アジアカップ、北川航也はなぜ輝けないのか。その最大の理由と日本代表定着へ向けての課題

1月26日(土)13時20分 フットボールチャンネル

北川に対する森保監督の期待は明らか

 日本代表は24日、AFCアジアカップ2019・準々決勝でベトナム代表と対戦し、1-0で勝利を収めた。この試合で先発出場を飾った北川航也は、これで今大会全試合出場という形になったが、未だ結果を残せてはいない。そのパフォーマンスには厳しい声も多く挙がっているが、なぜ北川は森保ジャパンで輝きを放つことができないのか。その理由を探る。(取材・文:河治良幸【UAE】)

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 アジアカップで準決勝に進出した日本代表で議論を生んでいる1つが北川航也の起用法とパフォーマンスだ。ここまでスタメン3試合で途中出場が2試合、原口元気と並び5試合全てに出場している北川。大迫勇也の怪我に加え、準々決勝では武藤嘉紀が累積警告で出場停止だった事情があるとはいえ、森保一監督の期待は明らかだ。

 しかしながらFWと言っても本格的なポストプレーヤーではない北川がチーム事情といはいえ1トップに張る役割を求められることに関しては懐疑的な見方が多く、特に清水エスパルスでのプレーを見慣れているJリーグのサポーターからそうした声があがるのも理解できることではある。

 また、基本的な役割に加えて周りが北川の特徴を理解しておらず、北川の良さを生かせていないという連係面での問題もよく指摘される。その見方自体は間違ってはいないと思うが、日本代表は個々の選手にとって大なり小なり理不尽な環境であり、しかしながらそこを乗り越えた先にしか主力として定着していく道はない。

 通常、A代表のキャリアがほとんどない選手が決勝まで7試合を経験できる機会はアジアカップぐらいしかないだろう。例えばアジア予選では2試合ごとに区切られ、そこで十分なアピールができなければ次に招集されない可能性もある。

 その意味でも今回の北川は森保監督の評価がどうあれ、願ってもないチャンスの中で、本人もそのことを承知した上で奮闘しているわけだ。4-2-3-1の1トップで起用されたベトナム戦を振り返って課題と改善点を検証してみたい。

本来は生かされる側。それゆえに難しさも

 ベトナムは5-4-1の5バックで引いたところにブロックを敷き、ボールを奪ったらシンプルに繋いで推進力のある突破を狙う戦い方をしており、日本はサウジアラビア戦での課題を踏まえて、ボールを保持しながらベトナムの守備を揺さぶるコンセプトを持って試合に入っていた。

 立ち上がりに権田修一のロングキックを前線で受け、裏を抜ける堂安律にボールを流そうとしたところを後ろからクェ・ゴック・ハイにチャージされて倒れこんだ北川は冨安健洋からのロングパスから今度は南野拓実を追い越させようとしたが、再びクェ・ゴック・ハイにチェックされて繋がらなかった。

 そうした2列目の選手を生かそうとする意識は見られたが、やはり通常は生かされる側ということもあってか、相手を背負うプレーの難しさに加え、ピントを合わせるのに苦しんでいることは確かだ。

 前半9分には相手のクリアボールをボランチの遠藤航が折り返し、北川が受けると南野、堂安、さらに左のスペースを原口が動き出した。もっともフリーで良い状態だったのは原口だが、ボールを受ける時点で体の向きが右側であり、原口が背中の裏だったこともあるのか、右の堂安に出すと相手のディフェンスに読まれており、2対3で囲まれボールを奪われた。

 そうしたもどかしいシーンが続いた中で、初めて効果的なポストプレーが繋がったのが23分だった。柴崎が中盤でボールをインターセプトすると相手のボランチと5バックの間に位置していた北川に縦パス。北川は少しためを作ってから左サイドを抜ける原口に出した。結局、原口はペナルティエリアの左で潰されたが、日本にとって流れの中での大きなチャンスだった。

 ただ、ここで1つ問題だったのが、一度ポストに入った直後の動き出しだ。原口がボールを受けて縦に仕掛けた時に北川が迫力を持ってインサイドを飛び出せていれば、ベトナムのディフェンスを分散させることができた。これまでもプレーの連続性という意味で研ぎ澄まされていない部分はあり、そこはもどかしい要素だ。

北川が心掛けたこと

 前半40分にも冨安のロングパスを北川が受けたところから長友佑都がクロスに持ち込んだシーンでも、北川が直後に勢いよくペナルティエリア内に入っていけていれば、ファーサイドの堂安の手前でクリアされずフィニッシュに持ち込めたかもしれない。

