横浜FMの“中核”へ、渡辺皓太が見据える理想像「もう1つ上のステージに行けると思う」

　FUJIFILM SUPER CUP 2023の開催を翌日に控え、横浜F・マリノスに所属しているMF渡辺皓太がオンライン前日記者会見に出席した。

　2022シーズンの明治安田生命J1リーグで横浜FMは3シーズンぶり5度目の優勝を果たした。2023シーズンの公式戦初陣で対戦するのは、天皇杯 JFA 第102回全日本サッカー選手権大会で王者に輝いたヴァンフォーレ甲府。「今年最初の試合でタイトルもかかっているので、必ず勝ちたいという気持ちでいます」と率直な意気込みを語った渡辺は「しっかりキャンプから徐々にコンディションを上げて良い状態だと思います」と現在のチーム状況にも言及。さらに、「どういう相手だろうと自分たちのサッカーに集中して、いかにして自分たちのパフォーマンスをいつも通り出せるか。相手がどこでも変わらないことが大事だと思います」と横浜FM“らしく”準備していることを明かした。

　クラブとしては過去に5度同大会に出場しながら、そのすべてで敗れており、未だ同タイトルを獲得したことはない。渡辺は「このタイトルを獲ったことがないということですが」と前置きしつつ、「今年は目の前にチャンスがあるので、今のチームでクラブ初のタイトルを獲得したい。このクラブは常にタイトルを獲ることが求められるので、まずは1つ目のタイトルを獲りにいきたいと思います」と意気込んだ。

　横浜FMは2020シーズンにも同大会に出場したが、当時からメンバーは大幅に入れ替わっており、前回の経験を知る選手は数少ない。渡辺自身も2019年8月に横浜FMへと加入したが、2020シーズンの同大会ではメンバー外となっていた。当時の経験を踏まえ、「今回はピッチに立ってしっかりタイトルに貢献したい」と決意を明かしている。

　振り返ると、2022シーズンの渡辺は“紆余曲折”のシーズンを過ごしたと言えるだろう。ヴィッセル神戸へと移籍した扇原貴宏から背番号「6」を受け継ぎ、明治安田生命J1リーグ開幕戦のセレッソ大阪戦にスタメンで出場。しかし、第9節前倒し分の川崎フロンターレ戦で負傷すると、復帰してからは先発出場の機会が限られ、時にはメンバー外も経験した。それでも、優勝争いが佳境に差し掛かったシーズン終盤には再び定位置を奪取。明治安田生命J1リーグのラスト10試合では8試合に先発出場しただけでなく、攻守に存在感を示して優勝に大きく貢献した。

　渡辺は「去年は優勝したことで本当に自信になった」と昨季後半のパフォーマンスを振り返りつつも、「あれが普通というくらいにしたい。あの年だけできていたと言われるのは簡単なので。ここからどんどん1つずつプラスしていって、もっといろんなことができる選手になりたいと思っています。チームに欠かせない存在になれるようなプレーを見せていければ」と話した。

　さらに、シーズン全体を見据えて「浮き沈みを少なくして、常に高いパフォーマンスを発揮できるようにしたい。日頃からの準備を怠らず、コンディションの部分などでサッカーだけに集中して、1年間試合に関わり続けたいと思います」と目標を明かす。プレーの面でも「組み立てのチームを動かす部分もそうですけど、もう少し高い位置で決定的なパスやゴールでチームを勝利に導けるようなプレーを増やしたい。もちろん、チームのために動くことも大事ですけど、自分が一発で局面を変えられるようなプレーができればいいかなと思っています」とコメント。昨季は公式戦で無得点に終わったが、今季はゴール前に顔を出し、得点シーンに絡む部分にも期待を感じさせた。

「自分が点を取りに行ってバランスを崩すのは良くない。このチームは攻撃陣が充実していて、その選手たちを気持ち良くプレーさせることでチームとしての力は増すと思っています。ただ、試合によっては自分たちのポジションでも多少無理して攻撃参加しないと崩せない時もあります。状況判断と出ていくタイミングを普段から共有し、試合で見極め、チームをコントロールしながら一発で決められるようになっていきたい。そうすればもう1つ上のステージに行けると感じています。そこは今の自分に足りないところ。今シーズンどれくらいできるかはチャレンジだし、自分自身でも楽しみにしていて、今まで以上に意識していきたいと思っています」

　横浜FMと甲府が対戦するFUJIFILM SUPER CUP 2023は、11日の13：35に国立競技場でキックオフを迎える。