大打者ボンズによる大谷翔平の「打者専任案」に異論 中継ぎ転向プランも“軽率”と言える現役投手の声
2025年1月30日(木)11時28分 ココカラネクスト

ボンズ氏が大谷に向けて送ったアイデアは興味深いものとなった。(C)Getty Images
球史に残る金字塔を打ち立ててきたレジェンドの大谷翔平に対する“指摘”が話題となった。
声の主はバリー・ボンズ氏。メジャー歴代最多762本塁打や年間73本塁打(2001年)、通算四球数2558といった衝撃的な記録を残してきた往年の名打者だ。
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全米野球記者協会(BBWAA)ニューヨーク支部による「アワードディナー」が催された現地時間1月25日に米野球専門ポッドキャスト番組『Foul Territory』に、ゲスト出演したボンズ氏は、“唯一無二”とされる二刀流を貫く大谷について「彼は凄いよ。あまり見れているわけではないが、本当に才能がある選手だ」と言及。その上で今季中の復活が見込まれている投手としての活躍に懐疑的な持論を展開したのである。
「私は彼がDHに専念して、自分のより得意なことに集中すべきだと思う。素晴らしい選手だが、投げることは彼を疲れさせるだけだ。それに今、DHとして彼がやっていること、そしてチームにもたらしているものは、すでに十分すぎるほど素晴らしい。そこまでうまくいっているものを、なぜ変える必要があるんだ? 彼は素晴らしいスライダーやスプリットも持っているから、1イニングか2イニングに限定したリリーフとして入ってくるのがいいと思う。そういう形で(投手として)維持すればいい」
ボンズ氏は大谷の才覚を軽んじているわけではない。史上初のシーズン50-50もやってのけた打棒が図抜けているがゆえに、「投手」という身体的リスクの大きいプレーを取るべきではないのではないか、という指摘である。
もっとも、「投手・大谷」の継続、あるいは負担に対する疑念は、球界内で度々浮上してきた問題ではある。そして、メジャーリーグにおいて肘に2度目の手術を執行した投手が術前と同レベルにまで回復した割合が65.5%であることなどから、復帰には慎重になるべきだと言う意見もないわけではない。
しかし、ボンズ氏が何気なく言ったであろうリリーバーも決して楽な仕事ではない。実際に中継ぎとしてメジャーリーグを生き抜いてきた投手からは反対の声が挙げられている。大谷が2度目の手術を実施して間もない23年11月にメッツのベテラン右腕であるアダム・オッタビーノは、リリーフ転向を勧める世間の風潮をくさすように、そして大谷を慮るように持論を展開した。
「もちろん、全てをオオタニが主導していくことが重要になるとは思う。ただ、彼は投げるために必要な回復の時間や準備がどれだけ重要なのかを理解しているはずだ。打者として出ることを考えても、先発であれば、比較的に自由が利くんだ。一方でブルペンに回れば、不確定要素が増える。より予測不可能だと言える」
こうした現役投手の言葉を訊けば、「中継ぎ転向」というアイデアは、いささか軽率なように思えてならない。
無論、世間の喧騒がどれだけ強まろうとも、おそらく大谷は「二刀流」を先発投手として継続する。昨年11月に左肩手術を受けた影響で復帰時期に遅れは生じているが、本人もなるべく早いタイミングでの登板に意欲的ではある。
これまで幾度も不可能を可能にしてきた。だからこそ、大谷にはボンズ氏の「DHに専念すべき」という異論を覆してもらいたいところである。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]