【J1リーグ2025】冬の補強により戦力アップに成功したクラブ6選
2025年2月7日(金)19時0分 FOOTBALL TRIBE

2月14日に開幕を迎える2025明治安田J1リーグ。3連覇を狙うヴィッセル神戸を筆頭に、惜しくも2位で終えたサンフレッチェ広島やJ1初挑戦ながらも躍進した町田ゼルビア、そしてJ2からの昇格組を見ても復権を狙う清水エスパルスにJ1初年度を迎えるファジアーノ岡山と注目ポイントの多いシーズンがいよいよ始まる。
この時期なによりも各クラブのファンやサポーターが注視しているのが、今冬新たにチームへ加わった選手たちの実力とフィット感だろう。この冬はJ1の勢力図に大きく影響しそうな大規模補強を行ったクラブも出ており、新天地で新戦力がどんな活躍を見せてくれるのか今から楽しみだ。ここでは、そんな各クラブの補強状況から今冬戦力アップに成功したと見られるクラブを6つランキング形式で紹介していく。

6位:アビスパ福岡
主なIN選手
- DF上島拓巳(横浜F・マリノスより完全移籍)
- DF安藤智哉(大分トリニータより完全移籍)
- DF志知孝明(サンフレッチェ広島より期限付き移籍)
- MF見木友哉(東京ヴェルディより完全移籍)
- MF名古新太郎(鹿島アントラーズより完全移籍)
- FW藤本一輝(町田ゼルビアより完全移籍)
主なOUT選手
- DF宮大樹(名古屋グランパスへ完全移籍)
- DFドウグラス・グローリ(ポルティモネンセSCへ加入)
- MF前寛之(町田ゼルビアへ完全移籍)
- FW佐藤凌我(ジュビロ磐田へ完全移籍)
2023シーズンはYBCルヴァンカップを制してクラブ史上初のタイトルを獲得し、リーグ戦でも過去最高となる7位でフィニッシュと収穫の多いシーズンとなったアビスパ福岡。確かな手ごたえを得てさらなる躍進が期待された2024シーズンだったが、夏場の11戦未勝利の影響などもあり勝ち点を伸ばせず12位で終えた。
昨季をもって5年間指揮を執った長谷部茂利監督が退任し、新体制で迎える今季。残念ながらJ2時代からチームを支え続けたDFドウグラス・グローリやMF前寛之といった主力選手はチームを離れたが、各ポジションに頼もしい新戦力を加えている。堅守を貫くためにも重要なセンターバックにはDF上島拓巳とDF安藤智哉を獲得。選手の流出もあったポジションだが、昨季までと同様高さと強さを兼ね備える選手を揃えた。中盤では豊富な運動量が魅力のMF見木友哉とMF名古新太郎を補強。ともに得点力も高く、中央のキーマンとしての働きに期待だ。また、攻撃面ではFW藤本一輝の獲得も大きい。昨季町田では36試合に出場して3ゴール3アシストを挙げており、その突破力や高さが福岡でどう活きるのか注目したい。
長くチームを支えた選手の流出があったものの、それを補うだけでなく攻守ともにさらなるレベルアップにつながる補強が実現したことから戦力アップに成功したクラブ6位とした。

5位:サンフレッチェ広島
主なIN選手
- MF菅大輝(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
- MF田中聡(湘南ベルマーレより完全移籍)
- MF井上潮音(横浜FCより完全移籍)
- FWジャーメイン良(ジュビロ磐田より完全移籍)
主なOUT選手
- MF青山敏弘(引退)
- MF松本泰志(浦和レッズへ完全移籍)
- FWドウグラス・ヴィエイラ(契約満了)
- FWピエロス・ソティリウ(APOEL FCへ加入)
- FWゴンサロ・パシエンシア(スポルチ・レシフェへ加入)
昨季は惜しくも2位でシーズンを終えたサンフレッチェ広島。直近3シーズンいずれも3位以内のチームが今季見据えるのは優勝のみ。今冬の補強は、そんな意気込みがありありと伝わってくるものとなっている。日本代表経験者が多くを占める守備陣に大きな動きはなく、今季も安定感のある守備力が期待できる。中盤では、クラブのレジェンドでもあるMF青山敏弘が昨季をもって引退。加えて急激にチーム内での存在感を高めていたMF松本泰志が移籍と、決して小さくない戦力流出があった。しかし、新加入選手たちには彼ら以上の働きと今後の成長を期待できる。
湘南ベルマーレから加入のMF田中聡はボール奪取や鋭いパスでのチャンスメイクが魅力。さらに昨季は積極的にミドルシュートを放ちゴールも挙げるなど、成長著しい選手なだけに広島でのさらなる進化にも大いに期待だ。また、MF井上潮音はゲームメイクに定評があり新たなチームの心臓として注目だ。サイドではMF菅大輝も獲得。常に上下動を繰り返す運動量と強烈な左足のシュートが広島でどう活きるのか期待したい。最前線は外国籍選手が相次いでチームを去ったが、昨季リーグ3位タイかつ日本人選手トップタイの19ゴールを挙げたFWジャーメイン良を獲得。新たな得点源が機能するかどうかは、優勝を目指す上で重要な要素の1つとなるだろう。
チームの精神的支柱となっていたベテランや外国籍選手との寂しい別れもあったが、ピンポイントにチーム強化につながる補強となったことから戦力アップに成功したクラブ5位とした。

