【MLB】メジャー500登板視野、田澤純一が挑む米10年目の復活「もう一踏ん張りしたい」 

1月27日(土)8時28分 フルカウント

不調だった肩周り…体の変化に耳を傾け、取り入れた新トレ

 マーリンズ田澤純一投手は、今季メジャー10年目という節目のシーズンを迎える。2009年に海を越え、レッドソックスの一員としてプロ野球選手の第一歩を踏み出してから9年が過ぎた。傘下マイナー2Aからスタートしたキャリアでは、右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)からのリハビリ、2013年のワールドシリーズ優勝など「いい時も悪い時もあった」と振り返る。「そもそもこんなに長くできるとは思っていなかった」という右腕は、10年目のシーズンに向け、例年通り1月は沖縄での自主トレに励んだ。 

 2016年オフにフリーエージェント(FA)となり、マーリンズと2年契約を結んだ。移籍後1年目だった昨季は55試合に登板し、3勝5敗、防御率5.69という成績。途中、肋軟骨の炎症により戦列を離れることもあり、新チームに貢献しきれない不本意なシーズンを過ごした。 

 セットアッパーとしてレッドソックスのワールドシリーズ優勝に貢献した2013年。この年はキャリアハイの71試合に投げ、5勝4敗、防御率3.16、WHIP(1イニングあたりの被安打数+与四球数)1.200の数字を残し、翌2014年も同じく71試合で4勝3敗、防御率2.86、WHIP1.190を記録した。だが、2015年から肩周りに疲労や違和感を覚えることが増え、同時に自分が思い描くパフォーマンスを発揮しきれなくなってしまった。2015年から2016年は、ちょうど29歳から30歳に移行する年だった。「年齢」の一言で片付けるのは乱暴すぎるが、少しずつ現れる体の変化に耳を傾ける必要が生じたことは確かだろう。 

「ここ何年かは肩周りの故障が多かった。去年はシーズンが終わってからケアに重点を置いて、12月あたりからトレーニングに移行し始めました。今まで僕はどちらかというとアメリカ的なトレーニングで、重いウエイトを持つ筋トレを重視していたんですけど、それだと肩周りがうまく動かなくなってきた。少し違うものも取り入れてみようと思って、筑波大学の方々のアドバイスを受けながら、自重を利用したり、使う筋肉を意識したトレーニングを始めました」 

目から鱗が落ちる思い、「改めてトレーニング方法を見つめ直すいい機会だった」

 シーズン中もケアやトレーニングをサポートしてくれている舩津貢トレーナー、井脇毅トレーナーの紹介で訪れた筑波大学では、これまで肩周りの筋肉が“代償運動”を行っていた可能性を指摘されたという。代償運動とは、本来使うべき筋肉を使って動作をするのではなく、隣り合ったり拮抗したりする別の筋肉を使って動作を行うことを指す。つまり、本来使うべき筋肉をしっかり使えるようになれば、よりスムーズで体に負担の少ない自然な動きができるというわけだ。筋肉の使い方により高い意識を置いたトレーニングは、まず自重をコントロールすることから始まった。「ただ重たい物(ウエイト)を持つのは好きだったんで(笑)」と話す右腕は、このアプローチに目から鱗が落ちる思いがしたようだ。 

「重たいウエイトを上げる以前に、自重(自分自身の重さ)をしっかりコントロールできていないことを指摘されました。自分なりに頑張っているつもりだったんですけど、考えてみれば確かにただウエイトを持ち上げているだけという感じのところもあった。その時点で、鍛えなければいけない筋肉ではなくて、違う筋肉を使ってウエイトを持ち上げていた部分があったみたいです。このオフは、まずは自重をコントロールするトレーニングから始めて、1月に入ってから徐々にウエイトを持ち上げるようになりました。 

 オフに病院で肩の状態をチェックしてもらった時、怪我として対処するべきか、トレーニングで補えるのかを診断してもらったんですけど、トレーニングで補えるという結果をいただいた。年を取ったこともありますし(笑)、改めてトレーニング方法を見つめ直すいい機会だったのかな、と。筋肉の使い方や作用を教えていただくことも面白いですし、使うべき筋肉をもう少しスムーズに使えたら、怪我なく1年過ごせるのかなとも思います」 

米で迎える10年目「今年は勝負の年。自分を変えるいい機会」

 骨格や筋肉の作用など体の仕組みに興味を持ち、トレーナーらのアドバイスを受けながら投球動作やトレーニングに対するアプローチや意識を変えたことで、37歳の時にキャリア最速159キロを記録した人物がいる。田澤が敬愛する大先輩、斎藤隆氏だ。そして、沖縄で一緒に自主トレに励むNPB通算500試合登板を達成した楽天・青山浩二投手の存在にも刺激を受ける。 

「隆さんは35歳でメジャーに移籍して、そこからまた一段階上がった方。ああいうケースは稀だとは思うんですけど、僕もその1人になれたらいいなと思って、もう一踏ん張りしたいですね。 

 青山さんの500試合登板は、本当にすごいと思うんですよね。僕は今、357試合登板だから、あと150くらい。到達するまで、まだ2年ちょっとは掛かると思う。そうやって実績を積み重ねた方と一緒に練習をできるのは幸せですね。僕より全然体が強いですし、バリバリ動いている姿を見ると刺激になります」 

 トレーニング方法には変化をつけたが、田澤の野球に対するアプローチは変わることはない。 

「基本的には1日1日をどう過ごしていくか。今はキャンプに向けてどうやって体を作っていくか。そういうことの積み重ねだと思っている。長期的に『こうなれたらいいな』っていうイメージはありますけど、1日1日の積み重ねで少しでも長く野球ができればいいなと。 

 このオフから始めたトレーニングも、すぐに効果が出るわけではないと思います。これもまた積み重ねが大事。少しでも長い野球人生を送るためにも、今年は勝負の年。自分を変えるいい機会だと思って、新たな取り組みを信じつつ、1日1日を積み重ねていこうと思います」 

 新オーナーを迎え、再建真っ只中のチームだが、外野の声は気にせずに「自分のやるべき仕事に集中して、そういったチーム環境の中でも、自分の役割が確立できればいい」と話す右腕。10年目の節目に再びマウンド上で思い切りのいいピッチングを見せつけたい。 (佐藤直子 / Naoko Sato)

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