小笠原慎之介、目指すは左腕の先輩・菊池雄星のキャリアか 「アメリカナイズ」された人間力で上位ローテへ
2025年1月25日(土)17時21分 ココカラネクスト

制球力に磨きをかけた小笠原のピッチングがメジャーで通用するか見ものだ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext
小笠原慎之介の進路がついに決まった。
ポスティングシステムでのMLB移籍を目指す中、日本時間1月25日未明にナショナルズとの2年契約で合意。メジャーリーグの世界に飛び込むことになった。
移籍先が決まったのは、締切日時からわずか3時間前のこと。正直なところ、気を揉んでいた。本当に移籍できるのかと。
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約1週間前の19日には、日本人投手3人(佐々木朗希、藤浪晋太郎、青柳晃洋)の移籍が一気に決定。小笠原だけ進路が決まっていない状況がしばらく続いていた。もしかしたら中日残留の線も出てきたかと思われたが、今は無事にMLBでプレーできる目処が立ったことを喜びたい。
■敏腕記者のポストで移籍に現実味
夢が現実味を帯びてきたのは、昨年4月のこと。
「複数のMLBスカウトは、左投手のシンノスケ・オガサワラを2024年NPBシーズン終了後にポスティングされる可能性があると評価している(略)彼は優れた制球力で知られている」
『MLBネットワーク』の敏腕記者ジョン・モロシ氏が、自身のXで唐突に上記の内容をポスト。モロシ氏は過去に今永昇太(カブス)や岡本和真(巨人)のMLB挑戦に言及しており、ファンとしてはこの瞬間に覚悟を決めたと言って良い。
一昨年までは最速153キロの速球で押しまくる「真っ向勝負」型の投手だった。そのスタイルで多くの者を魅了してきたのだが、一方で被本塁打が増えるのが諸刃の剣。そこで昨季は従来の「力感あふれる」というより、「自然体」で投げるフォームに変更していた。
結果、直球の平均球速は145キロから143キロに下がったものの、与四球率は2.30から1.37に良化。防御率も3.59から3.12に下がり、一定の成果を得た。なぜそのような取り組みを行ったかは定かではないが、恐らく「制球力が良い部分を見せた方がMLBに評価される」と本人が感じた、あるいは周囲のアドバイスがあったのではと推察する。
■やれる限りは米国で
小笠原が米国文化に造詣が深いのは、竜党なら知っている人も多いだろう。MLBはもちろんのこと、プロレスWWEなどにも詳しく、近年はオフになると毎年渡米。本場の空気を味わっていた。
今オフも米シアトルにある「ドライブライン」に通い、スライダーの改良に着手。これまでのスラーブ系をより曲がり幅の大きいスイーパー寄りにすべく、試行錯誤していたそうだ。
ナショナルズにとっては、小笠原が20年ぶりの日本人選手だそう。事実上前例のない中で研鑽を積むことになる。その点は心配かもしれないが、上記の通り「アメリカナイズ」されたところもあるので、大丈夫だろう。
チームは2010年代の黄金期を経て、現在は再建期。将来を担うプロスペクト達が大勢いる。現在28歳と中堅どころに差し掛かった小笠原が、彼らとのケミストリーを生むことが楽しみだ。また、同地区には千賀滉大(メッツ)とフィリーズと契約した青柳がいる。日本人対決にも注目したい。
せっかく夢を叶えたのだから、やれる限りは米国でプレーしてもらいたい。理想は同じサウスポーの先輩・菊池雄星(エンゼルス)のキャリアか。現状の小笠原はローテ4〜5番手を担うことが見込まれている。時には救援をやりながら出力を上げていき、数年後には1〜2番手を目指すといったところか。
移籍発表直後から、古巣・中日のチームメイトはこぞって小笠原に祝福の声を上げていた。最高峰の舞台にチャレンジする姿をみんなが見守っている。臆せず、いつでも前向きに。
[文:尾張はじめ]