注目選手揃い!今冬の個人昇格10傑【J1リーグ2024】

2024年1月27日(土)18時0分 FOOTBALL TRIBE

写真:Getty Images

2023シーズン、当時J2の町田ゼルビアからJ1の鹿島アントラーズへ加入したMF佐野海舟は、開幕から出番を得て11月には日本代表としてのデビューも飾った。また、モンテディオ山形(J2)からガンバ大阪(J1)へ加入したDF半田陸も、途中怪我による離脱がありながら、出場した試合では右サイドで躍動。パリ五輪世代を代表するサイドバックも堂々のJ1デビューを果たしたシーズンとなった。


夏の移籍でも、藤枝MYFC(J2)から名古屋グランパス(J1)へ加入したMF久保藤次郎や、大宮アルディージャ(J2)からセレッソ大阪(J1)へ移籍したMF柴山昌也など途中加入ながら見せ場を作った選手も多くいる。近年注目されるいわゆる「個人昇格」の成功例が多く見られたシーズンだったと言えよう。


そして、今冬も多くの選手がJ2クラブからJ1クラブへ移籍を果たしている。ここでは、新たに個人昇格を果たした選手のなかから、2024シーズンの活躍が期待される選手たちを10名紹介していく。




北海道コンサドーレ札幌 写真:Getty Images

家泉怜依


いわきFCから北海道コンサドーレ札幌へ


日本フットボールリーグ(JFL)からJ3へと昇格を果たし、2022シーズンにJリーグ初参戦となったいわきFC。そんな記念すべき年に加入し、初年度から33試合と多くの出場機会を得て守備の要を務めたのがDF家泉怜依だ。昨2023シーズンも同クラブで39試合に出場。屈強なフィジカルを武器に、地上戦でも空中戦でも強さを見せた。


移籍先である北海道コンサドーレ札幌では、今冬守備陣の主力であったDF田中駿汰がセレッソ大阪へと移籍。加えてキッカーとしても活躍していたDF福森晃斗も横浜FCへ期限付き移籍しており、家泉の出場機会も必然的に多くなりそうだ。


持ち前の高さと強さがJ1でどこまで通用するのか、そしてミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもとでどんな成長を遂げるのか。札幌の新戦力の中でもトップクラスに楽しみな選手の1人であることは間違いない。




DF井上詩音(ヴァンフォーレ甲府所属時)写真:Getty Images

井上詩音


ヴァンフォーレ甲府から名古屋グランパスへ


2023シーズンは大卒ルーキーながら30試合と多くの出場機会を得て、ヴァンフォーレ甲府で守備の要を務めたDF井上詩音。リーグ戦だけでなく、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも出場し年間を通してのチームの守備を支えたが、名古屋グランパスへの移籍が決定。2024シーズンはJ1の舞台でその空中戦や1対1の強さがどこまで通用するのかが注目される。


今冬の移籍市場で積極的に補強に動いている名古屋だが、守備陣ではDF藤井陽也が海外移籍。さらに守備の中心であったDF中谷進之介がガンバ大阪へと移籍した。加えて、ベテランDF丸山祐市もチームを離れたことで手薄になった感は否めない。


そんなチーム状況への加入なだけに、井上に懸かる期待は相当大きなものとなるはずだ。名古屋を去った日本代表クラスの選手たちと比較されるシーズンとなるだろうが、チームとしてはもちろん井上個人としての躍進にも期待したい。




DF野田裕喜(ガンバ大阪所属時)写真:Getty Images

野田裕喜


モンテディオ山形から柏レイソルへ


2019年にモンテディオ山形へ期限付きで加入し、2022シーズンに完全移籍して以降は守備の中核として活躍したDF野田裕喜。2023シーズンも39試合とほぼ全ての試合に出場し、身体を張った守備や攻撃でもセットプレーのターゲットとしてチームの2年連続となるプレーオフ進出に貢献した。


そんな野田はこの冬の移籍で柏レイソルへの加入が決定。柏は、昨夏に浦和レッズからの期限付きで加入し守備陣を支えたDF犬飼智也を完全移籍で獲得。さらにDF古賀太陽やDF立田悠悟といった日本代表経験者も在籍しており、野田にとってポジション争いを制するのは簡単でないだろう。


