イチローは新人時代から偉才だった 元同僚が証言した米球宴での伝説スピーチ「『あいつらをぶっ飛ばしてやろうぜ』って」
2025年1月26日(日)17時0分 ココカラネクスト

2001年から異彩を放ったイチロー氏。(C)Getty Images
カリスマの放った輝きは色褪せない。現地時間1月21日に発表された2025年の米野球殿堂のリストに、有資格1年目で選出されたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)だ。
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99.7%という高い得票率が物語るように、安定したパフォーマンスが尊敬されるプロフェッショナルだった。45歳までプレーしたMLBでは19年のキャリアで通算3089安打を記録したほか、10年連続10度のゴールデングラブやMVP(2001年)も受賞。まさに攻守で違いを生み出せる存在だった。
ただ、イチロー氏をカリスマたらしめるのはグラウンド上のパフォーマンスだけではない。その言動でも人々の関心を集めた。
イチロー氏がいかに米球界内で愛された存在だったかを物語るエピソードが明るみになった。米スポーツ専門局『ESPN』の取材に応じたマリナーズ時代の同僚でもあったマイク・スウィーニー氏は、2001年のオールスターの舞台裏で起きた出来事を回想している。
この年、メジャーでルーキーイヤーを謳歌していたイチロー氏は、アメリカン・リーグの一員にファン投票で選出された。周囲にはアレックス・ロドリゲスやデレク・ジーター、マニー・ラミレス、エドガー・マルティネスなど錚々たる面子がズラり。普通であれば、否が応でも緊張感の高まる状況ではあった。
しかし、イチロー氏は違ったという。
「指揮を執っていたジョー・トーリは、試合前に素晴らしいスピーチをしたんだ。『君たちは世界最高の選手だ。周りを見回してみろ。君たちはエリートクラスだ。今夜の試合に出場するのは世界でたった70人。君もその1人なんだ』とね。そして、周りを見回すと、デレク・ジーターとマリアーノ・リベラがいて、大聖堂にいるような気分になっていた。
それでトーリが『何か付け加える奴はいるか?』って聞いたんだ。きっとみんな、『トーリより良いことは言えない』と思っていたと思う。でも、イチローが手を挙げて、すっと立ち上がって言ったんだ。『さぁ、あいつらのケツをぶっ飛ばしてやろうぜ』ってね。すると、ロッカールーム全体が大歓声に包まれた。あれはトーリ以上のスピーチだった」
一瞬にしてスターたちのハートを鷲掴みにしたというイチロー氏。その人となりも殿堂入りに繋がったのかもしれない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]