HELM MOTORSPORTSがスーパーGT初走行を終える。新加入の平手も「やり甲斐がある一年に」

2024年2月10日(土)9時51分 AUTOSPORT web

 2月8〜9日、静岡県の富士スピードウェイで行われたGTエントラント協会主催の特別スポーツ走行。スーパーGT GT300クラスに参戦する14台の車両がさまざまなメニューをこなしたが、2024年からスーパーGTに参戦することになったHELM MOTORSPORTSが、GT300チームとしての初テストをこなした。


 平木湧也と玲次の兄弟が2020年に立ち上げたHELM MOTORSPORTSは、2022年からスーパー耐久シリーズでニッサンGT-RニスモGT3を使用し、その年のST-Xクラスのチャンピオンを獲得。2024年、チームが目標としていたスーパーGTの参戦権を得て、新たな舞台に挑戦することになった。今季はニッサンGT-RニスモGT3のオフィシャルパートナーチームとして経験豊富な平手晃平を迎え入れ、湧也と玲次とともにトリオを組む。


 そんなチームにとって、待望の初テストとなったのが2月8〜9日に富士で行われたGTE主催の特別スポーツ走行。湧也と玲次のヘルメットカラーから採用された“勝色”の藍と橙のリバリーもブラッシュアップされ、スーパーGTのカーナンバー等を装着。まずは初日のセッション1では、湧也からステアリングを握り走行を開始した。


「平手選手がGT3に乗ったことがなかったこともあり、昨年からオーバーホールしているところもあったので、最初に僕がチェック走行しました」と湧也。これまで2年間スーパー耐久でGT-Rはドライブし、GT300の参戦経験もあるが、GT300用のタイヤをGT-Rに組み合わせて走るのはもちろん初めてだ。


「気温が低すぎてなかなかタイヤが発動しない状況ではありましたが、スーパー耐久で使っていたコントロールタイヤとはやはりぜんぜん違いましたし、グリップも高かったです。タイヤの管理がすごく重要になるだろうな、というのは感じましたね」と湧也は語った。


 過去に湧也がスーパーGTでドライブしたのは、GT300マザーシャシー。「コーナリングは速いですし、無理が利くと言いますか、攻められるクルマだったんですけど、GT3は触れるところが決まってしまっていますし、タイヤも毎回変わってくるなかでセッティングでどう合わせていくかが難しいと思いました」と語った。


 また、弟の玲次もGT-Rをドライブ。こちらもGT300経験はあるが、「GT3ということもあってぜんぜん違うと感じました。スペックも何種類かあり、今日は寒かったのでレンジとは少し外れていた印象もありましたが、逆に第1戦の岡山を見据えたチョイスになっていたと思います。昨年実績があるものなようなので心配していないです」と振り返っている。

2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの平木湧也
2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの平木玲次


■自らもつノウハウを若いチームへ


 そんなふたりにとって、頼もしい存在として迎え入れられたのがGT500クラスで二度のチャンピオン経験を誇る平手だ。「初めて一緒にやらせてもらいましたが、やはり経験値がぜんぜん違います。僕たちはGT-Rに2年ほど乗っていますけど、平手さんは今日初めて乗られて、ある程度クルマの素性もすぐキャッチして、インフォメーションもいろいろといただき、オフの間にできることはどんどんやっていこうとなっています」と湧也は平手について語った。


「僕たちも初めてのところが多いなかで、情報や経験はすごく助かっています」


 また玲次も「平手さんはすごくやりやすい環境を作ってくれていますし、GT500もGT300も経験があるドライバーです。そういったノウハウを惜しみなくチームに落とし込んでくれていますし、コミュニケーションも密に取れているので、チームの雰囲気はすごく良いですよ」という。


 そんな平手だが、新たなチームでの初テストから、大いにやり甲斐を感じている様子だった。「スーパー耐久でチャンピオンを獲ってはいますが、チーム自体が結成からそれほど時間が経っているわけでもなく、若くフレッシュな感じがして良いですよね」とHELM MOTORSPORTSの印象を語る。


 今シーズン、平手が目指すのはチームにノウハウを注ぎ込み、チーム全体を速く、強くしていくことだ。


「自分が今まで得てきた経験やクルマのセットアップ、タイヤのノウハウなどをうまくフィードバックして、チームの底上げに繋げられればと思っています。クルマもチームも、もちろんドライバーふたりに対しても、自分が今までずっとトップカテゴリーで戦ってきた経験値があるので、彼らに盗んで欲しいと思いますし、伸ばしていってチーム全体で速くなれるようにしたいと思います。本当にやり甲斐がある一年になりそうですね」と平手。


 直接のライバルとも言えるのはクルマ、タイヤが同じKONDO RACING。「使うものが一緒なので、あとはドライバーやチームの差になると思っています。もちろんKONDO RACINGはチャンピオン経験もあるし、ノウハウもいっぱいあると思っています。すぐに追いつけるとは思いませんが、少しずつ追いついていけるように、僕が知っている限りのノウハウをフィードバックしていきたいと思います」と平手は意気込んでいる。

2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの平手晃平
2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの62号車ニッサンGT-RニスモGT3


■意外なニッサンGT-RニスモGT3初ドライブ


 そして意外とも言えたのが、湧也とコメントにもあったとおり、平手にとっては今回が初めてのニッサンGT-RニスモGT3の経験ということだ。率直に感想を聞くと「乗りやすいですね。位置づけとしてもGT4とGT500の間のような感じがしますし、GT-Rは比較的大きいので重そうにも見えますが、乗っているとそんな感じもないし、空力もしっかりあります」とそのインプレッションを語った。


「GT500から乗り換えても違和感なく乗れるのではないでしょうか。またGT500にはない電子デバイスも、あまり介入しないくらいのレベルで乗れるので良いですね。ABSなどは最後のロックしそうなところで勝手に介入してくれるので、ありがたいです(笑)」


「パッと乗った印象はすごく良くて、成熟されたクルマだと思いました」


 早々にニッサンGT-RニスモGT3を乗りこなしている様子は、コースサイドでも確認できた。ピットでも和気あいあいとしつつも、真剣な様子でセットアップなど話している様子が見られ、チームに溶けこんでいるようだった。


 平手は2024年に向けて、「スーパー耐久ではチャンピオンを獲っているとはいえ、ピット作業などもかなりシビアになってくると思うんです。チーム一丸となってやっていきたいですし、初戦から狙っていきたいところはありますが、シーズンを追いながら、しっかりと結果を出していけるようになればと思っています」とチーム初年度に向けて意気込んだ。


 2日間のチーム初テストは気温は終始低かったものの、晴天に恵まれ最後まで意欲的にメニューをこなし、着実に終えたようだった。チームを率いる湧也は、まずは最初の大仕事をこなし「無事に終わって良かったです」と笑顔をみせていた。

2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの福山英朗監督
2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSの62号車ニッサンGT-RニスモGT3
2024GTE特別スポーツ走行 HELM MOTORSPORTSのメンバー


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