山下美夢有は各大会で現地シェフ、吉田優利の食料はキャリー1個分? 日本勢の食事事情【現地記者コラム】
2025年2月12日(水)12時0分 ALBA Net
ルーキー・山下美夢有の食事事情は?(撮影:ALBA)
米国女子ツアーの開幕戦は過去2シーズンの優勝者しか出場できないことから、先週行われた第2戦「ファウンダーズカップ」がほとんどの選手にとってのシーズン初戦となった。日本勢は12人が出場し、米デビュー戦の山下美夢有が最上位の4位フィニッシュ。史上最年少で日本の年間女王に輝いた、その力を改めて実感した。
米ツアー挑戦にあたって山下に心配されていたのは“食事”だった。昨年までは海外メジャーにスポット参戦してきたが、家族そろって満足に食べられなかったことも多かったという。それは国内専念を強調してきた理由のひとつにもなっていたが、華々しく迎えたルーキーイヤーにおいては、その心配はなさそうだ。
昨年の米最終予選会(Qシリーズ)は帯同したマネージャーが毎日、ご飯を作っていた。だが、マネージャーは選手と全く一緒に行動するし、栄養管理の知識も浅いことから、「選手のご飯を作るのは責任重大。わたしはもう…」と料理担当を降りた。
その代わりに山下の食を支えたのは、滞在する家(Airbnb)の近くに住む現地の日本人シェフ。栄養バランスが考えられた献立で、夜ごはんと朝ごはんを準備してもらった。山下は肉派で有名だが、魚料理もバランスよく出たらしい。そして驚いたのが、トーナメント会場ごとに滞在する現地シェフを探し、お願いするということ。あくまで「まだ試験的」だというが、自身初戦で4位に入ったのも食の支えがあったからに違いない。
一方で、同じくルーキーの岩井明愛、千怜のツインズは外食派だ。「食べられないものはないですね。レストランも経験として大事かなと思って」と、外食は米国生活や英語に慣れるための勉強のひとつでもあると考えている。千怜はオフに「ハンバーガー店巡りをしたい」と話していて、今大会前にはコース近くにあったファストフード店『Chick-fil-A(チックフィレイ)』に行ったことを明かしていた。
「おいしかったです。満足度はソースが8割くらい(笑)」と、チキンをディップして食べるオリジナルソースに舌鼓を打ってニコリ。筆者も最低週2でいくほど大好きな店だということは置いておいて、チーム岩井はホテル暮らし&レストランで食事が基本的な行動パターンになる予定だ。
竹田麗央は母・哲子(さとこ)さんとふたりでの転戦。外食も問題ないというスタイルだが、日本とは比較にならないような巨大スーパーにハマり、食材を買って調理している。「古江(彩佳)さんのお母さんに『持ってきた方がいいよ』と教えてもらったんです」と、持参した調理道具でお肉などを焼き、炊飯器で炊いたご飯を添える。
欠かせないのは食後のデザートで、それはハワイで大好物になったアサイーボウル。冷凍されたものを購入し、ブルーベリーやイチゴ、バナナを豪華にトッピングする。大会最終日に哲子さんは「今週は冷凍庫があるからたくさん買っちゃって。一個余らせちゃったのが本当にもったいなかった…」と話し、残念そうに笑っていた。
米2年目の吉田優利は自炊派で、帯同するマネージャーが準備をする。日本から持ち込む食材や調理器具は「キャリーケース1個分」にもなる。「事前に野菜を切っておいて、すぐに料理ができるようにしておきます。スタートが朝早いときの、定番夜ご飯はカレー。前の日に作っておくんです。アスリートのカロリー管理も大事なので、カロリー50%オフのルーを使っています」。
勝みなみも自炊派で、母・久美さんが料理を担当する。とはいえ、「最近は娘もキッチンに立ってくれて…」(久美さん)と、1週間の献立をあらかじめ決めておき、試合期間中でも勝本人が腕を振るうときがある。得意料理は無印良品のソースに隠し味で白ワインを加えたイカスミのリゾット。「とりあえずケガしないようにだけ。ゴルフのことを忘れられるので、いいリフレッシュになっていると思います」(勝)と、上位争いの渦中にいた土曜日の夜にもそれを作った。
渋野日向子や畑岡奈紗、古江彩佳らも、帯同する母やマネージャーが作るご飯を食べる。食事のスタイルは選手それぞれで、それがゴルフの力の源になっている。(文・笠井あかり)
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