日本代表はなぜイランに完勝できたのか? 「粘り強さ」の正体と「非・自分たちのサッカー」

1月29日(火)9時0分 フットボールチャンネル

イランに凡ミスが生まれた理由

AFCアジアカップ2019準決勝は日本がイランに3-0と勝利。下馬評では日本不利の予想が多かったが、なぜ完勝できたのか。そこには森保ジャパンの「強さ」を紐解く必要がある。(取材・文:植田路生【UAE】)

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 アジアカップ期間中、イラン代表には「最強」という枕ことばがついて回った。過去4年間での敗戦はロシアワールドカップでのスペイン戦のみ。大会期間中もグループステージから準決勝に至るまで圧倒的な強さを見せていた。

 準決勝の日本戦も下馬評ではイラン有利だった。日本は今大会苦戦続きで、チームの完成度としても約8年間カルロス・ケイロス監督が指揮をとるイランと比べても分が悪かった。私も厳しい戦いになると予想していた。ところが、結果は3-0。完勝と言っていい内容だった。

 日本はなぜイランに完勝できたのか。いくつか理由は考えられるが、森保ジャパンのサッカーを紐解く必要がある。

 森保ジャパンは、こういうサッカーをすると表現するのが難しい。試合によって戦い方を変えるからだ。まず相手を分析し、得意なことをさせないことを優先する。イラン戦でもそれは顕著に出ていた。

 森保一監督は試合後に「イランに対して敬意を払う。相手を知った上で持てる力をすべて発揮しようと」と語っている。

 イランはFWアズムンめがけてどんどんロングボールを入れてきた。これはイランの得点パターンの1つであり、実際、ベスト8の中国戦ではそこからゴールを決めている。だが、日本はそこにしっかりと対応。冨安健洋と吉田麻也は競り負けず、イランのチャンスを封じていった。

 ここまで止められるとは思ってなかったのだろう。イランはその攻撃パターンに固執し、次第にイライラを募らせていく。そしてあり得ない凡ミスが生まれる。日本の先制点のシーンだ。

 大迫勇也からのパスを受けた南野拓実が抜け出すも相手DFに倒された。イランDFは「ファウルではない」と5人もの選手が主審に抗議。しかし、笛は鳴っていなかった。プレーを続けた南野がクロスを上げ、大迫のヘッドが決まった。イランの自滅だった。

森保ジャパンの「粘り強さ」とは何か

 森保監督の口癖の1つに「粘り強く」という言葉がある。粘り強く戦うことはサッカーにおいては当たり前のことだ。記者会見では慎重に言葉を選ぶ森保監督だけに、当たり障りのないワードの1つとして言っているとさえ思えた。

 だが、まさにイラン戦は森保ジャパンの真骨頂である「粘り強さ」が出た試合だった。イランの激しい攻撃を集中力を切らすことなく跳ね返し、ラフなプレーにも平静さを保った。先制点につながった南野のプレーもその1つだ。笛が鳴るまで諦めずにプレーするのは選手として基本のことだが、実際はそう簡単ではない。

 そうやって相手が苦しむようなサッカーを続けるのはこのチームの特徴でもある。ベスト16のサウジアラビア戦は相手の攻撃パターンを熟知し、相手を完封。ベスト8のベトナム戦も、苦戦しているように見えたが、後半45分は何もさせなかった。

 森保ジャパンの強さは「自分たちのサッカー」を持たないことだ。パターンがない分、相手は分析がしにくい。どんなタイプのチームにも対応してくるため、敵にするとかなりやりにくい。

 イランは「自分たちのサッカー」にこだわった。通用しないロングボールを続け、それ以外の攻撃パターンは貧相なものだった。前線からのプレッシングは前半は効果的だったものの、日本に読まれると徐々に瓦解し、しまいには集中力が切れた。

 森保ジャパンには派手なプレーは少なく、かつて本田圭佑が見せていたような飛び道具のFKがあるわけではない。だが、崩れにくく、相手を罠にはめ、90分間戦い続ける。これこそがまさに「強いチーム」と言えるのではないだろうか。

(取材・文:植田路生【UAE】)

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