アジアカップの命運を握る男、長友佑都。「地獄を見るか、天国に行けるか」のサウジアラビア戦へ

1月21日(月)11時20分 フットボールチャンネル

決勝T、初戦の相手はサウジアラビア

 日本代表は21日、AFCアジアカップ2019の決勝トーナメント1回戦でサウジアラビア代表と対戦する。負けたら終わりの大一番。若返ったサムライブルーの真価が問われる。そして、こういった厳しい試合では数々の修羅場をくぐり抜けてきた長友佑都の存在も欠かすことはできない。(取材・文:元川悦子【UAE】)

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 20日からAFCアジアカップ2019の決勝トーナメントが始まり、初日はベトナム、中国、イランが準々決勝に進んだ。日本もこの流れに乗るべく、21日のラウンド16・サウジアラビア戦で是が非でも勝利を収めなければならない。

 日本代表は17日のウズベキスタン戦の後、1日の休養を経て、次の決戦の地シャルジャで2日間の調整を行ってきた。腰痛の東口順昭と右ひざの違和感を訴えた青山敏弘のサウジアラビア戦出場は困難な状態だが、右でん部負傷で別メニュー調整が続いていた大迫勇也がようやく全体練習に合流。ピッチに立てる可能性も出てきた。

 とはいえ、9日のトルクメニスタン戦で一度右でん部痛を再発させているエースを、再び離脱させるわけにはいかない。森保一監督も起用は慎重にならざるを得ないだろう。おそらくサウジアラビア戦は武藤嘉紀を1トップで先発起用すると見られる。それ以外は13日のオマーン戦に先発出場したメンバーが基本になるだろう。

「(ロシア)ワールドカップが終わってから選手が入れ替わって新チームになった日本にとっては、公式戦でサウジアラビアのような強いチームと公式戦で当たって、もし勝利することができれば、大きな財産にも経験にもなる。相手は非常にコレクティブで技術的に高いパスサッカーをしてくる。そこに関しては気をつけなければいけない」と2戦ぶりの先発復帰となる柴崎岳がAFCによるインタビューで話した通り、この関門を超えられるか否かで森保ジャパンの今後が大きく変わるのは確かだ。

 それは次戦が国際Aマッチ113試合目となるベテランの長友佑都も強調していること。「たぶんここは日本代表が今後、本当に成長していけるかどうかのターニングポイントになる試合だと思う。親善試合とかアジアカップのグループリーグは引き分けても負けてもまだ可能性がある中で戦える。でも次は負けたら終わり。そのプレッシャーを背負ってプレーする中で、パーソナリティ含めて選手の評価が見られる」と語気を強めた。数々の修羅場を潜り抜けてきた男の言葉はやはり重い。そこはチーム全体が強い自覚を持って挑むべきだ。

「アジアカップは地獄を見るか、天国に行けるか」

 決勝トーナメント1回戦の難しさというのを長友は過去2回のアジアカップの経験を通して痛感している。彼が初参戦した2011年カタール大会の準々決勝・カタール戦は12分にいきなり失点。後半に香川真司が爆発して何とか3-2で逆転勝ちしたが、一瞬たりとも気の抜けない激闘だった。当時24歳の長友もまだ若手の1人で先輩についていくのがやっと。自分でゲームをコントロールできるようなタフさはなかった。

 続く2015年オーストラリア大会の準々決勝・UAE戦は開始早々の7分、アリ・マブフートの電光石火の一撃を許し、いきなりリズムが狂った。長友自身も27歳の中堅選手になっていたが、ブラジルワールドカップ惨敗のダメージから抜け出せず、報道陣から逃げ回るような状態だった。

 決戦前日の記者会見でも「ロシアへの4年間の中でこの大会をどう位置づけているか」と筆者から質問を受け、1分近く固まってしまい、同席していたハビエル・アギーレ監督に助け船を出されたほど。メンタル的な不安定さを象徴するように、試合の入りからミスを犯してしまった。

「アジアカップは地獄を見るか、天国に行けるか。チームを引き締めていてもやられてしまう怖さがある」と彼はしみじみ語ったが、困難な状況を切り抜けてきた経験を今こそ生かすべき時だ。

 実際、長友の陣取る左サイドは大一番の重要ポイントになる。サウジアラビアは4-1-4-1の布陣を採るが、右サイドのサレム・アル・ドウサリの技術とスピードが攻撃のスイッチ役になっている。複数のサウジアラビア人記者が「アル・ドウサリは最も危険な存在」だと口を揃えるほどのキーマンを長友と原口元気でキッチリ封じ、相手攻撃陣の迫力を半減させられれば、かなり有利な試合運びができるはず。

重要なのは堅守。長友が守備陣を引っ張る

 そのうえで、1トップのスピードモンスター、ファハド・アル・ムワラッドの裏への飛び出しを抑え込めれば、オマーン戦のような無失点ゲームに持ち込める。「失点しなければ負けない」と酒井宏樹も言うように、まずは徹底した堅守を貫くこと。長友はそのけん引役を託されている。

 パスサッカーを志向するサウジアラビアはボール支配を重点に置いてくる。となれば、長友が攻撃参加できるチャンスは少ないかもしれないが、一瞬の隙を見て高い位置を取ることも求められる。原口と長友の左サイドのホットラインは今大会に入ってから完全に機能しているとはい言えない部分がある。

 トルクメニスタン戦の後半などは原口が中央に絞り、長友が外を抜けて敵陣深くまでえぐってマイナス方向にクロスを入れるようなシーンも見られたが、同様の連係を磨いていくこともサウジアラビア戦の大きなテーマになる。

 状況次第では原口に代わって乾貴士とのロシアワールドカップ以来となるコンビ再結成もあり得る。ただ、この2人も昨年7月2日のベルギー戦から一度も実戦で一緒にプレーしていないため、感覚がすぐに戻ってくるかは微妙なところ。

 ところが長友は「あいつが出た時の関係というのは分かり合っている。試合を見ていても『貴士が持ってる時に俺だったらこうするな』とかいろいろなイメージが湧いた」と自信をのぞかせていただけに、破壊力ある攻撃スタイルを構築してくれれば理想的な展開になる。

 いずれにしても、今大会の命運を分ける決戦でメンタル的にも戦術的にも新生・日本代表を引っ張るのは長友に他ならない。世界を股にかけて活躍してきた日本屈指の左サイドバックの底力を遺憾なく発揮し、サウジアラビアを粉砕したいところだ。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

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