中部電力・石郷岡葉純の人生に満足ナシ「投げがもっとうまくなりたい」

2月6日(木)6時30分 Sportiva

中部電力カーリング
石郷岡葉純インタビュー(前編)




昨年の日本選手権において、2018年平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレを破り、全勝優勝を飾った中部電力。その後の世界選手権(デンマーク・シルケボー)でも4位という好成績を残し、さらに世界への扉を開こうと強化を続ける。目前に迫った今年の日本選手権(2月8日〜16日/軽井沢)でも連覇が期待されるが、メンバーたちの手応えはどうか。まずはリードの石郷岡葉純に話を聞いた——。

——ディフェンディングチャンピオンとして臨む日本選手権が、今年はチームの拠点となる軽井沢で開催されます。軽井沢開催と言えば、2017年大会も優勝されていますが、その時々で、チーム状況や大会への意気込みというのは違うものですか。

「2017年は、メディア(の報道)などでも、ロコ・ソラーレさん、北海道銀行(フォルティウス)さん、富士急さんの”3強”という扱いだったので、私たちは本当にまったくのノープレッシャーでした。かなりのびのびプレーした記憶があります。まずは『プレーオフに進むことができれば』くらいの気持ちでした。

 それに比べて、昨年の目標は『決勝まで』という感じでした。準優勝以上の成績なら、次のシーズンのスケジュールが立てやすいので(※1)、『まずはファイナルまで残ろう』と。『絶対に優勝する!』など、そこまで気負わなかったのが、いい結果につながったのかもしれません」
※1=日本選手権の優勝、準優勝チームには翌年の出場権が与えられ、地域ごとのブロック予選が免除される。そのため、長いスパンでの強化が可能になる。

——その昨年の大会は、終わってみれば、全勝優勝。とくに平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレに3連勝したことは、メディアやファンに大きなインパクトを与えました。

「私たちは(予選リーグの)1試合目に、ロコ・ソラーレさんと対戦したんです。お互い(大会)初戦ですから、勝っても、負けても、まだ試合がたくさんある。そんな状況で、ともに”攻めるカーリング”をしていて、アイスの上でニヤニヤしてしまうくらい、楽しい試合でした。そして、接戦の末に勝てた(6−5)。あとから考えたら、あれが大きかったですね。今年も、ああいう(楽しい)試合ができたらいいな、と思います」

——昨シーズンは、両角友佑コーチ(※2)の就任もありました。石郷岡選手は個人的にどういった指導を受けていますか。
※2=SC軽井沢クラブのスキップとして、2018年平昌五輪に出場。2018年秋、中部電力のコーチに就任した。一方で、2019年シーズンから新チーム、TM軽井沢を立ち上げ、選手とコーチの”二刀流”で日本選手権に挑む。

「なんていうか、(両角コーチの指導は)”無駄を省くことを突き詰めている”というイメージですね。(個人的には)デリバリーで、変なところに力が入っていると、石に伝わる前に(石に伝えるべき)力が逃げちゃうんですね。それを最小限に抑えて、(石を)真っ直ぐ投げられるようにしてもらって、そのレベルで安定させられるようなデリバリーに(ずっと)取り組んでいます。そうやって、(日頃から)オリンピアンの目でチェックしてもらえるのは、ありがたいですね」

——今大会から2022年北京五輪の国内選考(※3)も絡んできます。中部電力は前回、平昌五輪の日本代表決定戦では、ロコ・ソラーレ相手に敗れました。当時はどういった心境でしたか。
※3=2022年北京五輪の日本代表は、今年と来年の日本選手権優勝チーム、2021年1月1日時点におけるワールドカーリングツアーのランキング最上位チームの、最大3チームで代表決定戦が行なわれる。ただし、今年と来年の優勝チームが同じだった場合、そのチームが無条件で五輪代表となる。

「もちろん勝ちたかったし、悔しかったんですけど、負けた瞬間、自然に『次を目指します!』という気持ちに切り替えられて、記者さんたちの質問にもそう答えていたような気がします。その理由としては、やっぱり準備面で、ロコ・ソラーレさんのほうが計画的に進めていた、と感じたから。私たちにとっては、ポッと湧いたチャンスだったので、(準備を)急いでやったというか、慌ただしい強化だったことは否めないですね」

——平昌五輪はご覧になりましたか。

「仕事があったので、その間は見られませんでしたが、仕事がない時間は自宅でテレビ観戦していました。もちろん、ロコ・ソラーレさんの、日本の応援をしていたんですけど、他国のチームの好ショットにも『おお、すげぇな』って反応していました(笑)。一ファンとして、見ていた感じです」

