F1世界王者の“父”ヨス・フェルスタッペンがシュコダでERCフル参戦へ「基準を引き上げ、学びたい」
2025年2月8日(土)7時0分 AUTOSPORT web

輝かしいサーキットキャリアのなかで通算106回のグランプリレースに出走し、現在はF1世界王者の息子マックスの指南役として現場にも帯同する52歳のヨス・フェルスタッペンが、今季2025年よりERCヨーロッパ・ラリー選手権へのフル参戦プログラムを計画。シュコダ・ファビアRSラリー2で全8戦に挑むにあたり「速いステージタイムを記録することよりも、経験を積むことを優先する」と、その目標を語った。
約3年前にラリーを始め、ベルギー選手権への挑戦を続けてきたF1世界王者の“父”は、その計画と並行してERCへの参戦プログラムを準備。公式サイト『FIAERC.com』に対し、ERCを選んだ理由、2025年の目標、4度のF1世界チャンピオンに輝いた息子のマックスが、直接ではなくオンラインで彼の進歩を見守ることになる可能性が高い理由などなどを説明した。
「ラリーにおいても基準を引き上げ、学び、非常に良い競争をしたいと思っている。ERCは私が好きなラリーであり、WRC世界ラリー選手権よりも(ラリーの行程が)少し短いところが私にはずっと合っている」と、挑戦の意欲を明かしたフェルスタッペン。
「シーズンの目標を答えるのは難しいが、トップ10に入るとは思えない」
「だが、それが一番重要なことではないからね。一番重要なのは知識を得ること、ステージを知ることだ。初めてラリーに出場したときはトップで戦えるチャンスがないことはわかっている。結果を出すには2、3年続ける必要がある。だから、ラリーを完走して、できるだけ多くのことを学ぶのが重要なんだ」
そのうえで、シリーズに挑戦した際に直面すると予想される最大の課題は、と問われたオランダ出身の元F1ドライバーは「グラベル(未舗装路)」だと即答した。
「グラベルラリーはもっとも難しいだろうし、ステージを学ぶことも必要だ。これまで1回しかやったことがないからね。でも、チャレンジが好きだし、学ぶことが好きなんだ。ベルギーではアスファルトで競争力があったが、ステージのことを少しよく知っているので、そこは優位な点だが、まだ学ぶことはたくさんある」
「私自身ラリーが好きだから、基準を高く設定してどこまで行けるか楽しみだよ」
■始まりが異なればF1ではなく、ラリーの道に進んでいた?
もちろん、ERCカレンダーに名を連ねるすべてのイベントが初挑戦となるフェルスタッペンだが、その点のみならずシリーズの競技レベルの高さという面でも、謙虚な姿勢で臨む必要を指摘する。
「もちろん、若いドライバーばかりで競争が激しいのは知っている。歳をとっても速くなることはないだろうが、どうなるかはわからない」
「どのイベントにも、ラリーに精通していて非常に速い地元のドライバーがいる。トップ10に入ることは期待していないが、ベストを尽くし、できるだけ速く走って学び、知識を得て、来年また戻ってこられるよう頑張りたいんだ。そのためにもコドライバーと緊密に連携し、前年のステージを見て、できるだけ多くの知識を得ようとしているよ」
ERCではこの2025年から、新たな登録枠として50歳以上のドライバーを対象とする“マスターERC”が設けられる。ただし、その施策だけが「参加する理由ではない」ことも強調したヨス。
「私は50歳以上なので、出場しない理由はないね。だが、それがERCに参戦する理由のすべてではない。もちろん登録するつもりだが、皆と競争し、学び、経験を積みたい。もっと早く始めることができて、この時点までにもう少し知識と経験があったら、サーキットではなくラリーを選んでいたかもしれないね(笑)」
「でも、自分がやってきたことは気に入っている。もちろんF1は好きだが、今の段階では本当に楽しんでいると言わざるを得ない」
「政治は関係なく他のドライバーもとても友好的で、一般のファンにもより開かれていて……それが楽しいんだ。私たちが進歩し今のように競争力がある限り、あと数年はドライブするつもりだよ」
ERCはスペインのアンダルシアで4月4〜6日に開催される2025年開幕戦『ラリー・シエラ・モレナ』を皮切りに、年間全8戦のスケジュールが組まれているが、4度のF1世界チャンピオンに輝いた息子マックスが自由に観戦に来られるのは、わずかに1戦。8月中旬開催の第6戦『バルム・チェコ・ラリー・ズリン』のみとなる。
「そのことについてはマックスと話していないが、とくに今のような(年間24戦の)カレンダーでは、彼が休暇を取るときはモーターレーシングから離れて、とにかく休暇を楽しんでほしいと思っている」と息子を気遣うヨス。「でも、彼はいつも私がやっていることにとても興味を持っているし、それをフォローしている。だから私は、いつも彼に自分がやっていることのリンクを送るんだ(笑)」
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