臥薪嘗胆。樋口新葉は五輪出場とメダルまでの距離を計算している

2月1日(月)6時25分 Sportiva


愛知国体成年女子SPを滑る樋口新葉
 愛知国体・フィギュアスケート成年女子。樋口新葉(20歳、ノエビア)は総合184.41点で5位に甘んじている。その実力とキャリアを考えれば、満足できる成績ではない。ショートプログラム(SP)は4位、フリースケーティングは7位だった。
「全然、よくなかったですね」
【写真】全日本選手権の樋口新葉
大会後、東京代表の樋口は淡々とした口調で言ってから、毅然としてこう続けた。
「(シーズンを通して)すごく悔しい1年ではありましたけど、ここから次の1年にどうつなげられるか。それを考えられるようになってよかったというか。複雑ではありますけど、来シーズンにつながる1年になったので、その点では、いい1年だったなと」
 本人にしかわからない感覚とビジョンがあるだろう。どこにスケーティングのベストをもっていくのか。2021ー22シーズンは、北京五輪出場を懸けた戦いになるのだ。
「絶対、(2022年2月に予定される北京)オリンピックに行きたい」
 樋口は大会後のオンライン会見で言って、声に力を込めた。見据えた先は明らか。今はあくまで、そのプロセスを過ごしているということかーー。


フリー演技の樋口。7位と実力を出し切れなかった
 愛知国体において、樋口は昨年11月のNHK杯で成功(*4分の1回転不足)した大技トリプルアクセルをあえて跳んでいない。
 それよりも、後半に基礎点が1.1倍になるところで、「3回転ルッツ、3回転ループを狙う」という実験的な内容を組んでいる。結局、どちらも結果は出なかった。しかし、練習を積んできたサルコウは出来栄え点(GOE)を獲得する形で降りて、自信を持って跳べる手応えをつかんだという。
 国体は東京代表として勝負を挑みながら、現状の自分への課題も持って、本来の力を推し量るように挑んだ大会だったと言えるかもしれない。
 例えば、SPのフリップは「上がり過ぎたので、調整が必要」と説明。アクセルだけではなく、他のジャンプもディテールまで改善し、自分の最高点を引き出す構成を探し求めているようだった。言わば、試行錯誤というのか。
「今シーズンは、トリプルアクセルの苦戦も(伝えられるが)想定内で、自分が思っていたよりはよかったと思います」
 樋口は、自らを俯瞰するように泰然として言った。昨年12月の全日本では、期待されたアクセルがSPも、フリーも不発で7位に終わっている。
「アクセルはいい感触がつかめてきたんですが、他のジャンプが細かいところでミスが出てしまい、点数がなくなるところもあって。アクセルに偏りすぎていたかなとも思います。だから、これからはできることをたくさんやって、それを完璧にしていきたいと思います。コンビネーションも練習して、プログラムにアクセルを2本入れて。それは成功率とか言っている場合ではなくて、もう安定して跳ぶことができるように」

 あくまで皮算用だが、2本のトリプルアクセルを入れられた場合、世界の有力選手にも近づける武器となる。彼女の照準は、五輪に出るだけではない。檜舞台で、メダルを取るまでをイメージしているのだ。
 五輪イヤーは独特で、世界はどのようにでも転がる。
 前回の2018年平昌五輪、樋口は大会前に2年連続で全日本選手権2位の好成績を収めるなど選考が有力視されていた。しかし、五輪イヤーに台頭して全日本2位になった坂本花織に逆転される形で、惜しくも出場を逃している。臥薪嘗胆。五輪が迫った1年の重みを、誰よりも知っている選手と言えるだろう。
「(五輪イヤーのオフは)まずは2年ぶりにプログラムを変えることになるので、どういう曲がいいのか、というところから、構成を何パターンも試したいと思っています。そこで一番を見つけ出し、仕上げていきたい。他の人の演技や自分の演技を研究して、強みに変わるようなプログラムにできるように」
 そう語る樋口に、不安の色は見えなかった。はたして、力を最大限に引き出す、最高のプログラムに巡り会えるのか。
「今年は大事な1年になると思うので、プログラム作りを含めていつも以上に敏感になって。攻める気持ちでやっていきたいです。五輪に出たい、メダルを取りたい、というのは目標ですが、そのためにはまず、全日本でトップに立つような演技が必要で。今の自分はそこにはいない。できることを完璧にやりながら、ダントツで勝てるような自信を持って試合に臨めるように」
 1年をかけた樋口の"計"は、すでに始まっている。


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