久保建英が4戦連続で先発を外れた理由。不振でも限界でもない

2月11日(火)6時0分 Sportiva

 マジョルカの久保建英(18歳)に関して、懐疑的な意見が聞こえてくる。

 今シーズン、久保はレアル・マドリードと契約後、期限付き移籍でマジョルカに入団。昨年11月からはレギュラーの座を確保していた。しかし今年1月に入ってから、バレンシア戦、レアル・ソシエダ戦、バジャドリード戦と途中出場が続いている。スペイン国王杯のサラゴサ戦は先発したが、チームは精彩を欠いて敗れ、大会から姿を消した。

 そして2月9日、第23節の最下位エスパニョール戦も、久保はリーグ戦4試合連続で先発から外れている。1−0とリードを許した展開で途中出場するが、チームを敗戦から救えなかった。


エスパニョール戦に後半途中から出場した久保建英(マジョルカ)

 久保は不振に陥っているのか。あるいは限界なのか。

 結論から言うが、久保自身は不振でも限界でもない。

 ピッチに立った時の久保は、チームの中で格別の存在感を示している。技術的には圧倒的に優れ、それを出せるだけのパーソナリティーも誇示。特に、右サイドでボールを持った時は、相手の緊張が伝わってくるかのようで、ファウル同然のタックルを多く受けている。

 直近のエスパニョール戦も、63分に途中出場すると、右サイドで起点になった。ボールを持って、巧みにリズムを作り出していた。警戒されて周りを囲まれると、左に回ってゴールラインまで侵入。終盤には2人を引きつけてファウルを得て、自ら突破し、完璧なクロスを折り返した。

 しかし、チームとしての劣勢はどうにもならなかった。

 実はマジョルカは、”化けの皮がはがれた”状態にある。メンバーの半数近くが、2年前まで2部B(実質3部)にいた選手だ。たとえば、(クラブ収入に応じてリーガ・エスパニョーラが使用可能額の限度を設定する)サラリーキャップでも20チーム中ダントツ最下位で、補強はままならい。そもそも戦力的に、極めて厳しい状況なのだ。

 マジョルカは1部で戦うために組織力を高め、序盤戦はプレーオフからの昇格組として野心的に戦った。第9節までにエイバル、エスパニョール、そしてレアル・マドリードに勝利。クロアチア人FWアンテ・ブディミルの健闘などもあって、勢いとしぶとさでどうにかわたり合ってきた。

 11月には久保がビジャレアル戦で1得点1アシスト。3−1と貴重な勝利に貢献している。ホームで勝ち点3を取れたことによって(アウェーは今も勝ち星がない)、降格圏をぎりぎり回避していたのだ。

 しかし、チームの苦境は久保を圧迫した。

 年明けのアウェーのグラナダ戦、チームは1−0で敗れ、初めて降格圏に転落。尻に火が付いた。試合自体は優勢に進めていたが、ゴールを決め切れず、一瞬のスキを突かれて沈んだ。

 そのグラナダ戦でも、久保は右サイドを中心に躍動していた。攻撃をけん引し、何回かゴールチャンスを作っている。自らドリブルで割って入るなどして、アディショナルタイムにはエリア内で決定機をつかみ、際どいシュートを放った。

 しかし、負ければ”賊軍”となる。久保は戦犯にされた格好だ。

 翌節のバレンシア戦、マジョルカは4−4−2の”堅守カウンタースタイル”で戦った。ボールプレーをかなぐり捨てたが、効率的な攻撃を披露。相手に退場者が出たこともあって、4−1と大勝を収めた。

 これはひとつの形になったわけだが、その後は力負けで3連敗。最下位のエスパニョールにも敗れたことで、勝ち点で追いつかれてしまった。チームの目標は降格回避だが、ジワジワと土俵際に追い込まれている。

 もしマジョルカが攻め手のあるチームだったら、久保は欠かせない存在だろう。個人技だけでなく、コンビネーションを用い、相手に打撃を加えられる。来季、移籍の噂があるレアル・ソシエダなどは、理想的なチームと言える。しかし守備一辺倒でカウンターにすがる状況だと、単純な強さ、速さ、高さが要求され、久保はファーストチョイスにはならない。

 マジョルカは、2部Bから這い上がってきたチームである。それだけに、当時から残った主力が、久保のような選手と折り合いをつけるのは難しい面もあるだろう。MFサルバ・セビージャなどは、意識的に見えるほど、久保へのパスが少ない。

 久保はそんな状況でもメンバーに入り、出場した試合では短い時間で爪痕を残している。18歳のルーキーとしては十分、及第点がつけられる出来だろう。経験を重ねるなかで成長も見られる。右サイドで中に切り込むプレーだけでなく、左サイドでウィングプレーを使って縦を突破し、崩し切るようなプレーを見せ、攻撃の幅を広げている。

 もっとも、久保本人が現状に甘んじることはないだろう。なぜなら、彼が目指す頂は高いからだ。王者レアル・マドリードでスタメンの座をつかみ取るには、マジョルカのようなチームを救う逞しさも求められる。残り15試合、ひとつひとつのプレーが試金石となるはずだ。

Sportiva

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