「やりにくさなかった」。武藤嘉紀が持つイランへの自信。アジアカップ準決勝で絶対的切り札に

1月26日(土)12時20分 フットボールチャンネル

イラン戦では攻撃陣が停滞感を打ち破る必要がある

日本代表は25日、AFCアジアカップ2019準決勝・イラン代表戦に向けて練習を行った。苦戦を乗り越えてベスト4まで到達した森保ジャパンにあって、武藤嘉紀は虎視眈々とチャンスをうかがっている。対イランへの自信もあり、背番号13が決勝進出の鍵を握っているかもしれない。(取材・文:元川悦子【UAE】)

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 24日の2019年アジアカップ(UAE)準々決勝・ベトナム戦(ドバイ)で今大会3度目の「ウノゼロ(1-0)勝利」を挙げた日本代表。攻撃の手詰まり感は依然として拭い切れていないが、長友佑都(ガラタサライ)が「締めるところでは締めてるし、したたかなチームになってきている」と強調したように、特に守備面で成熟度を増した集団になっているのは確かだろう。

 しかしながら、28日の準決勝の相手・イランは長友や吉田麻也(サウサンプトン)ら2018年ロシアワールドカップ16強戦士たちでも零封できるかどうか未知数な相手。1トップのエースFWサルダル・アズムン(ルビン・カザン)は傑出した得点力を誇り、2列目に陣取るアレリザ・ジャハンハフシュ(ブライトン)、アシュカン・デジャガ(トラクトル・サジ)らも技術とパワー、パスセンスに長けている。この相手を完封するのは日本にとって非常に難易度の高いテーマになりそうだ。

 そういうイラン相手だけに、攻撃陣が停滞感を打ち破ってゴールを奪う道筋を見出す必要がある。次戦こそスタメン復帰するであろう絶対的1トップ・大迫勇也(ブレーメン)を軸に攻めを活性化させ、多彩なバリエーションで相手をかく乱するような形に持ち込むことが、ファイナル進出のカギになる。

武藤嘉紀が闘志を燃やしている

 今大会最大の山場になるイラン戦に向け、日本代表は25日から再始動。この日は16時からドバイでトレーニングを実施したが、前日のスタメン11人はホテルで休養し、それ以外の11人が汗を流した。ベトナム戦で20分弱プレーした大迫もリバウンドがない様子で、2試合ぶりの出番を得た乾貴士(ベティス)もいい動きを見せるなど、チームは前向きな方向に進んでいると見られる。

 そんな中、闘志を燃やしているのが、武藤嘉紀(ニューカッスル)だ。ウズベキスタン戦(アルアイン)とサウジアラビア戦(シャルジャ)で連続スタメンを張った男は24日の準々決勝・ベトナム戦(ドバイ)をサスペンションで欠場。1試合休養してフレッシュな状態に戻った。そのフィジカルコンディションは大きなアドバンテージだが、さらなるプラス要素がある。

 それが2015年10月のイラン戦(テヘラン)でゴールを奪っているという実績だ。あの時は右の本田圭佑(メルボルン)のクロスに武藤が頭で合わせ、GKがパンチングしたボールが自身の体に再び当たってゴールを割るという泥臭いものだったが、結果を出したことには変わりない。

「まあやりにくさはなかった。あの時もすごく強いってのは感じましたけど、特にやりづらさはなかったので。ホントにこの死闘を制して決勝に進めればいいと思ってます」と背番号13をつける男は自信満々な様子だった。

 今回のイラン守備陣は身長185cm超の屈強なDFが中央を固め、今大会ベストGKの1人と評されるアリレザ・ベイランヴァンド(ペルセポリス)がゴールを死守してくる。3年前の前回対戦時のように失点につながるミスを犯してくれればいいが、ロシアを経て彼らも国際経験値を高めている。

イランに驚きと動揺を与えるには?

 2011年から指揮を執るカルロス・ケイロス監督の戦術も浸透し、強固な守備組織ができ上がっていることも踏まえると、やはり単調な崩しだけではゴールに届きそうもない。日本としては、粘り強く相手のスキを探し、そこを徹底して突くような戦術眼と工夫が求められてくるのだ。

「イランが強いといっても、(ボールを78%も支配された)サウジ戦みたいな展開にはならないと思う。攻守の切り替えを早くして、相手よりタフに戦えれば、僕らが有利なのは間違いない。先に点を決めた方が有利なんで、前半で一撃を食らわせることができればそれほどいい展開はない。今は日本のディフェンスラインが安定していますし、絶対ゼロで抑えてくれると思うので、前の選手が決めて楽にさせてあげないといけない」と武藤も先手必勝で行くことの重要性を改めて語っていた。

 その背番号13がピッチに立つとしたら、おそらく途中から。「絶対的切り札」としてピッチに投入されることになるだろう。森保一監督は同じポジション同士を交代させるのが通例だが、どうしてもゴールを取らなければならない状況になれば、武藤と大迫をタテ関係、あるいは横に並べて2トップ気味に使う可能性もゼロではない。

 そういったトライを現時点ではまだ試みていないが、そのくらいの大胆策を講じなければ、アジア最強チームに驚きと動揺を与えることはできない。武藤自身もドイツでしのぎを削った仲間との組み合わせを大いに歓迎。大一番での共演を熱望している。

「内容で叩かれても勝てばいい」

「サコ君とは合わせられる自信があります。サコ君はしっかり収められるし、パスもはたけるし、自分で決めることもできる。収めてくれた周りは空いていると思うので、とにかくそこを狙っていければいいかな」と彼は前向きにコメントしている。実際、25日のトレーニングでも、2人がシュート練習でコンビを組んでフィニッシュに持ち込むシーンがあり、好連係を見せていた。それを実際のイラン戦のピッチで出せれば、日本攻撃陣に新たなオプションがもたらされるはずだ。

 もちろん堂安律(フローニンゲン)や南野拓実(ザルツブルク)、原口元気(ハノーファー)らとも連係を合わせていくことも大切だ。ベトナム戦の後半は堂安を軸に何人かが連動するシーンがようやく出始めたが、イラン戦ではもっと早い段階からアタッカー陣が息を合わせ、近い距離感で相手を揺さぶるような攻めを繰り出していく必要がある。

「イランとはフィジカル対決になる」と武藤も自戒を込めて話していたが、個と個のぶつかり合いではどうしても日本が不利な状況に陥りがちだ。けれども、彼自身はプレミアリーグのインテンシティーで戦えると前向きに捉えている。実際、3年前のアウェー戦でも、柴崎岳(ヘタフェ)らが相手との当たりに苦しむ中、武藤だけは全く動じずに強さとタフさを示し、ゴールを奪っていた。森保監督もそれだけの武器を備えた男を早い段階から使うべきだ。

 背番号13がそのチャンスを生かして日本をファイナルへと導くゴールを奪えれば、それこそ武藤は「イランキラー」として名を馳せることになる。それを現実にするために、残り2日間の準備期間を最大限生かして、心身共にベストな状態を作り上げてほしい。

「サウジも素晴らしかったと思いますけど、イランはそれ以上。だからこそ全てを出し尽くさない限り、勝てない相手だと思う。どんな内容でも、内容で叩かれても勝てばいいと思うので、しっかり勝ちます」と堂々と勝利宣言した男の有言実行を期待したい。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

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