一方、昨年の柏が課題とした攻撃の部分では、縦パスやフィード精度が高くチャンスの起点になれる存在としても期待できる。2023シーズンは残留争いにも巻き込まれる厳しいシーズンを過ごした柏。そんなチームにおいて攻守両面で起爆剤となれるか、野田の働きに注目だ。




MF小野雅史(大宮アルディージャ所属時)写真:Getty Images

小野雅史


モンテディオ山形から名古屋グランパスへ


2023シーズン、大宮アルディージャからモンテディオ山形へ加入したMF小野雅史。加入初年度から38試合とフル稼働に近い出場機会を得て、山形の2年連続となるプレーオフ進出に大きく貢献した。特に攻撃面では、精度の高い縦パスで多くのチャンスを演出。サイドバックとして、守備だけでなく攻撃でも大いに存在感を発揮したシーズンだったと言えよう。


それだけに、名古屋グランパスへの移籍は山形にとって大きな痛手と言える。移籍先である名古屋では、2023シーズン主に左サイドの主軸を務めたDF森下龍矢が海外移籍。小野がどのポジションで起用されるか現時点で明確ではないが、昨年の山形で同サイドを務めた小野が森下の後釜として期待されている可能性は高く注目すべき選手の1人と言えよう。


昨年A代表デビューも飾った森下と比較されるであろう環境下で、初のJ1へ挑む小野の活躍に期待したい。




DF三浦颯太(ヴァンフォーレ甲府所属時)写真:Getty Images

三浦颯太


ヴァンフォーレ甲府から川崎フロンターレへ


リーグ戦も終了し元日開催の日本代表戦を楽しみに待っていた昨年末、サッカーファンに驚きのニュースが飛び込んで来た。J2のヴァンフォーレ甲府に所属していた大卒ルーキーDF三浦颯太の代表入りが発表されたのだ。


結果的にこの冬、J1の川崎フロンターレへ移籍となったが、年間を通してJ2で戦ったルーキーの抜擢に驚いたファンも多かったことだろう。特別指定選手だった2022シーズンまでとは一転し、昨年は21試合と出場機会も大幅に増えた。


移籍先である川崎では、今冬長年チームを牽引してきたベテランのDF登里享平がセレッソ大阪へ移籍。チームにとって痛い流出であることは間違いないが、三浦にしてみれば大きなチャンスとも言える。2024シーズンを昨年以上の飛躍年にできるか注目だ。


アルビレックス新潟 写真:Getty Images

宮本英治


いわきFCからアルビレックス新潟へ


2023シーズンがJ2初挑戦となったいわきFC。残念ながら結果は18位と厳しいものだった。しかし、選手個々に目を向けるとその評価は高く、今冬複数の選手が個人昇格を果たし新シーズンはJ1で新たな挑戦をスタートさせることとなっている。


そのうちの1人、MF宮本英治は昨年のいわきでリーグ戦41試合に出場。ほぼフル稼働で3ゴール2アシストを挙げた。守備での貢献はもちろん、積極的な持ち運びやゴール前へ侵入する姿など攻守両面で躍動していただけにアルビレックス新潟へ移籍になったことは、いわきにとって残念な結果だろう。


移籍先の新潟では、中盤を支えたMF高宇洋が今冬FC東京へ移籍。中盤の要が抜けた穴をどう埋めるのか、新潟にとっては2024シーズンを戦う上で1つのカギとなるだろう。J1初挑戦となる宮本がその大役を果たせるのか。多くの試合でスタメンに名を連ねることを期待したい。




FW島村拓弥(ロアッソ熊本所属時)写真:Getty Images

島村拓弥


ロアッソ熊本から柏レイソルへ


2022年は、シーズン終了後に多くの主力選手がJ1へ個人昇格したロアッソ熊本。そんな状況の熊本へ移籍したMF島村拓弥は、加入初年度ながら2023シーズン36試合に出場。右サイドを主戦場に、高いキープ力と推進力を発揮し数多くのチャンスを演出した。島村にとっては、2018シーズンに所属していたFC岐阜以来となるJ2の舞台だったが、堂々たる活躍を果たしたと言えよう。


