広岡達朗氏(86)「原巨人は信念のないコーチばかりの布陣」

1月28日(月)16時0分 NEWSポストセブン

5年ぶりのリーグ制覇を目指す(時事通信フォト)

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 5年ぶりのリーグ制覇を目指す巨人は、原辰徳新監督(60)を迎え、50億円規模の大型補強を敢行した。同時に、コーチ陣の顔ぶれも大きく変わった。その“起用法”を、球界のご意見番にして、ヤクルトと西武を率いて日本一3度の名将・広岡達朗氏(86)が、厳しく叱責する──。


 * * *

 かつて、王貞治の育成を任された荒川博コーチは、川上哲治監督が王に声をかけようとした時でさえ、“打撃コーチは私です。口出しをしないでください”と追い返したものです。それくらい、コーチは1人の選手の育成に命を懸けていた。


 それに応えるように、選手も命懸けでひとつのポジションを取ろうと努力、研究するんです。そんな巨人の育成の伝統は、残念ながらもう消えてしまったのかもしれません。


──1月18日、巨人は5コーチの「役職追加」を発表した。一軍打撃コーチの後藤孝志(49)が外野守備コーチを兼任し、金城龍彦(42)、村田修一(38)、堂上剛裕(33)、秦真司(56)の各ファームコーチも、打撃と守備のコーチを兼任する。


 もともと、元木大介(47)も一軍の打撃と内野守備の兼任コーチなんだろう? どのコーチがどの選手にどんな指導をするのか。どうやって境界線を決めているのか聞きたいね。これじゃあ無責任すぎますよ。


 本来、コーチが1人の選手を教えている時に、横から別のコーチがアドバイスをしてはダメ。選手のことを考えるなら、あちこちから指示が出るなんてあってはいけないんです。気がついたことを誰でも指導できるのは合理的に見えるかもしれないが、選手が混乱するだけ。特に最近の若い世代はみんな素直だから、一度迷うとスランプから脱け出せませんよ。



◆信念のない布陣


──原巨人では、元木コーチとともに“新入閣”した宮本和知投手総合コーチ(54)も、プロ野球での指導経験がない。ファームに目を向けても、杉内俊哉投手コーチ(38)や村田氏は昨シーズン限りで引退したばかり。金城氏や堂上氏などの“兼任組”も、コーチとしての経験値は少ない。


 コーチという仕事も“技術”が必要です。ノックだけなら誰でもできます。でも、足さばきや捕球姿勢、守備範囲はどこまでかを把握するなど、見るべきポイントがある。こうしろ、ああしろというだけでなく、“君は素晴らしい素質と才能をもっているけど、俺のアドバイスを聞けばもっと上に行けるぞ”と言ってやる気を出させる。それがコーチの役目です。残念ながら、今の巨人にそういうコーチは見当たらない。兼任で1つの仕事に集中できない環境では、コーチとしての成長も望めません。


 コーチを育てるのは監督の仕事だが、原監督1人で、これだけの人数の面倒を見るのは難しいでしょう。むしろこの顔ぶれを見ると、原監督の意のままに動くコーチばかり集めただけじゃないか。自分が何を言っても許される、信念のないコーチばかりの布陣にしているように見えてならない。


 私がヤクルトや西武で監督をしていた時は、コーチ陣が自分の意見をしっかり口にし、時にはケンカするくらいの勢いでした。それを監督がまとめる。プロの集団とは、そういうものでしょう。



 昨年の監督就任時、「永久に監督ができるわけではないのだから、いいコーチ、後継者を育てたほうがいい」と電話した。原監督は「わかりました」と言っていたのだが……。


 こんなコーチ陣だと、原監督が退任した後には何も残りませんよ。


※週刊ポスト2019年2月8日号

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