14年の時を超え“因縁”タッグが実現。フェリペ・マッサがティモ・グロックを開幕ペアに招聘/SCB

2022年2月8日(火)18時10分 AUTOSPORT web

 南米大陸を代表する人気ツーリングカー選手権SCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”の2022年開幕戦『レース・オブ・ダブルス』に向け、フル参戦2年目を迎えるフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)がゲストドライバーを発表。2008年のF1最終戦ブラジルGPにおいて、自身の初戴冠を“阻む”ひとりとなったティモ・グロックを招聘し、因縁の地インテルラゴスでの共闘を宣言した。


 フェリペ・マッサとティモ・グロックにとって、2008年11月2日は忘れ難い1日であることを、お互いに認めあっている。当時フェラーリに在籍し、前年度チャンピオンのキミ・ライコネンとともに跳ね馬をドライブしたマッサは、タイトル候補の一角として地元最終戦に乗り込んできた。


 一方、ランキング首位を行く当時マクラーレンのルイス・ハミルトンは、5位入賞以上で初タイトル獲得が決まり、対するマッサは2位表彰台以上かつハミルトンが6位以下が逆転王座獲得への条件となっていた。


 自身初のワールドチャンピオン獲得に向け執念を見せたマッサは、雨絡みでスタートディレイとなった決勝でポールポジションからレース終盤まで首位をキープ。残り2周の時点で宿敵ハミルトンは6番手を走行しており、地元ブラジルの大歓声を前に優勝を飾るとともに、文句なしの初戴冠が見えていた。


 しかし、ファイナルラップで強まった雨脚が4番手走行中だった当時トヨタのグロックを襲い、ステイアウトでドライタイヤのTF108は為す術なく後退。数十秒後方にいたセバスチャン・ベッテルとハミルトンが最終セクターでトヨタのマシンにみるみる追いつき、ターン12でパッシング。結果、ハミルトン5位、グロック6位でチェッカーフラッグを受け、完勝を果たしたマッサは惜しくもワールドチャンピオンを逃す結果となった。


 その13年後となる2021年ブラジルGPの現場ではTV企画での対談が実現し、当時のレースを初めて振り返ったふたりが最後に熱い抱擁を交わすシーンもあり「以前から、僕らの間に何か問題があったわけではないんだ」と、マッサはかつての自身の発言を撤回し、わだかまりがないことを強調した。


「メディアには『あのドイツ人が……』なんてコメントが取り上げられたが、僕はティモに対して何もないし、彼が僕に対して意図的に何かをしたとは思ってもいなかったよ。モータースポーツを理解している人なら誰でも、彼がそのような状況では何の関係もなく、どうにもできなかったことを知っている」と語ったマッサ。


 その心情が本物であることを具現化したマッサは、2022年のSCB開幕戦となる伝統の“ダブルス”に向け、そのインテルラゴスでシボレー・クルーズのコクピットを共有するべくドイツ人ドライバーの招待を決めた。


「昨年末のブラジルGPでひさしぶりに会った後、このアイデアを思いついたんだ。すぐにスポンサーと共有し、彼らもふたつ返事で同意してくれた。モータースポーツの全文脈でティモとチームを組むことの意味に加え、僕らも良い結果を求めていることは明確にしたい。僕はすでに彼と直接連絡を取り、すべての可能な情報を伝えているよ」

フェリペ・マッサ自身も幾度かのゲスト参戦を経て、2021年よりSCBへのフル参戦を開始した
Lubrax Podium Teamのシボレー・クルーズをドライブした初年度は、ランキング19位に終わった
F1の2008年シーズンを戦ったトヨタのTF108は、つねにトップ5を争うポテンシャルを発揮していた


■トニー・カナーンはピエトロ・フィッティパルディとのペアで『カローラ』を共有


 一方、マッサからの招待を受けたグロックも、間髪を入れず「即座に受けることを決めた」と、ブラジル行きに前向きな姿勢を見せた。


「サンパウロに行き、ストックカーでフェリペのパートナーになることができてとてもうれしい。僕にとってもエキサイティングで非常に特別な週末になるだろうね」と、F1引退後はDTMドイツ・ツーリングカー選手権でも活躍するグロック。


「ストックカーはずっとフォローしてきたよ。ドライブが難しそうなクルマだが、フェリペからは挙動がわかるように車載カメラの映像が届いているんだ。南米大陸を代表するビッグカテゴリーだし、とても楽しみだね。実力を備えた多くの名前がグリッドにあり、速いドライバーたちとの勝負は胸が高鳴る。僕も速く走れることを祈っているよ」


 また、インディカー・シリーズのチャンピオンであり伝統のインディ500も制覇したトニー・カナーン(テキサコ・レーシング/トヨタ・カローラ)も、マッサと同じくフル参戦2年目の開幕に向け強力なドライバーを招聘。昨季中盤に代役参戦で白羽の矢を立てたピエトロ・フィッティパルディと、初めてマシンをシェアすることがアナウンスされた。


「ストックカーでセカンドシーズンをスタートできることにとても興奮している。ピエトロ(・フィッティパルディ)は国際シーンでもっとも有望なタレントのひとりであり、2021年のクリティバでの素晴らしいパフォーマンスにより、ダブルスに向けた自然な選択肢だったよ。当時は北米オーバル戦との日程が重なったが、今回はインテルラゴスでカローラを共有し、ともに素晴らしい結果を目指すことができるはずだ」と語ったカナーン。


 一方、2022年も引き続きハースF1チームのリザーブ兼テストドライバーを務めるフィッティパルディは「彼らからふたたびの招待を受けたことは本当に光栄だ」と語り、代役参戦で獲得した7位を上回る成績を狙うと宣言した。


「昨年のクリティバではすべてのレギュラー勢と競争したけれど、今回は他のゲストと競い、インテルラゴスのような素晴らしいトラックでドライブするという別の経験になる。サンパウロのチームに素晴らしい結果をもたらすため、一生懸命努力するつもりだよ」と意気込みを語ったフィッティパルディ。


 そのカナーンとはチームメイトになるルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)は、2021年にシリーズデビューを飾った愛息“ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロとペアを組み、同じくトヨタ陣営で2021年に自チームを立ち上げたネルソン・ピケJr.は、ふたたび新規チームとなるTMGレーシングから23歳の弟ペドロとともに参戦することを発表。


 この他、シボレー勢では“帝王”カカ・ブエノ(クラウン・レーシング/シボレー・クルーズ)が、かつてのチームメイトでもある元史上最年少チャンピオン、フェリペ・フラガの招聘を決めている。

F1引退後のティモ・グロックは、BMWのファクトリー契約ドライバーとして活躍してきた
2021年のSCBクリティバ戦でトニー・カナーンの代役を務めたピエトロ・フィッティパルディ
愛息”ドゥドゥ”ことエドゥアルド・バリチェロとペアを組む2014年SCB王者のルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)

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