裏方の信頼を落とした水原被告の“泣き落とし” 元ヤ軍戦士が裏切りの数々に呆然「本当に最悪な事件だ。悲しさすらある」
2025年2月9日(日)16時0分 ココカラネクスト

裁判では事実とは異なる証言を繰り返した水原被告。(C)Getty Images
最後の抵抗であった泣き落としすらも認められなかった。
現地時間2月6日、米カリフォルニア州の連邦地裁は、ドジャースの大谷翔平の元通訳で、銀行口座から約1659万ドル(約25億7000万円)を盗み、スポーツ賭博の胴元に不正送金したとする銀行詐欺罪などに問われた水原一平被告に対し、求刑通り禁錮4年9か月を言い渡した。
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大谷に対する約1700万ドル(約25億6700万円)の賠償命令も含めて検察側の主張が認められた。その上でお茶の間の関心を集めたのは、水原被告が量刑言い渡しに先立ち、判事に情状酌量を求めた手紙の内容だ。
司法取引により罪を認めていた水原被告は、ジョン・ホルコム判事に情状酌量で禁固1年6か月への減刑を要求。大谷の通訳を含めたサポートをする上で、年末年始もなく低賃金で長く時間を拘束され、「生活苦」を訴えたとされる。
しかし、そうした主張の“悪質性”はすぐに露呈した。検察側の調査の結果、水原被告に対して大谷側がボーナスやチップなど数百万円単位の支出を行っていたことが判明。ほかにも高級車のポルシェを贈られるなど十分すぎるほどの援助を受けていた事実も明るみになった。
一連の事実発覚によって、量刑言い渡しの場でホルコム判事から「全く信用できない」と断じられた水原被告。米スポーツ専門局『ESPN』などのリポートによれば、その表情は終始、うつろなままだったという。
後味の悪さが残る結末を迎えた今回のスキャンダル。終始、事態を混乱させる主張を繰り返した水原被告に対しては、元メジャーリーガーからも怒りの声が上がった。
米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』でホストを務める元ヤンキースのトッド・フレイジャー氏は、「どんな状況であれ、法の上に立つ人間はいない。結局は、どこかのタイミングでツケってやつは回ってくる」と断言。その上で通訳をはじめとする裏方の人間たちの世間的な評価を落とした行為を糾弾した。
「長引く事件じゃなくて、かなりスピーディーに解決されたケースだったように思う。でも、これは本当に最悪な事件だ。それしか言えない。こんなことが起きたのは悲しさすらある。選手を支えるために、今も必死に頑張っている通訳たちにとっても痛手だ。スペイン語だろうが、日本語だろうが、どんな言語であっても、頑張っている通訳がいるんだよ」
さらに「今回の件で、他の通訳たちが不安に思うのは間違いない」と指摘したフレイジャー氏は、“盟友”とされていた人物から裏切られ、事件に巻き込まれた大谷の気持ちも慮った。
「本当に正直なことを言わせてもらうと、俺がオオタニなら球場に行くことすらできないと思う。何かしらの理由をつけて休むよ。だって自分にとっても、家族にとっても、最悪の出来事じゃないか。なんとかやり過ごすしかないんだろうけど……。乗り越えるのは簡単じゃない」
服役後は日本への強制送還の可能性も浮上している。そんな中で、水原被告がいかにして大谷につぐないを示していくのか。今はその想像もし難いものがある。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]