ERC:スズキのスペイン法人、ラリー2キット採用の『スイフト』でシリーズ初参戦を表明

2021年1月22日(金)11時43分 AUTOSPORT web

 スズキのスペイン法人であるスズキ・モーター・イベリカのモータースポーツ部門は、現行のZC33S型『スイフト』に最新のラリー2キットを組み込んだ新たなモデル『Swift R4lly S(スイフト・ラリーS)』で、2021年のERCヨーロッパ・ラリー選手権、ERC2クラスに参戦することを発表。旧R5の下位規定に準拠する4WD車両を、経験豊富なファン・ビニェスと新進気鋭のハビエル・パルドに託し、初のヨーロッパ選手権挑戦を決断した。


 このラリー2キットの規定は、FIAが提唱する新たな車両区分に基づき、2輪駆動となるR2、R3規定車両と、共通パーツを使用する4WD車両のR5規定モデル(現ラリー2)との間を埋める存在として誕生した。


 R5モデルよりわずかに出力が抑えられた263PS/382Nmのアウトプットに規定された1.6リッターの直列4気筒直噴ターボを搭載し、5速シーケンシャルギアボックス、ラリー2(R5)用のリヤデフ、一体型トランスミッションで構成されるユニバーサルキットを中心に構築される。


 すでにFIAに承認されたラリー2キットを採用するスイフト・ラリーSは、同国のR-テクノロジーが製作を担当。WRC世界ラリー選手権を筆頭にERCやFIA準拠の各国ラリー選手権への参戦が可能で、旧R5モデルより1kmあたり約1秒のビハインドを背負うものの、より安価な購入費とランニングコストに抑えられる。


 スズキ・モーター・イベリカのファン-ロペス・フレード代表は、この挑戦が「スイフト・ラリーSにとって、素晴らしいショーケースになるだろう」と意気込みを語った。


「ご存知のとおり、世界中に蔓延するパンデミックの不確実性により、今年のプログラムを準備することは容易ではなかった。いずれにせよ、公式チームでの我々の目標はERC2への最初の進出を通して、このマシンがどのポジションで戦うことができるか確認することだ」と続けたフレード代表。

今回誕生した『Swift R4lly S(スイフト・ラリーS)』は、R+規定バージョンからの発展系として開発が進められてきた
最新のラリー2キットは、5速シーケンシャルギアボックス、ラリー2(R5)用のリヤデフ、一体型トランスミッションなどで構成される


■スズキ・モーター・イベリカでは『アクロス』での挑戦も計画


「さらに将来のカスタマーであるスズキ・スイフトのラリー2キットに興味を持っている、すべての国のドライバーに対して、その潜在的ポテンシャルをアピールすることが狙いだ」


 旧R5規定のERC1と、そのジュニア選手権にはWRC経験者を含め錚々たるメンバーが参戦しているが、2021年もすでにアンドレアス・ミケルセンのフル参戦が発表されている。


 一方、このスイフト・ラリーSが参戦するERC2クラスは、ミツビシ・ランサー・エボリューション、スバルWRXなどのN4規定車両に、ポルシェ997 GT3、アルピーヌA110 RGT、そしてアバルト124ラリーなどのR-GT規定車両、さらにプジョー208などにオレカ製キットを装着したR4-Kなどの参戦が許されている。


 この新型車両を託される51歳の大ベテランであるビニェスは、2010年からスズキのマシンをドライブし、スイフト・スーパー1600を経て2017年からはR+バージョンで戦った経歴の持ち主。


 一方、24歳のパルドは2020年に2WD部門のERC3に参戦するプログラムを進めていたものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で活動縮小を余儀なくされていた。


 スズキ・モーター・イベリカでは、このERC挑戦の計画に加えて地元スペインとポルトガルでワンメイクのスイフト・カップも運営し、国内ラリー選手権の代替エネルギー・クラスではプラグインハイブリッドを搭載する『トヨタRAV4』のOEMモデル『スズキ・アクロス』での挑戦も計画している。


 ERC向けのスイフト・ラリーSのテストプログラムは、2021年のERCシーズン開幕前の2月に開始される予定となっている。

ERC2への実戦投入では、経験豊富なファン・ビニェスと新進気鋭のハビエル・パルドにステアリングが託される
ERC向けの『Swift R4lly S』のテストプログラムは、2021年のERCシーズン開幕前の2月に開始される予定だ

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