柏vs千葉、ちばぎんカップで見えた収穫と課題【2025】

2025年2月11日(火)14時0分 FOOTBALL TRIBE

ちばぎんカップ 写真:Yusuke Sueyoshi

千葉県に本拠地を置く柏レイソル(J1)とジェフユナイテッド千葉(J2)による“千葉ダービーマッチ”『ちばぎんカップ』が2月9日にフクダ電子アリーナ(千葉県)で行われた。


直近2年は千葉が連勝していたが、29回目を迎えた今年はMF小屋松知哉やMF仲間隼斗のゴールなど3-0と3年ぶりに柏が勝利。ここでは、同試合で筆者が個人的に感じた両チームの収穫と課題をハイライトと共に振り返っていく。




小屋松知哉 写真:Getty Images

違いを見せたDF小屋松知哉


試合は開始早々に動いた。前半3分、柏は自陣からのビルドアップでチャンスを伺う。DF杉岡大暉からMF仲間隼人、DF小屋松知哉へと華麗なパスワークで左サイドに展開し、ペナルティエリア外からボールを持ち込んだ小屋松が同エリア内に侵入するとカットインからのシュートが右ゴール隅に突き刺さり先制した。


その後も攻め込む柏は前半41分に相手の隙をつき追加点を生み出した。フリーキックのキッカーMF原田亘の素早いリスタートでMF小泉佳穂にボールを供給。シュートフェイントから左足で放ったシュートは一度ポストに弾かれるも、こぼれ球に反応した小屋松が落ち着いて2点目を決め2-0と柏リードで前半を折り返した。


後半も小屋松がひと際輝きを放つ。後半開始2分、FW細谷真大がペナルティエリア内にボールを持ち込んでセンタリングを供給するとパスを受けた小屋松がダイレクトで折り返し、MF仲間が流し込んでリードを3点に広げた。小屋松はこの試合2ゴール1アシストと全ての得点に関わり文句なしのMVPに輝いた。




小泉佳穂(浦和レッズ所属時)写真:Getty Images

リカルドサッカーの申し子MF小泉佳穂


この試合で小屋松と並び随所で存在感を示したのが司令塔の小泉だ。柏の新指揮官リカルド・ロドリゲス氏とは浦和レッズ時代(2021〜2022)に共にプレーしており、リカルド監督の「後ろからつなぐパスサッカー」をチームで最も熟知している男である。そんな小泉は味方のパスを引き出す頭脳的なポジショニングやラストパスの供給など随所に効いていた印象が強く、小屋松の2点目も小泉が起点だった。シーズンを通じて同様のパフォーマンスを発揮することが出来れば、今季のJ1で柏が台風の目となる可能性は大いにある。




リカルド・ロドリゲス監督 写真:Getty Images

新戦力との融合


自陣からのパスワークが冴え渡り、終始千葉を圧倒した柏。キャンプインからわずか1か月でなぜここまでの完成度を築けたのか。それは今冬加入した選手たちの存在が大きいのかもしれない。MF小泉や後半から投入されたMF渡井理己ら“リカルドサッカー”を熟知するプレーヤーのほか、スタメンに名を連ねた新加入選手の戦術理解度の高さが際立った試合だった。味方同士の連携やパスワーク、前線の選手の動き出し、ハイプレス、サイドの幅を存分に使うなど、すでにリカルドサッカーが完成しつつあるのには驚かされた。


柏レイソル 写真提供:GettyImages

スタメン組とのクオリティ差


一方で、後半には課題も見つかった。70分にMF島村拓弥、MF白井永地、MF渡井理己、DFジエゴ、FW垣田裕暉を一気に投入した柏。以降、前半と比べ攻撃は停滞気味だった。FW垣田が相手の最終ラインと駆け引きする動き出しやボールキープ力を見せつける良い場面もあったが、安易なボールロストからあわや大ピンチを招きそうな場面や、味方同士でパスのズレが目立つシーンも。控えの選手達は戦術理解度や連携力を高めることが急務であり、この問題点解消がチーム力の底上げに繋がるだろう。




ジェフユナイテッド千葉 写真:Getty Images

課題が山積みの千葉


一方0-3で完敗した千葉は、試合を通じて相手の前線のプレーヤーに簡単に前を向かせてしまう場面や、自陣ゴール前で相手をフリーにさせてしまうシーンのほか、寄せの甘さなど守備面における緩さが目立った。なかでも気になったのが2点目を奪われたシーン。千葉の自陣ペナルティエリア外で献上した柏のフリーキック、素早いリスタートで相手に完全フリー状態でパスを握られてしまい、そのままあっさり得点を許してしまう。技術云々の問題ではないため少し残念なシーンだった。2月15日に迫った明治安田J2リーグ開幕戦までに小林慶行監督がどう立て直すのか注目だ。




田中和樹 写真:Getty Images

田中、デリキ、吉田らが奮闘


完敗を喫した千葉だが収穫もあった。サイドチェンジから右サイドハーフのMF田中和樹がドリブルで仕掛けセンタリングを供給するシーンや後半投入のFWデリキが劣勢の状況のなか一人でチャンスメイクするシーンなど、コンディションの高さも垣間見えた。特に印象的だったのは、今冬カマタマーレ讃岐(J3)から完全移籍で加入したMF吉田源太郎の存在。出場時間は短かったものの、ドリブル突破やスピードはJ1相手でも十分通用することが証明されていた。




この試合で“新生リカルドサッカー”の成熟度の高さを見せつけた柏。課題解消に向けても順調と言えるだろう。敗れた千葉は守備面に多くの課題が見つかったが、リーグ開幕戦に向け立て直す時間がまだ1週間あるのはポジティブに捉えたいところだ。カテゴリーは違えど両チームの躍進に期待したい。

FOOTBALL TRIBE

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