「サネッティを見てきた」。長友佑都が年齢で言い訳しない理由。アジアカップ決勝も通過点に

1月31日(木)11時50分 フットボールチャンネル

悲壮な覚悟を持って戦い抜いてきた長友佑都

日本代表は2月1日、AFCアジアカップ2019決勝でカタール代表と対戦する。2大会ぶり5度目のアジア制覇に王手をかけた森保ジャパンにあって、長友佑都は主力として稼動している。ベテランと呼ばれる32歳になったが、年齢は関係ない。偉大な先輩の姿を間近で見てきた長友は、そう考えている。(取材・文:元川悦子【UAE】)

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「このアジアカップで個人的に活躍できなかったら日本代表に呼ばれないだろうと思ってます。それは世間一般の考える年齢の部分。僕自身は『そんなの関係ねえ』って思うけど、実際には関係ある部分。いいパフォーマンスをチームで出せなければ、もう代表には呼ばれないって覚悟で僕は臨んでます」

 長友佑都(ガラタサライ)が悲壮な覚悟を持って戦い抜いてきた2019年アジアカップ(UAE)で、ご存知の通り、日本は2大会ぶり5度目の優勝に王手をかけた。自身2度目となるアジア制覇まであと一歩。だが、その一歩がどれだけは難しいものかを、彼は8年前の経験から熟知しているはずだ。

 2011年カタール大会を今一度、振り返って見ると、日本は準決勝・韓国戦(ドーハ)で延長・PKの死闘を制してファイナルへ進んだ。この試合でエースナンバー10をつけていた香川真司(ドルトムント)が右足第5中足骨を骨折。離脱を余儀なくされるアクシデントに見舞われた。

 決勝では藤本淳吾(G大阪)が2列目で先発。途中から岩政大樹(解説者)が入って相手のハイボール攻撃を跳ね返し続け、延長後半に李忠成(横浜FM)が値千金の決勝弾をゲット。一進一退の攻防の末、総力戦でタイトルをつかむことに成功した。

 今回も8年前同様に準決勝で遠藤航(シントトロイデン)という主力のケガ人が出ていて、戦力的に厳しいのは確かだ。

「中東マスター」の塩谷司(アルアイン)はカタールのクラブとの試合経験もあって心強い存在だが、いかんせん柴崎岳(ヘタフェ)とのプレー経験が少ない。ボランチが機能しなければ、攻守両面で穴が生まれる可能性もあるだけに、細心の注意を払う必要がある。8年前の日本が香川離脱を糧にしたように、今回は遠藤という重要なプレーヤーのケガをより一層のチーム結束の起爆剤にすること。それが非常に重要なのだ。

決勝は気力の勝負

 青山敏弘(広島)の離脱で、東口順昭(G大阪)とともにチーム最年長となった長友は、闘争心と集中力をもたらす役割を真っ先に遂行していく立場にいる。今大会通して堂安律(フローニンゲン)と冨安健洋(シントトロイデン)の20歳コンビにピッチ内外で帝王学を伝授し続けてきたが、今回はチーム全体に8年前のタフな戦いの経験と歴史を伝えることが強く求められている。

「8年前も韓国と延長を戦って、(決勝は)ホントに気力だけで戦っていましたね。ホントに気力だったなっていう印象が残っています。カタールも日本も間違いなく疲労は溜まっているし、その中で最後に踏ん張れるのはホントに気持ちの部分。気力で勝てるかどうかだと思います」と百戦錬磨の左サイドバックは神妙な面持ちでコメント。そのメンタリティの重要性を自ら率先して示していくつもりだ。

 一方で、左サイドバックとしても確固たる仕事を果さなければならない。彼の対面にはカタールのキャプテンマークをつけるハサン・アルハイドス(アル・サッド)というタテへの推進力の高いアタッカーが陣取る。

 ただ、アルハイドスはもう1枚のサイドであるアクラム・アフィフ(アル・サッド)と柔軟にポジションを入れ替えながらゴールを狙ってくる。アフィフの方も相当にスピードがあり、29日のUAE戦(アブダビ)で3アシストという華々しい活躍を見せるなど要注意人物なのは間違いない。

 彼らと最前線に陣取る今大会8ゴールの点取り屋、アルモエズ・アリ(アル・ドゥハイル)の推進力はまさに脅威。長友も「アリはホントに速い。チーターみたい。しなやかな体で走れるし、シュートもうまい」と警戒心を露わにしていた。その速さ封じが日本勝利への重要ポイントになることを彼らは今一度、肝に銘じるべきだ。

「35歳を超えてキャリアのピークを迎えた選手を間近で見てきた」

 次のファイナルは長友にとって116試合目の国際Aマッチ。川口能活、岡崎慎司(レスター)に並ぶ歴代3位に躍り出る記念すべき一戦なのだ。その先には122試合の井原正巳(柏コーチ)、152試合の遠藤保仁(G大阪)がいるが、仮に長友が2022年カタールワールドカップまで代表に生き残るならば、遠藤保仁の領域に到達する可能性もゼロではない。この一戦は自身の代表キャリアの行く末を左右しかねない重要な節目になるのだ。

「35歳を超えてキャリアのピークを迎えた選手を僕は間近で見てきた。(ハビエル・)サネッティなんか35とか36歳でチャンピオンズリーグ優勝して、38歳でアルゼンチン代表としてワールドカップに出ていた。そういう選手がいるってことは、同じ人間なんでできないことはない。僕もまだまだこれからだと思います」と野心をみなぎらせる男は、飽くなき向上心で日本歴代最多キャップ数を目指し続けていくに違いない。

 その布石を打つ意味でも、自身3度目のアジアカップは絶対に優勝で終わらなければならない。その意味を誰よりもよく分かっているのは、もちろん長友本人である。

「イラン戦のように次もハイエナ戦法ですよ。こぼれ球をどんどん狙って、拾いに行く。それはイランの選手もホントに嫌がっていた。『あいつら、まだ走るのか』と。抜いたとしても、はがしたとしてもまた追いかけてくるという。そういうサッカーなら間違いなく勝てますよ」

 カタール戦の戦い方を具体的に提示した背番号5は、ピッチ上でそれを真っ先に実践してくれるはず。苦しい時間帯でもブレることなく走り続ける姿に、森保一監督とチームメートが励まされる場面も少なくないだろう。この男が輝いてこそ、日本が8年がかりで追い求めてきたアジア王者の座に返り咲ける。長友佑都にはベテランらしいけん引力と経験値を、来るべき大舞台で遺憾なく発揮してほしいものだ。

(取材・文:元川悦子【UAE】)

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