——リードひと筋の石郷岡選手ですが、平昌五輪でも、昨年出場した世界選手権でも、他国のリードが気になったりしたのでしょうか。また、意識していたり、憧れていたりするリードの選手はいますか。

「無意識に(試合相手の)リードを見ている可能性はありますが、リードばかりに注目している、ということはないと思います。

 憧れや、意識するような選手も、基本的にはいません。国内外に素晴らしい技術を持ったリードはたくさんいるんですけど、皆ライバルなので。あからさまに憧れて、目標とかにしたら、(その選手に)固執してしまったり、”投げ勝つ”という部分で影響されてしまったりする気がして。あえて名前を挙げるなら、男子選手ですが、阿部(晋也/北海道コンサドーレ札幌)さんの安定したショットは、見習いたいと思っています」

——理想のリード像みたいなものはありますか。

「まずは(独特の回転などをする)バラツキのある石を(自らの狙いどおりに)しっかりと投げ分けができること。でも、その石の情報にとらわれず、(自らの狙ったところに)しっかりと投げ切ること。矛盾している要素なんですけれど、そのバランスは意識しています。

 あとは、一番氷を見る時間が多いので、その変化を早い段階でとらえなければいけないなと、強く思っています」

——中部電力に入って、5シーズン目。リードとして、自らの理想に近づいている感触はありますか。

「どうなんでしょう……。身体は少しずつできてきたかなとは思いますが、何より”投げ”が、もっとうまくなりたいです。私、人生で一度も満足したことがないんですよ。水泳も、書道も、ギターも、勉強も……『私、努力したな』『よくやったな』と、自分で思ったことがない。

 でも、逆に言えば、満足できないってことは、限界までやっていなかったんだなとも思うんです。『もう少しがんばれたはずなのに』『なんで自分はこんなに出来が悪いんだ』と、常々自分を責めるような性格なんです。どちらかと言えば、ネガティブです」

——それでも、日本選手権の全試合で100%のショット率を叩き出すとか、五輪で金メダルを獲得したら、満足できるのではないでしょうか。

「たとえショットが100%でも、スイープで貢献できていたか、ジャッジやコールは正しかったか、と考え始めると思います。(五輪で)金メダルを獲ったら、『ひょっとして満足できるのかな』という期待に近い気持ちはあります」

——そのためにも、まずは今回の日本選手権が大切になります。目標を教えてください。

「優勝です。軽井沢はホームリンクですので、リードから先手を打つように、いい流れをしっかり作りたいです。そして、優勝して、世界選手権で再び世界のトップチームと対戦したい。昨年の世界選手権は、ロコ・ソラーレさんが出場権を獲ってきてくれました。今回は、PACC(※4)で準優勝して、自分たちで獲得した世界選手権の出場枠なので、自分たちでその枠を使いたいです」
※4=パシフィック・アジア選手権。2019年11月に中国・深圳で開催され、日本代表として出場した中部電力が準優勝。その結果、3月にカナダ・プリンスジョージで行なわれる世界選手権の出場枠を獲得した。同大会には、今回の日本選手権優勝チームが出場予定。

——どんなゲームをしたいですか。

「ショット面ではセットアップがうまくいって、星ちゃん(セカンド・スキップの中嶋星奈)以降のショットが楽になるエンドを多く作っていきたいです。同時に、自分のショットで情報を増やして、たとえば(サードの松村)千秋さんが投げる時に、『このライン、少し重くなっているよ』と伝えることができるような、氷の状況がピタリと読めるプレーを増やしたいです」

——中部電力の試合において、「ここに注目してほしい」というポイントがあったら、教えてください。

「べぇちゃん(フォースの北澤育恵)が投げる、勝負を決めるようなラストロックに対しての、国内屈指のスイープ力を持つ千秋さんと、私のコミュニケーション。どんな話をしているのかまで、注目してくれるとうれしいです」

(つづく)




石郷岡葉純(いしごうおか・はすみ)

1996年6月17日、青森県生まれ。12歳でカーリングをはじめ、2013年の高校選手権で優勝するなど、ジュニア時代から活躍。2015年、青森高校卒業後、中部電力に入社してカーリング部に所属する。以来、リードひと筋で、チームの2017年、2019年日本選手権優勝、2019年世界選手権4位入賞に貢献。趣味は音楽鑑賞、水泳、ミシン、読書。好きな作家は、神永学。「とくに『心霊探偵 八雲』シリーズが好き」

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