日本代表がチャンスすら作れない理由。アジアカップで繰り返される光景、最大の問題は?【西部の目】

1月25日(金)11時10分 フットボールチャンネル

課題は変わらず。隙間へつける仕組みがない

日本代表は24日、AFCアジアカップ2019・準々決勝でベトナム代表と対戦し1-0と勝利した。日本が順当に次のステージへ駒を進めた格好だが、攻撃は相変わらず問題を抱えたまま。イラン戦も厳しい戦いが予想される。また、VARの運用面にも疑問が残った。(取材・文:西部謙司【UAE】)

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 ボールを持てば果敢に仕掛けてくるベトナムだったが、基調は日本がポゼッションして押し込む流れの試合になった。前半にベトナムに足を使わせたことで、後半に支配力が増したのは、初戦のトルクメニスタン戦と同じだ。5-4-1で守備を固められると、なかなか打開できないのも同じ。森保一監督は大会前から「試合ごとに成長していきたい」と話していたが、ポゼッション攻撃について進歩はみられていない。

 最大の問題は相手の守備ブロックの「隙間」にパスが入らないことだ。ここにボールが入らないと、守備を固めている相手からチャンスを量産するのは難しい。

 ロシアワールドカップでは、香川真司が狭いスペースでもフリーになってパスを受けて失わずにさばくことができた。ただ、チームとしてその仕組みを持っていたわけではなく、単純に香川の個人能力だったことがアジアカップでよくわかった。例えば、韓国はサイドバックの進出など周囲のポジショニングによって、オートマティックにソン・フンミンを左のハーフスペースでフリーにする仕組みを持っているが、日本にはそれがないのだ。

 南野拓実はむしろストライカーで、トップに張っているか、相手に見られている状態でボールを受けにいくことが多く、したがって瞬間的にもフリーになれない。相方の北川航也はコントロール自体に失敗していてこちらもパスは入らない。結局、相手を背負っていても受けて失わない、「的の大きい」大迫勇也が頼りという状況はまったく変わらなかった。

ベトナムのフィニッシュに助けられる

 試合の流れからいって、日本の勝利は順当といえる。今回のチームの弱点がポゼッション攻撃なので、得点は堂安律のPKのみにとどまったが、日本が勝ちに近いところにいたのは間違いない。攻めあぐみながら、相手のカウンターにも肝を冷やしつつ勝ち抜いていった、ジーコ監督下の2004年大会とよく似ている。

 ベトナム戦では、グエン・コン・フォンのドリブルから2、3回の決定機を作られた。ここまでの4試合で高い評価を受けていた冨安健洋が翻弄され、吉田麻也も釣り出された前半27分の場面ではシュートミスで事なきを得た。フリーで待っていたグエン・クァン・ハイにパスされていたら万事休すだったろう。38分には権田修一と吉田の連係が不安定で、吉田のコントロールが大きくなりすぎた後、立て続けにシュートされた。自滅寸前だった。

 後半はボールを支配したこともあって、ベトナムの攻撃を散発に終わらせたが、GKとDFの連係や呼吸に不安があるのも初戦から変わっていない。

対イランと気になったVARの運用面

 次は今大会最強のイランとの準決勝になる。堅守速攻型のほうが持ち味を出しやすい今大会の日本にとって、イラン戦は噛み合った試合になると思う。ただし、サウジアラビア戦のように引き込みすぎるのは危険である。イランはサイドからのハイクロスを得意としていて、セカンドボールを拾ってのミドルシュートにも威力があるからだ。

 前進守備も強力。理想をいえば、日本はボールを保持して押し込んでしまったほうがいい相手である。ところが、ポゼッション攻撃に進展がない現状なので、それができても得点はさほど期待できそうもないのが辛い。大迫の完全復帰、ベトナム戦でようやく出てきた堂安と南野のコンビネーションを連発させること。そのあたりが期待になるが、どのみち厳しい試合にはなりそうだ。

 ところで、これは日本のプレーとは関係ないのだが、準々決勝から採用されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)には大きな疑問を持った。判定の是非ではなく運用面だ。堂安のPKをとったシーンで、最初にプレーを流してからVAR確認するまでに1分間あまり試合が流れていた。

 アウト・オブ・プレーにならないかぎりVARの確認はできないのだが1分間は長すぎる。その間にベトナムの得点が決まっていたら、あるいはどちらかにレッドカード、イエローカードが出た場合、現行の運用ではおそらく無効とされると思う。時間を遡ってPKからのリスタートだ。それはそれで揉めるだろうが、主審はVARを確認する前にベトナムの交代を認めていた。

 交代を認めているなら、1分間に何か起こった場合でも認めなければならないのではないか。判定精度は期待できるとしても、運用が詰められていないのが懸念される。

(取材・文:西部謙司【UAE】)

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