次々に飛び交う改革論、課題多きFA人的補償だが過去には糧として新境地開いた名プレーヤーたちも

2024年1月24日(水)13時59分 ココカラネクスト

山川の人的補償として和田の名前が報道されたことで、改めて問題点がフォーカスされた(C)Getty Images

 日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会の事務折衝が1月23日に行われた。この日は議題に上がらなかったというが、選手会の森忠仁事務局長は取材陣を前に、国内フリーエージェント(FA)移籍に伴う「人的補償」について、即時撤廃を求めたという。

 人的補償を巡ってはつい先日、ソフトバンクに移籍した前西武・山川穂高の人的補償として、和田毅の名前が一部で報道され話題となったばかり。西武は和田獲得の方針を固めたと伝えられたが、その後に球団から発表された獲得選手は甲斐野央だった。

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 人的補償では外国人選手を除く28選手がプロテクトされる。その名簿は当該2球団のみのやり取りにとどまるのだが、期せずして和田が「プロテクト外」であったことが明らかになった格好に。ネット上には「和田が移籍を固辞して、引退もちらつかせたのでは」、「甲斐野は当初はプロテクトされていたが、そこで手打ちとなったのでは」と舞台裏での動きを疑う声が噴出し、SNSでは関連ワードがトレンド入りした。

 森事務局長は現行制度の問題点を挙げ、また過去の事例についても疑わしい点があると指摘したという。熱心な野球ファンには周知となっているのが、2017年オフに起きた「岩瀬式プロテクト」事件だ。日本ハムから中日へFA移籍した大野奨太の人的補償として、日本ハム側はプロテクト漏れしていた岩瀬仁紀を指名。ところがベテラン左腕が移籍を拒否し、引退を口にしたため、指名を回避して金銭補償に方針転換したとされている。

 もっとも人的補償を契機に、キャリアを大きく好転させた選手たちも数多くいる。

 福地寿樹は2007年オフ、石井一久を獲得した西武から人的補償としてヤクルトに移籍。当時32歳だったが、2008年には外野の定位置を獲得し、プロ15年目で初の規定打席到達で打率・320、9本塁打、61打点と暴れて、42盗塁で初の盗塁王に輝いた。

 巨人から広島へ2014年に移った一岡竜司は、セットアッパーとしてリーグ3連覇に貢献。2017年に巨人からDeNAへ人的補償で渡った平良拳太郎は先発ローテーションの一角を担った。楽天からロッテの小野郁、逆にロッテから楽天の酒居知史は、ともにブルペンで欠かせない存在に。昨オフに近藤健介の人的補償としてソフトバンクから日本ハムへ移籍した田中正義は、複数球団競合のドラフト1位という潜在能力を新天地でようやく花開かせ、守護神として昨季47試合で2勝3敗、25セーブ8ホールド、防御率3・50と大活躍してみせた。

 歴史を振り返って見ても、現状のシステムには問題点が多くあるのは確か。システムの改善へ、NPBにはリーダーシップを発揮する改革が求められる。同時にこれを機に、糧へとした選手も数多く、甲斐野には絶対的な抑えが不在の新天地で、ソフトバンク球団を見返す活躍を期待したい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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