初の雪上戦では盟友ブロックを偲び特別カラーで出場。『43』は永久欠番に/NitroRX第7戦

2023年1月24日(火)14時55分 AUTOSPORT web

 年跨ぎの2022-23年シーズンとして、北米開催の続く創設2年目のNitroRXナイトロ・ラリークロスは、2023年に入った1月21〜22日にカナダのケベックで第7戦を開催。シリーズ初の雪上戦で予選最速だった強豪ドレイヤー&レインボールド・レーシング・ウィズ・JCレーステクニーク(DRR JC)のフレイザー・マッコーネルを撃破し、兄で僚友のケビン・エリクソン(オルスバーグMSE AB)との“エリクソンズ対決”も制したオリバー・エリクソン(オルスバーグMSE AB)が、自身とチームにNitroRX初勝利をもたらした。


 また、シリーズの前身であるナイトロ・ワールド・ゲームスへの参戦経験もあり、年明け1月2日に急逝したケン・ブロックへの追悼の意を込め、改めてNitroRXのシリーズはブロックの象徴でもあるナンバー『43』を永久欠番にすると発表。さらに彼の盟友であり、シリーズ創設者兼初代チャンピオンにも輝くトラビス・パストラーナ(バーモント・スポーツカー)はこの週末に向け、かつてブロックがドライブした“スノーカモ(雪上迷彩柄)”のラリーカーにインスパイアされた、トリビュートカラーの『FC1-X』で出場している。


 同じ北米大陸ながら、カナダはケベック州トロワリビエールを舞台とした今回のイベントでは、シリーズの新開発電動車両『FC1-X』のお披露目兼シリーズラウンチのプロモーションとなった2022年のレース・オブ・チャンピオンズ(RoC)以来、レギュラー戦としては初となる雪と氷の1戦が設定された。


 その第7戦に先立ち、世界中のファンが大きな落胆と喪失感に包まれたブロックの訃報を受け、このNitroRXも改めての弔意を示すとともに、WRC世界ラリー選手権は「2023年シーズン限り」の時限措置としたブロックの43番を、シリーズの「永久欠番とする」ことを決定した。


 このアナウンスに際し、NitroRXの公式リリースは「ステアリングを握ったケンの業績は伝説的であり、このスポーツに対する彼の情熱に匹敵するものは他にない」との書き出しで始まった。


「クリエイティブな力を放つケンのバイラル動画は、ラリークロスを変革し、新世代のファンに向けてすべての門戸を解き放ちました。彼の情熱を共有して改革を進めてきたNitroRXの創設者であるトラビス・パストラーナも、その熱意がこのシリーズに対するトラビス本人のビジョンを実現し、物事を具現化するのに役立ちました」


「シリーズ黎明期からNitroRXのドライバーであったケンは、5年前にトラビスの呼びかけに最初に応じ、2018年にNitroRXに参加しデビューを飾りました。彼はまた、最初のイベントを発表する記者会見でトラビスの隣にいた人物でもありました」

かつてケン・ブロックがドライブした“スノーカモ”のラリーカーにインスパイアされた特別リバリーで参戦したトラビス・パストラーナ(Vermont SportsCar)


■兄のケビンが弟オリバーの援護射撃役に


 2019年を含め2戦に出場したブロックだが、今回の措置で永久欠番となった『43』』は、将来的にブロック・ファミリーのメンバーが希望する場合に使用できるようになるという。


 ブロックの長女であるリアは、すでにNitroRXのシリーズを経験しており、昨季はシエラ・カー(RX3バギー)で。今季はサイドバイサイド(SxS/同じくバギーのカテゴリー)に参戦し、ここまでの6戦中4戦に出走して最上位は5位。ランキング7位につけている。


 こうして始まった週末は、予選こそ第4戦で初優勝を飾ったジャマイカ出身ドライバーのマッコーネルが制したものの、決勝日最初のオープニングヒートからは“北欧出身”のエリクソン兄弟が他を圧倒するパフォーマンスで席巻。


 今季2度目の予選上位通過を果たしたオリバーは、同じく別のピラミッドでオープニングを制した兄のケビンとともにファイナルを支配すると、破損したドライブシャフトを物ともせず、僚友を3.298秒も突き放してチェッカーを受けた。


 その背後で弟の援護射撃役となったケビンも、5周目までジョーカーをセーブしてポイントリーダーの開幕覇者ロビン・ラーソン(DRR JC)を封じると、そのままのポジションでフィニッシュラインを通過。名門オルスバーグMSE ABが得意のサーフェースでワン・ツーを達成し、3位に入ったJC RXカルテルのラーソンは今季7戦で6度の表彰台に。4位には早めのジョーカーでクリーンエアを得たものの、逆転ならずのマッコーネルが続く結果となった。


 一方、亡き友へ捧げる力走を披露したかったパストラーナは、慣れないスノーに脚元をすくわれ、幾度もバンクに車体を擦り付ける苦しいドライブとなり5位チェッカー。そのうち、スピンを喫した場面では背後にいたアンドレアス・バッケルド(DRR JC)が巻き添えとなり、オリバー・ベネット(エキサイトエナジー・レーシング)とコナー・マテル(バーモント・スポーツカー)の後塵を拝す最下位に。しかし最終的な裁定により、パストラーナには最後尾への降格処分が下される結果となった。


 これで残るラウンドは2戦となったNitroRXの2022-23年シーズンは、引き続きの北米開催で来月2月4〜5日に同じくカナダはカルガリー、スタンピードパークの雪上イベントで第8戦を実施し、3月中旬にはカリフォルニアでのシーズンフィナーレ開催が予定されている。

得意のスノー・サーフェースでOlsberg MSE ABに1-2でのシリーズ初勝利をもたらしたオリバー&ケビンのエリクソン兄弟


■2023 Nitro RX Quebec | Group E Final – Saturday


https://youtu.be/6rOnaAjrC0k

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