バサースト12時間:クラッシュ続出、赤旗終了のレースをアウディ・チームWRTが制す

2018年2月4日(日)18時30分 AUTOSPORT web

 鈴鹿10時間耐久レースをシリーズに組み込む2018年IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジの開幕戦、『リキモリ・バサースト12時間レース』がオーストラリアのマウント・パノラマ・サーキットで行われ、アウディスポーツ・チームWRTの37号車アウディR8 LMS(ロビン・フラインス/スチュワート・レオナルド/ドリス・バンスール組)が総合優勝を飾った。


 夜明け前の暗闇のなか迎えた決勝レースは、フォーメーションラップの開始と同時にタイムカウントがスタート。全50台のマシンがヘッドライトの灯りを頼りにコースを1周した後、3時52分にこのレース最初のグリーンフラッグが振り下ろされ12時間にわたる戦いの火蓋が切って落とされた。
 
 前日に行われた予選でポールポジションを獲得したBMWチーム・シュニッツァーの43号車BMW M6 GT3はスタート直後に導入されたセーフティカーランの解除後、3番手グリッドから総合2番手に順位を上げてきたアウディスポーツ・チームMPCの74号車アウディR8 LMSに対するギャップを1周ごとに広げていき、スタートから40分経過時にはその差を20秒以上とした。
 
 その後方ではブイク・モーターワークスの777号車ランボルギーニ・ガイヤルドGT3 R-EXが予選4番手から表彰台圏内の総合3番手に浮上していたが、1回目のルーティンを迎える直前に他クラスのマシンと接触。左リヤの足回りを壊し戦線を離脱している。
 
 快調にレースを進める43号車BMWだったがスタートから3時間40分過ぎ、セーフティーカー(SC)ランからリスタートする際のウェービングによって隊列を乱したとしてドライブスルーペナルティを受け総合10番手に後退してしまう。
 
 また、4時間経過時にトップに立ったベントレー・チームM-スポーツの17号車ベントレー・コンチネンタルGT3も直前のリスタート時に規定の地点より手前から加速したとして同様のペナルティを受けた。
 
 その後、レースはスタートから上位につける74号車アウディを先頭に、後方グリッドから徐々に順位を上げてきたクラフトバンブー・レーシングの991号車ポルシェ911 GT3 R、アウディスポーツ・チームMPCの22号車アウディR8 LMSがトップ3を形成していく。
 
 5時間経過時点でトップ2台の差は1秒以内となり接近戦の様相を呈すが、バトル開始からまもなく、この日8回目のSCが導入されたことで各車のポジションがシャッフルされた。

37号車アウディをドライブし総合優勝を飾ったクリストファー・ハーゼ(左)、スチュワート・レオナルド(中央)、クリストファー・ミース(右)
総合2位を獲得した75号車メルセデスAMG GT3
総合3位/プロ・アマクラス優勝を達成したブラック・スワン・レーシングの540号車ポルシェ911 GT3 R


■大クラッシュの影響でレースは赤旗終了に


 8時間を迎えるまでに12回のSC導入を数えるなど、アクシデント多発のレースは終盤を迎えても各所でスピンやクラッシュ、マシントラブルなどでコース上にストップするマシンが続出。
 
 スタートから9時間30分直前に総合3番手を争う17号車ベントレー、43号車BMW、マンタイ・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rの3台に他クラスのポルシェ911カップカーが絡む多重クラッシュが発生したほか、10時間20分過ぎには総合首位を走る74号車アウディが駆動系トラブルによってコース上でストップ、リタイアを喫している。
 
 そんななか迎えたレース終盤、3番手争いのなかで起きたアクシデントをすんでのところで交わし総合5番手につけていた911号車ポルシェが、上位陣とピットインのタイミングをずらし総合首位に浮上する。
 
 残り1時間30分でトップに立ったマンタイ・レーシングはその後、チェッカーまで残り50分を切ったところで最後のピットインを行い、見た目上6位、実質のトップとしてレースに復帰した。
 
 ところが、レースは思いがけない結末を迎える。レース残り25分を切り、見た目上の首位を走る37号車アウディ以下、トップ4につけるマシンがまもなく最後の給油タイミングを迎えるとみられていたその時、ターン9で3台のマシンが絡む多重クラッシュが発生。これにより今レース15回目のSCが導入された。
 
 この時点で37号車アウディの燃料が最後まで持つのか予断を許さない状況だったが、3台中2台のマシンが激しい衝突を起こしたことからドライバーの救出作業ならびにコースの復旧に時間を要すと判断されレースは赤旗中断に。
 
 そして、この赤旗はスタートから11時間56分後に解除されない旨が伝えられ、アクシデント直前に記録された順位が最終結果となることが確定。この結果、アウディ・ワークスドライバー3名を擁した37号車アウディが2018年IGTC開幕戦のウイナーとなった。
 
 総合2位はメルセデスAMGチーム・サンエナジー1・レーシングの75号車メルセデスAMG GT3、同3位にはプロ・アマクラスのブラック・スワン・レーシング、540号車ポルシェ911 GT3 Rが入り表彰台をドイツメーカー3社が分け合うこととなった。なお、巧みなレース運びで勝利を目前まで引き寄せていた911号車ポルシェは、991号車ポルシェ911 GT3 Rに次ぐ総合6位/クラス4位に入っている。
 
 この他のクラスは、レース最終盤の大クラッシュに巻き込まれたアウディスポーツ・カスタマーレーシングの69号車アウディR8 LMSがアマクラスのウイナーとなったほか、ポルシェ911カップカーなどで争われるBクラスはグローブ・モータースポート・Ptyの4号車ポルシェGT3カップがクラス優勝を達成。
 
 また、GT4規定マシンで争われるCクラスはボート・ワークス・レーシングの30号車BMW M4 GT4、インビテーション(I)クラスではMARCカーズ・オーストラリアの91号車MARC II V8がそれぞれクラスウイナーとなった。


 全4戦からなるIGTC次戦第2戦は6月26〜29日、伝統の『トタル・スパ24時間レース』がベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される。

ポールスタートから上位を走るも17号車ベントレーとのアクシデントで戦線を離脱した43号車BMW M6 GT3
マンタイ・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 R
大クラッシュに見舞われながらもアマクラス優勝を飾った69号車アウディR8 LMS




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