今冬、柏レイソルへの移籍が発表された島村。2023シーズンは17位と残留争いに巻き込まれた柏で、特に課題となったのが得点力であり、シーズンを通して33得点はJ2に降格した横浜FCに次いでリーグワースト2位。FW細谷真大やMFマテウス・サヴィオといった能力の高い選手もいる一方でゴール数は伸び悩んだ。


また、この冬は2023シーズン開幕前にJ2のモンテディオ山形より加入していたMF山田康太が、ガンバ大阪へと移籍した。チャンスメイクと選手層を確保するためにも、島村に対する期待は大きなものとなるだろう。24歳とここからさらに成長を期待できるだけに、巻き返しを狙う柏の新たな武器となれるか注目だ。




MF長谷川元希(ヴァンフォーレ甲府所属時)写真:Getty Images

長谷川元希


ヴァンフォーレ甲府からアルビレックス新潟へ


ヴァンフォーレ甲府は今冬、期限付きでチームに所属していた選手も含め昨年の主力選手の多くがチームを去った。なかでも2024シーズンに向けて大きな痛手となったのが、MF長谷川元希のアルビレックス新潟への移籍だろう。2023シーズン39試合とリーグ戦ほぼすべての試合に出場し、7ゴール6アシストと多くのゴールに絡みチームの中核を担っていただけに、流出による影響は計り知れない。


一方、移籍先である新潟では、昨夏MF伊藤涼太郎がベルギーのシント=トロイデンVVへ移籍。さらに今冬は伊藤の跡を継ぐように攻撃の要として躍動していたMF三戸舜介がオランダのスパルタ・ロッテルダムへ移籍した。


このことから、新潟は攻撃のかじ取り役として長谷川に大きな期待を寄せているに違いない。J2のみならずACLの舞台でも光った甲府のアタッカーが、初のJ1でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。




MF平川怜(ロアッソ熊本所属時)写真:Getty Images

平川怜


ロアッソ熊本からジュビロ磐田へ


2023シーズン開幕前、2022シーズンの躍進を支えたMF河原創やFW髙橋利樹ら主力の多くを個人昇格で失ったロアッソ熊本。下位に沈みながらもJ2残留を果たせたのは、MF平川怜がチームに残り活躍したことが大きかったと言えよう。


2022年8月にFC東京から加入した平川は、2023シーズン41試合に出場。7ゴール9アシストとチーム全体の3分の1近いゴールに直接絡み攻撃を牽引した。しかし、今冬は複数の噂が囁かれる中でジュビロ磐田への移籍が決定。熊本としては昨年に続き、主力選手の流出を味わうことになってしまった。


磐田からすれば昨年リーグ戦で直接対峙し、ゴールこそ与えなかったものの同カテゴリーで怖さも十分に味わった選手の1人。熊本にとって大きな痛手ではあるが、伸び盛りの23歳が久々のJ1でどのような活躍を見せてくれるのか、今冬個人昇格を果たした選手の中でも特に多くのJリーグファンが期待する選手であることは間違いない。




FW藤本一輝(大分トリニータ所属時)写真:Getty Images

藤本一輝


大分トリニータから町田ゼルビアへ


昨年9位でシーズンを終えた大分トリニータは、数こそ多くはないが複数の主力を手放すこととなった。DF上夷克典がJ1サガン鳥栖へ、MF高畑奎汰がJ1復帰を果たしたジュビロ磐田へそれぞれ移籍。そして、特に痛手となり得るのが町田ゼルビアへと移籍したFW藤本一輝の存在だろう。


藤本は2023シーズン、チームトップタイとなる6ゴールをマーク。そのほかにも、左サイドからの突破に背後への抜け出しと自身の魅力を存分に発揮していた。それだけに、大分としては大きな武器を失ったと言わざるを得ない。


町田は昨冬に続き、今冬も藤本のほかDF昌子源など即戦力を複数補強。初のJ1へ、選手層を厚くして挑むことができそうだ。前線にはFWエリキを筆頭に、昨年J2を湧かせた選手たちがずらりと並ぶ。藤本にとっては過酷なポジション争いが待っているだろうが、自身3年ぶりとなるJ1の舞台で成長ぶりを見せられるか注目だ。

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