4位:名古屋グランパス
主なIN選手
- GKシュミット・ダニエル(KAAヘントより完全移籍)
- DF宮大樹(アビスパ福岡より完全移籍)
- MF浅野雄也(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
- MF原輝綺(清水エスパルスより完全移籍)
- FWマテウス・カストロ(アル・タアーウンFCより完全移籍)
主なOUT選手
- GKランゲラック(メルボルン・ビクトリーFCへ完全移籍)
- DFハ・チャンレ(大田ハナシチズンへ期限付き移籍)
- MF倍井謙(ジュビロ磐田へ期限付き移籍)
- FWパトリック(ツエーゲン金沢へ完全移籍)
昨冬は前線にFW山岸祐也やFWパトリックら即戦力を複数加えた一方、守備陣ではDF中谷進之介やDF藤井陽也といった主力がチームを離れた名古屋グランパス。その影響もあってか開幕から3連敗と出遅れ、一時は持ち直すもシーズン中盤の6月や終盤の10月に黒星が重なり、ルヴァン杯では優勝を手にするもリーグ戦は最終的に11位と不本意な結果に終わっていた。
巻き返しを図るためにも重要な今冬の補強では、即戦力を多数獲得することに成功した。まず、7年間ゴールを守ったGKランゲラックの後継者としてGKシュミット・ダニエルを獲得。残念ながら1月末に怪我の発表がなされたが、復帰後はその能力や経験から間違いなく頼りになる存在だ。次に守備陣では左利きかつ空中戦の強さも売りのDF宮大樹と複数のポジションを高いレベルでこなすユーティリティ性が魅力のMF原輝綺を獲得。DFハ・チャンレの移籍があったものの選手層に厚みを持たせる補強となった。そして、注目の攻撃陣には昨年こそ怪我に苦しんだが2023シーズンには二桁ゴールを挙げているMF浅野雄也に加えて、かつての背番号「10」FWマテウス・カストロが2年ぶりに帰還。他クラブが震え上がる左足の持ち主が帰ってきたことで、攻撃時の怖さは数段上がるに違いない。
長くチームを支えた守護神が去り新たな正GK候補筆頭も怪我に見舞われたが、攻守ともに手堅い補強で上位を狙える布陣を整えたと言えようことから戦力アップに成功したクラブ4位とした。

3位:鹿島アントラーズ
主なIN選手
- DF小池龍太(横浜F・マリノスより完全移籍)
- DFキム・テヒョン(サガン鳥栖より完全移籍)
- MF荒木遼太郎(FC東京への期限付き移籍より復帰)
- FWレオ・セアラ(セレッソ大阪より完全移籍)
主なOUT選手
- MF名古新太郎(アビスパ福岡へ完全移籍)
- MF藤井智也(湘南ベルマーレへ完全移籍)
- MF仲間隼人(柏レイソルへ完全移籍)
昨季は前半戦を首位と勝ち点2差の2位で折り返し優勝争いを演じていた鹿島アントラーズ。残念ながら後半戦は勝ちきれないゲームも多く最終的には5位に終わったが、相変わらず上位を維持しており他クラブからすれば十分すぎるほどの安定感を見せている。
とはいえ「常勝軍団」と呼ばれたクラブにとっては不本意な順位であることも事実。今季こそタイトルへ返り咲くため、新指揮官に川崎フロンターレで4度のJ1リーグ優勝を果たした鬼木達氏を招聘し補強にも積極的に動いた。主力が盤石な反面、選手層ではやや薄い印象のあった守備陣にはDF小池龍太とDFキム・テヒョンを獲得。サイド、センターともにJ1クラブから即戦力を加えた。中盤では、残念ながら昨季5ゴール9アシストと攻撃の中心となっていたMF名古新太郎や豊富な運動量で攻守に貢献したMF仲間隼人といった選手たちを失ったが、武者修行先で結果を出しパリ五輪にも出場したMF荒木遼太郎が帰還。輝きを取り戻した若手の復帰により、戦力流出の影響を最小限に留めたと言えよう。そして、最前線にはセレッソ大阪より昨季J1得点ランキング2位のFWレオ・セアラを獲得。昨季期限付きで加入したFWチャヴリッチも完全移籍に移行となっており、前線は破壊力抜群の陣容となった。
中盤で決して小さくない戦力流出があったものの、守備陣の底上げに成功し攻撃陣には新たな得点源を加えた鹿島。8年続く国内無冠に終止符を打つための補強が叶ったことから戦力アップに成功したクラブ3位とした。

