タイソンやフォアマンになかった“最強の理由” 米名伯楽が「本当に怖くなった」と慄いた怪物・井上尚弥の神髄

2025年2月8日(土)7時0分 ココカラネクスト

タイソン(左)やフォアマン(右)との比較論が話題となった井上(中央)。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の「世界最強」たる所以は何か。軽量階級では図抜けているパワー、冷静に勝負所を見極めるボクシングIQ、いかなる試合展開にも応じられる技術力……。その理由は枚挙に暇がない。

 無論、29戦無敗(26KO)という目に見える結果は井上の声価を高める要因の一つではある。13年のプロキャリア、それも4階級で負けを知らないという事実は凄まじい功績だ。

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 ただ、世界が「怪物」と恐れる男の神髄は、数字に表れていない部分にあるのではないか。それを物語る持論を展開するボクシング界の重鎮がいる。かつて元世界ヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)を指導したテディ・アトラス氏だ。

 往年のカリスマにして、「世界最強」と目されたタイソン氏をはじめとする多くの世界王者の師事を受けてきた。そんな名伯楽は、自身のYouTubeチャンネル『THE FIGHT with Teddy Atlas』で「イノウエが偉大である理由をズバリ言おうじゃないか」と切り出し、こう続けている。

「もちろん、全てだ。全て優れているから彼は偉大なんだ。技術、パワー、メンタル、直観、タイミング、身体能力……。挙げればキリがない。そもそも私はファイターのパンチ力は作られるものではなく生まれ持ったものだと思っている。50年ぐらいこのスポーツに携わっているが、この信条ほど確かなものはない。イノウエもそういう選手の一人だ」

 井上を「全てが優れている」としたアトラス氏は、「彼は500馬力のフェラーリのようだが、それを壁に突っ込ませない優れたドライバーでもある」と指摘。独特な表現で称えた上で、「多くの人が見落としている」という怪物の凄みを語った。

「彼の試合前の表情を見たときに、私は強烈な印象を受けたんだ。私はソニー・リストン(元WBC世界ヘビー級王者/米国)やジョージ・フォアマン(元WBA・WBC・IBF世界ヘビー級王者/米国)の威圧的な睨みを見てきた。マイク・タイソンも若い頃はそういう目をしていた。でも、イノウエはどの選手とも違うんだ。

 試合直前になると、まるで何かに憑依されたかのように別人に変わる。それを見たときに私は『ワオ……。こいつはただならぬ雰囲気を持ってるぞ』と思った。ただ、イノウエはタイソンやフォアマンみたく試合前だけ威圧的に見せるだけじゃなく、試合中もずっと怖かった。そして、試合が終わるとまるで近所にいる心優しい少年のように笑っていた。だから本当に怖くなったんだ」

 先述のように類まれなスキルやパワーにフォーカスされがちな井上。だが、百戦錬磨の名トレーナーが「本当に怖い。まさに本物だ」と恐れをなす覇気こそ、31歳の日本人を「最強」とされる理由の一つなのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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