オールラウンダーのヒュンダイi20クーペWRC。第1戦モンテカルロは“タマ”を残して勝利/2020WRカーテクニカルチェック

1月31日(金)12時20分 AUTOSPORT web

 2013年にWRC世界ラリー選手権に復帰を果たしたヒュンダイはシーズンを重ねるごとに着実なポテンシャルアップを遂げ、ついに2019年、マニュファクチャラーズタイトルを獲得した。


 2020年は2019年ドライバーズチャンピオンのオット・タナクの獲得にも成功し、ティエリー・ヌービルとのダブルエース体制を敷く。


 さらに、9年連続世界王者(通算79勝)のレジェンドであるセバスチャン・ローブと、ターマック職人のダニ・ソルドも擁し、ドライバーズ&マニュファクチャラーズのダブルタイトル獲得に向けて、死角を潰してきているという印象だ。


 そして、そのコミットメントはi20クーペWRCの進化にも表れている。


 チーム代表のアンドレア・アダモは2020年仕様のアップデートについて、「テクニカルについての質問は答えたくない」と明言を避けていたが、関係者の話を総合すると、2020年シーズンに向けて新規ホモロゲーションを取得済みだ。


 その最大のポイントとなるのがエンジン。詳細は不明ながら、さらなるパフォーマンスアップが図られている。排気系も見直され、昨年まで右側にマウントされていたエキゾーストはセンター出しに変更された。


 ただ、プレイベントテストの結果、外気温の低いモンテカルロでは従来型ユニットで充分に戦えると判断したのか、今回に関してはあえて新型エンジンおよびセンター出しのエキゾーストを採用することなく、2019年型のユニットを持ち込んでいた。


 2020年仕様の改良型エンジンとエキゾーストシステムの投入は第3戦のメキシコ以降となりそうだ。


 足まわりおよび駆動系は、ダンパーやディファレンシャルのセットアップの煮詰めがメイン。


 ドライバー側からのコメントは良好で、「モンテカルロの時点ではディフューザーしかアップデートされていないが、細部を熟成させたことで、従来よりも自信を持ってドライビングできるようになっている。バランス性能に優れているから、どんなシチュエーションでもコントロールしやすい」(ヌービル)、「多くの距離を走っていないので学ぶことは多いが、強力なパッケージになっている」(タナク)とマシンパフォーマンスへの不安はなさそう。


 実際、ヌービルが昨年勝ったラリーは、ターマック(舗装路)のコルシカ、グラベル(未舗装)のアルゼンチン、それらがミックスされたスペインとサーフェスに偏りがない。


 このことからも、i20クーペWRCは各領域でハイレベルに仕上がっているオールラウンダーと言えそうだ。シーズン前半のどこかでエンジンのアップデートおよび新エキゾーストシステムの投入がなされることは間違いなく、それはすなわちパフォーマンスアップの“タマ”を残しているということでもある。


 そのフェーズに入る前のモンテカルロでヌービルが優勝。タナクはクラッシュでリタイアとなったが、それまではトップを争っていた。2020年も最後の最後までトヨタとのチャンピオン争いが繰り広げられることは間違いなさそうだ。

信頼性とパフォーマンスのアップが図られた2020年型のエンジン。しかし、開幕戦は従来型のスペックで戦った。
信頼性とパフォーマンスのアップが図られた2020年型のエンジン。しかし、開幕戦は従来型のスペックで戦った。


ダンパーはPKM製、ブレーキはブレンボ製を使用する。トヨタやMスポーツ・フォードに比べると、フロントダンパーは起き気味。路面追従性を重視しているようだ。
ダンパーはPKM製、ブレーキはブレンボ製を使用する。トヨタやMスポーツ・フォードに比べると、フロントダンパーは起き気味。路面追従性を重視しているようだ。

排気系のレイアウト変更もエンジンのアップデートの一部と言えるだろう。開幕戦では従来どおり、エキゾーストは右出しだった。
排気系のレイアウト変更もエンジンのアップデートの一部と言えるだろう。開幕戦では従来どおり、エキゾーストは右出しだった。

2020年仕様ではリヤのディフューザーを一新したが、ローブによると、「マシンのフィーリングは2019年仕様とあまり変わっていない」らしい。
2020年仕様ではリヤのディフューザーを一新したが、ローブによると、「マシンのフィーリングは2019年仕様とあまり変わっていない」らしい。

2019年にリヤウイングの形状を一新。同時期にサイドミラーステーの形状を変更するなど、段階的にエクステリアの改良を実施してきている。
2019年にリヤウイングの形状を一新。同時期にサイドミラーステーの形状を変更するなど、段階的にエクステリアの改良を実施してきている。

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