2位:町田ゼルビア
主なIN選手
- DF中村帆高(FC東京より完全移籍)
- DF菊池流帆(ヴィッセル神戸より完全移籍)
- DF岡村大八(北海道コンサドーレ札幌より完全移籍)
- MF前寛之(アビスパ福岡より完全移籍)
- FW西村拓真(横浜F・マリノスより完全移籍)
主なOUT選手
- DF鈴木準弥(横浜FCへ完全移籍)
- DFチャン・ミンギュ(済州SKへ完全移籍)
- MF柴戸海(期限付き移籍期間満了に伴い浦和レッズへ復帰)
- FW藤本一輝(アビスパ福岡へ完全移籍)
昨季はJ1初挑戦ながらも優勝争いを演じ、堂々の3位フィニッシュと躍進した町田ゼルビア。開幕前に加わったDF昌子源やFWオ・セフンら新戦力の活躍も目覚ましく、的確な補強を行えていたことも証明して見せた。今冬も新たな戦力の獲得に積極的な姿勢を見せている。
特に注目なのがDF陣。昨季J1トップの失点の少なさを誇るチームに、さらなる守備力をもたらすであろう選手が複数加わった。センターバックではDF岡村大八とDF菊池流帆を獲得。ともに空中戦や対人に強くセットプレーでは得点源にもなり得ることから、町田のスタイルとの親和性も高いと見られる。昨季の主力勢とのポジション争いは熾烈を極めるだろうが、間違いなく選手層は分厚くなったと言えよう。そしてサイドにはFC東京からDF中村帆高が加入。直近2シーズンは怪我に苦しんでいるが、豊富な運動量と高い攻撃力には定評があり新天地での活躍も楽しみだ。中盤ではMF前寛之を獲得。ボール奪取やパス捌きでチームに安定をもたらす選手を加えた。さらに前線には得点だけでなく献身的な守備も魅力のFW西村拓真が加入し、今冬もチームのスタイルから納得感のある補強が実現した。
一方で、昨季の開幕前あるいはシーズン中に他クラブへ期限付き移籍した選手たちの多くがそのままチームを離れており、ファンやサポーターにとっては寂しさも感じる冬になっていることも確かだろう。しかし新戦力への期待感もまた高く、チームはさらに進化を遂げる可能性が高いことから戦力アップに成功したクラブ2位とした。

1位:浦和レッズ
主なIN選手
- DF荻原拓也(GNKディナモ・ザグレブへの期限付き移籍より復帰)
- DFダニーロ・ボザ(ECジュベントゥージより完全移籍)
- MF松本泰志(サンフレッチェ広島より完全移籍)
- MFマテウス・サヴィオ(柏レイソルより完全移籍)
- MF金子拓郎(KVコルトレイクより完全移籍)
- FW長倉幹樹(アルビレックス新潟より完全移籍)
主なOUT選手
- DF大畑歩夢(OHルーヴェンへ完全移籍)
- MF小泉佳穂(柏レイソルへ完全移籍)
- FW興梠慎三(引退)
- FWブライアン・リンセン(NECナイメヘンへ完全移籍)
昨冬、MF渡邊凌磨やFW前田直輝ら日本人選手に加え、FWチアゴ・サンタナやMFサミュエル・グスタフソンといった外国籍選手も獲得するなど大規模な補強を行い2024シーズンに臨んだ浦和レッズ。前年(4位)以上が期待されたが、シーズン序盤から苦戦が続き終盤には4連敗もあり最終13位でシーズンを終えた。
まさかの低迷から巻き返しを図るため、今冬も他クラブ以上に積極的な補強の動きを見せている。注目はなんといっても中盤の新戦力。昨季2位のサンフレッチェ広島を支えたMF松本泰志や2023シーズン途中より北海道コンサドーレ札幌から海外挑戦に出ていたMF金子拓郎といった選手たちを獲得。攻撃にアクセントをつけられる日本人選手が加わった。さらに、今冬の補強の目玉とも呼べるのがMFマテウス・サヴィオの獲得だ。昨季まで所属していた柏レイソルでは絶対的な主軸であり、前線でのボールキープや豊富なアイデアを武器に攻撃を牽引し、守備でも試合終了まで惜しむことなくプレスを続ける献身性も併せ持つ。1人で数人分の役割をこなせる頼もしい選手を迎え、チームがどう生まれ変わるのか楽しみだ。
一方で、守備陣ではDF大畑歩夢が海外へ移籍。前線でもFW興梠慎三が引退しFWブライアン・リンセンが移籍と戦力の流出もあった。とはいえ、サイドバックでは海外へ武者修行中であったDF荻原拓也が帰還し前線には昨季のルヴァン杯得点王でもあるFW長倉幹樹を獲得。重要な戦力を失いながらも、それを感じさせない補強はできている。
ポジションごとに戦力の増減にばらつきはあるものの、新戦力の特に中盤の豪華な顔ぶれは他クラブのそれと比べても大きく勝っていることから戦力アップに成功したクラブ1位とした。