードに侵入されたとて、抜群の高さと強さを持つセンターバック(CB)を中心としたDF陣が壁となり、最後は守護神のGK村上昌謙が防ぎきる。幾重にも敷かれた陣形で、ボールを保持されながらもゴールは許さない。


2023シーズンに向けても、この守備に大きな変化はない。ボランチの主力である前と中村。CBの主力である奈良竜樹、宮大樹、ドウグラス・グローリ。守護神の村上。全員がチームに残り、屋台骨は微動だにしていない。唯一、左SBの志知はサンフレッチェ広島に移籍したが、横浜FCのJ1昇格に貢献した亀川を獲得し対応。チーム最大の武器は揺るがないだろう。


アビスパ福岡 FW山岸祐也 写真:Getty Images

2023シーズン攻撃の舞台は空中から地上へ?


一方、強みを維持した守備陣と対照的に、攻撃陣には不安が残る。昨シーズンまではサイドからのクロスに高さのあるFWが合わせる形が主だったが、結果に結びついていない。クルークスのポジションにはFC東京から紺野を、フアンマのポジションには東京ヴェルディから佐藤を獲得したが、そもそもリーグ最少得点の陣容だ。単純な足し算では強力といえず、高ささえ失ったように映る。


この点が前評判に影響しそうだが、長谷部監督はおそらく、攻撃の場を空中から地上へと移そうとしているのではないか。


FW陣の顔触れは昨シーズン10得点を挙げ出し手にも受け手にもなれる山岸祐也を軸に、広いスペースでのスピードと献身性を持つルキアン、動き出しとシュートセンスで勝負する佐藤、コンタクトの強さと豪快なシュートを備えるジョン・マリなど。圧倒的な高さで勝負するタイプはおらず、SHもカットインを得意とする紺野や金森健志、突破力が持ち味の田中達也らが主戦。グラウンダーのパスにドリブルを組み合わせた、新たな形を模索するのだろう。それは、2022シーズンに目指しながらも陣容と噛み合わず、志半ばで諦めたものでもある。




アビスパ福岡 DF三國ケネディエブス 写真:Getty Images

2023シーズン3バックと4バックを併用か


2023シーズンは、フォーメーションにも多少の変化がありそうだ。長谷部監督体制の福岡ではこれまで、4バックをメインに3バックも時折使用されてきたが、これまでより3バック率が高まると予想する。


昨2022シーズンのラスト3試合を2勝1分で乗り切った福岡だが、この3試合はいずれも3バック。また、2023シーズンはSBを主戦場とする選手が湯澤聖人、前嶋洋太、新加入の亀川の3人しかおらず、シーズンを通して4バックで戦い抜くには不安がある。CBは奈良、宮、グローリの3選手に加え、昨シーズン終盤に成長を示した三國ケネディエブス、安定感が増した井上聖也など比較的選手層が厚く、3バック向きのスカッドとなっている。




アビスパ福岡 長谷部茂利監督 写真:Getty Images

2023目標達成のカギはラストピースの存在?


長谷部監督は2023シーズンも引き続き、リーグ戦では8位以上、カップ戦ベスト4以上という目標を掲げている。ただし現時点で選手は26人しかおらず、2つ以上の舞台で戦い抜くにはそもそも量が足りない。


川森敬史社長と柳田伸明強化部長がさらなる選手補強を示唆しているように、目標達成のためには今後加わるであろうラストピースの存在が欠かせないだろう。


4年目となる「長谷部アビスパ」は、堅守をそのままに攻撃に新たな色を加え、前評判を覆すことはできるだろうか。

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