 北川のプレーが流れの中で最もハマったシーンが前半アディショナルタイムにあった。遠藤航からボールを受けた柴崎が速い縦パスを北川に通すと、北川は手前の南野につなぎ、そこから右サイドの堂安に展開される。

 酒井宏樹がタイミングよく堂安のインサイドを追い越し、生じたコースから堂安が左足でクロスを送ると北川はフィニッシュに入ろうとした。しかし、その手前に南野が入り込んでしまい、ファーストコントロールが合わずGKに難なくキャッチされてしまった。このシーンについて北川に聞くとよく覚えていた。

「ペナルティエリアに入って行く人数が多ければ多いほどいいと思っているので。あの場面は自分が早めに“スルー”って声かけてれば通っていたかもしれない」

 前半に関しては「拓実くんと組むことで(前線に張り付くことを)意識しすぎていた部分もあると思う。後半に入ってからは自分の特徴を出せると思っていたので、張りすぎないで拓実くんとも交互にできればという話はしていた」

 そう振り返る北川は後半に南野と縦のポジションをチェンジする局面も作りながら、ボランチとディフェンスラインの間で起点になることを心がけていた。

 後半11分には権田のフィードから北川、南野、そこから左の長友に繋がり、クロスに飛び込んだがヘディングシュートが枠をそれてしまった。決まってもオフサイドだったが、こういうシーンで得点できれば周囲の見方も変わって来ることは間違いない。

「自分でもまだまだというのは感じる」

「そういうポジションに身を置いているし、そういう仕事ができるかどうかが差になってくる。自分でもまだまだというのは感じるけど、ポジティブに考えれば、それだけ上に行くチャンスがあるので、ネガティブにならずに」

 堅守とハードワークをベースにしたベトナムのスタイルを考えても、前半は非常に厳しい流れになることは想定できたことで、前半を我慢強く戦えれば後半に間延びやギャップは生じやすくなる。前半の終わりから後半にかけては得意ではない役回りの中にも見所は出てきており、得点のチャンスもあった。

 確かに後半27分から大迫勇也が出てきたところから前線の迫力が出て様相は変わったが、そうした試合の流れもあり、北川なりの貢献はした。やはり南野とはプレーエリアもイメージもかぶることが多く、そのまま2人が噛み合うのは難しい。しかし、そこはやりながら理解し合うしかなく、北川も開幕時より明らかに心がけてきている。

 そもそも1トップで大迫と比較するのは酷な話だが、日本代表においては競争とチーム事情が常に複合的に絡んでおり、常に自分がやりやすい環境と役割が用意される訳ではない。

 ベトナム戦は1トップというポジションに加えて一発で裏を狙いにくいシチュエーションがあり、ディフェンスを背負うプレーが増えるのは仕方ないところだ。慣れないポストプレーではどうしてもボールロストしやすく、視野も狭くなるのは現状仕方のないところ。

 ただ、その中でも「縦パスも入ってきているし、そこは見てくれている感じはする」と北川が語るように、特に攻守の切り替わりなどで隙が生じた瞬間の動き出しは柴崎などが意識して使えるようになってきているのも確かだ。あとはどういう役割にしてもフィニッシュに入って行く迫力はもっと出していかないと、代表でのゴールという結果はついてこない。

まずは結果を

 今回は1トップの候補にけが人が多く、森保監督も選考の時点で北川を1トップで起用する可能性は想定していたと思われる。そして北川もそうした起用を覚悟していた。もともとトップ下にも南野がいることから、1トップでもアピールできれば出場機会が増えやすくなる。北川としてもそこはチャンスだ。

 メンバー外の選手にもトップ下の候補は多い。北川も今後よほどスペシャルなものを出していかなければ定着は難しいだろう。しかし、複数のポジションをこなせれば、それだけ日本代表での有用性は高まり、定着に繋げやすくなるものだ。その中でスペシャリティをアピールして行くことが大事だが、まずは与えられた役割で悪戦苦闘しながらも結果に結びつけていった先に発見や成長がある。

 もちろんチームのためにも、森保監督や周囲からの北川をより生かすためのアプローチも重要だが、「うまく行かない時もあるので、そこは自分自身改善する必要があると思うし、今後の自分に必要になってくると思う」と北川は自分なりに現状を認識している。

 ここまで5試合無得点だが、ここからの1点は日本代表をアジアカップの決勝、優勝に導く1点となる。実力があっても、よほどの巡り合わせがない限り巡ってこないチャンスだ。

 イラン戦、勝ち上がれば決勝という舞台でここまでの経験も糧にどういう働きをするのか期待して見届けたい。

(取材・文:河治良幸【UAE】)

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